比江島慎キャプテンが引っ張る新生AKATSUKI JAPANが、11月21日・24日にアジア杯予選に出場!2024/11/20 12:00
バスケットボール男子日本代表チームが『FIBA アジアカップ 2025予選 Window2』(11月21日・モンゴル戦/24日・グアム戦)に向け、強化合宿を行った。2028年のロス五輪に向け続投が決まったトム・ホーバスHCは、最年長の比江島慎選手をキャプテンに指名。11月5日の会見で「新しい選手を見たい」と明言した言葉通り、パリ五輪のメンバーに加え、フレッシュな顔ぶれの選手たちを招集し、味の素ナショナルトレーニングセンターで汗を流した。その模様を最新のインタビューを交えてリポートする。
合宿練習後、新たなキャプテンとなった比江島選手ら選手10人が取材に応じ、比江島選手は慣れないキャプテンの呼び名に戸惑いながらも、アジア杯への抱負を語った。「いきなり(ホーバスHCから)『(君が)キャプテン』と言われて、冗談だろうと思っていました(笑)。日本代表では初めての経験です。(新たにA代表に参加した選手に)『ディフェンスの説明などをして欲しい』と言われたんですけど、『声が小さい、説明が遅い』と言われてしまい…(苦笑)。途中からホーバスHCが説明してくれました。パリ五輪は不完全燃焼で終わってしまいました。次のW杯や五輪については、まだ考えていないのですが、(アジア杯は)次のW杯などへの第一歩だと、そこは大事だと思っています。富樫(勇樹)や(渡邊)雄太みたいには無理かもしれないですけど、最年長らしく(チームをまとめ)アジア杯を全力でまっとうしたいです」
パリ五輪までキャプテンとして日本代表をけん引した富樫選手は、比江島キャプテンへのサポートを明言。「これまでの3年間、チームとしての成長も感じましたし、パリ五輪の結果は3連敗でしたけど、すごくいいところも見えたので(ホーバスHCの続投は)個人的にはうれしかったです。前回のアジア杯はベスト8にも行けなかったので、(今回は)優勝を目指してやっていきたいです。次の五輪は35歳で僕自身もどれくらいのプレーができるか正直見えていないです。今後の代表活動では(必ず僕が)キャプテンになるわけではないので、自分の体とプレーと相談しながらやっていきたいです。とりあえず今回は比江島キャプテンということで…、はい、不安です(笑)。今回の合宿は代表経験がない若い選手も多いので、そこは比江島キャプテンと共に引っ張っていけたらと思います」
今季から長崎ヴェルカに移籍した川真田紘也選手。パリ五輪でもサポートとしてチームに帯同した彼は、今回が代表初参加の選手たちとのコミュニケーションにも積極的だ。「パリ五輪でメンバーに入れなくて悔しい気持ちがありましたけど、帯同して高いレベルを肌で感じて、もっと自分のレベルを上げていかないといけないと思いました。今はまた、新しい気持ちで挑戦しています。今回18歳の(渡邉)伶音が参加しているのはすごいことですが、やっぱり彼も緊張もしているので『焦らないでやったらいい』と声を掛けています。同時に仲間でありライバルでもありますので、練習中は彼にも全力でやります。比江島キャプテンですか? ダメですね…、ふにゃふにゃしゃべるんですよ(苦笑)。でも、尊敬する先輩で代表経験も長い選手ですし、言葉よりプレーで引っ張るタイプだと思うので、試合ではやってくれるはずです!」
川真田選手と共に、パリ五輪でも日本代表にサポートとして帯同した佐々木隆成選手。パリで感じたこと、そして同じPGとしてNBAで活躍する河村勇輝選手についてもコメント。「パリ五輪では(チームに)帯同して、デニス・シュルーダー選手など世界のトップ選手を間近で見られました。また、日本のトップ選手が裏でどんな思いを持ってプレーしているのかを見られたのは良かったです。日本代表でも、三遠ネオフェニックスでやっているようなプレー、ドライブや早いペースを作ることなどを見せていきたいです。河村選手は、あの年齢ですごいです。同じ山口県出身で同郷なので、ご飯とかも行くんですけど、(彼の活躍に)刺激を受けています」
昨季のBリーグチャンピオンシップではMVPを獲得。広島ドラゴンフライズ優勝の立役者として活躍した山崎稜選手は、落ち着いて自分の強みをアピールする。「オールドルーキーという感じで、この年齢(32歳)で日本代表に呼んでもらえるのは光栄ですし、なるべく多くのものを吸収していこうと思います。ホーバスHCのバスケのスタイルは、僕はアジャストしやすいです。打てるタイミングでどんどん打って欲しいと言われていて、シュートを打って決めきれるかが大事。ここに呼ばれたからには、自分ができることを最大限発揮していきたいです。(山崎選手お気に入りのキャラクター)ノコノコですか? スーツケースに入っています(笑)」
