「Nスぺ」宇多田ヒカルがナレーションを担当! 難解な“量子もつれ”の世界をおくる2024/12/28
12月28日放送の「NHKスペシャル」では、「量子もつれ アインシュタイン最後の謎」(午後10:00)を宇多田ヒカルと春風亭一之輔のナレーションでおくる。かつて、アインシュタインが「オカルトだ」と否定し、現在も数多の数学者・物理学者たちが「なぜ起きるのか、理解が難しい」と話す“量子もつれ”。2022年、その存在が証明され、ノーベル賞に輝いた。
その後、急速に研究が進み、従来のコンピューターの計算速度をはるかに上回る「量子コンピューター」といった形で社会の注目を集めるようになった。現在では世界中で、この未来の技術について激しい開発競争が進められている。さらに“量子もつれ”の存在は、これまで信じられてきた、宇宙や人間に対する認識そのものを根底から覆し始めている。人類最後の謎、“量子もつれ”の世界を拡大版でたっぷりとおくる。
そもそも“量子もつれ”とは何か。あらゆる物質の最小単位である粒子(量子)が、仮に宇宙の果てほど離れていたとしても同時に影響し合うという奇妙な現象のことをいう。まるでテレパシーでやり取りしているかのように、二つの粒子がもつれ合って関係しているのだ。
“量子もつれ”を応用した超高速・量子コンピューターが実用化すれば、さまざまな難病を治す特効薬の開発、無事故の“空飛ぶ車”の実現、はたまたあらゆる暗号の無効化といったことが実現するかもしれない。さらには人類の夢の技術・テレポーテーションにまで道を開き、人類の未来を飛躍させる可能性を秘めているのだ。
番組ではノーベル賞受賞の“天才”たちを取材。最新のCGを駆使し、人類最大の謎、“量子もつれ”の映像化を試みた。アインシュタインの問題提起から混迷を深めていった科学者たちの苦悩や奇跡の連鎖とも言える執念の格闘を追いながら、“量子もつれ”がひらいた新たな地平を見つめる。
番組制作スタッフは、この難解なテーマの番組について「分からないことの余白を届け、チャレンジすることの大事さを感じてほしい。分からなくても良いので面白いと思ってほしい」と思いを寄せた。
今回、ナレーションに初挑戦する宇多田は宇宙の成り立ちに強い関心をもっているそうで、「今年の春に発表したベストアルバムにまつわる一連の取材の中で、最新曲『Electricity』は量子もつれがテーマで、人と人の間の目に見えない結びつきを歌にした、と語る私の姿が番組制作陣の目にとまったらしいのです。オファーをいただいた時『絶対にやりたい!』と思いました」とコメント。
さらに、「ナレーション初挑戦でしたが、現場の皆さまのおかげで和やかに、学者たちのインタビューに感動して時折泣きそうになりながら、最後まで楽しく収録できました。いち視聴者としても放送がとても楽しみです!」と収録の感想を明かした。
同じくナレーションを担当した一之輔は、「私(文系)はまるで通って来なかった道なので、事前に息子(理系)に“量子もつれ”について聞いてみましたら、余計分からなくなりました。口に出してナレーションすると、少し理解できたような気になるのは不思議なものです」と苦戦した様子。そして、「どんな分野においても、熱意をもって取り組んでいるのに周囲から理解を得られない人もいます。他人の目を気にせず真っすぐに。なかなかできることではないなと、自分を顧みるいい機会になりました」と振り返った。
文/kizuka(NHK担当)
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