今季、8シーズン所属した琉球ゴールデンキングスから大阪エヴェッサに移籍した牧隼利選手は、日本代表での課題を述べる。「日本代表がW杯やパリ五輪で結果を残しているのを見て、同年代の選手の活躍に刺激をもらっていました。今回呼んでもらえて、とても光栄です。同じポジション(SG)の比江島選手らと練習できるのはうれしいですね。マッチアップできる時は勉強させてもらっています。ホーバスHCからは『何ができるか自分で示して欲しい』と言われていますので、マルチに動ける部分をどうアピールするか考えています」
昨季、秋田ノーザンハピネッツから三遠ネオフェニックスに移籍し、活躍中の大浦颯太選手。同チームから3人目の日本代表候補に選ばれた気持ちとは。「日本代表ではコンボガード的な役割を求められています。(ポジションが)2番(SG)寄りだとシュートも狙わないといけない。(同じ三遠の)吉井(裕鷹)や(佐々木)隆成さんはパリ五輪でも代表だったので、そんな中、自分も選んでいただいたのはすごくうれしいです。自分が持っているものを最大限出して最終的にA代表に残れたらと思います。日本代表はトランジションなどでアドバンテージをとっていくチームだと思うので、そういった意味では三遠の考え方と似たところもあります」
昨季、広島ドラゴンフライズをリーグ初制覇へと導いた若き司令塔、中村拓人選手。河村選手が抜けたPGのポジション争いへの意気込みも語った。「パリ五輪で年齢が近い選手の活躍を見て、負けていられないなと思っていました。河村選手はアンダーカテゴリーの時は一緒にやっていましたし、彼が上のレベルでやっているのを見て、僕自身Bリーグで結果を残していかなければと思っています。僕に求められているのは、リングへのアタックやオンボールのディフェンス、ペイントアタックした時にシュートが打てれば打って欲しいと言われています。ドリブルでの緩急などチェンジオブペースも考えています。比江島選手のステップワークや緩急の使い方など、盗めるところは盗んでいきたいですね」
今季から琉球ゴールデンキングスと選手契約を結び、チームに貢献する脇真大選手。大学時代にディベロップメントキャンプに参加したのがホーバスHCのバスケとの出合いだという。「ディベロップメントの時は、3ポイントシュートは得意ではなかったんですが、(今は)ノーマークになったら打って決めきれるようにもなったので、あれからの成長も見せたいです。絶対何か一つ爪痕を残してメンバーに入りたいですし、(次の)W杯、ロス五輪を目指しながら頑張っていきたいと思っています。ダイナミックなプレー、トランジションや強度の高いディフェンスも見てもらいたい。(代表のアシスタントコーチであり)沖縄のアソシエイトヘッドコーチでもある佐々(宜央)さんにも、いろいろ聞いていきたいと思います」
唯一、高校生で代表候補選手に選ばれた渡邉伶音選手。千葉ジェッツのU15チームに参加していた時期もあることから、富樫選手も期待を寄せている。そんな彼は緊張しながらも合宿にかける思いを語ってくれた。「子どもの時から見てきた選手たちと(練習を)やれているのは楽しいですし、毎日刺激をもらっています。自分は4番(PF)ポジションで、空いたら3ポイントをどんどん打っていくことだったり、スペーシングをしっかり把握して動くことを心がけています。特に大濠(所属:福岡大学附属大濠高等学校)の先輩の牧選手や井上宗一郎選手は、よく話しかけてもくださいますし、井上選手はプレーも似ているので、参考にしているところは多いです。高校の片峯(聡太)先生からも『本気で選ばれる気持ちで頑張ってこい!』と送り出していただきましたので、ここで得たことを(高校の)チームにも持って帰りたいです」
そんな新生AKATSUKI JAPANをけん引し、再度ロス五輪を目指すことが決まったトム・ホーバスHC。11月5日に行われた会見では今後のチーム編成をこう語った。「3年前に比べると今の(日本の)バスケは成長したかなと思います。『(パリ五輪で)日本のバスケは面白いし、速い』と言われました。パリ五輪では3ポイントシュートの確率が39%、(今までで)一番入ったじゃないですか。でもペイントフィニッシュ、2ポイントの確率が低かった。ロス五輪を目指すにはもっとレベルアップが必要。僕はこれから若いメンバー、(これまで)あまり合宿に呼んでいないメンバーを呼びたい。理由は五輪(を経験した)メンバーが5~7人いたら、新しいメンバーがすぐウチのバスケを覚えられる。代表選手たちにはコンペティション(競争)が必要です」
ホーバスHCの意見を受けて今回の強化合宿に参加したメンバーは下記のとおり。新たに比江島選手をキャプテンに指名し、チームを再編していく。「今回はマコ(比江島)がキャプテンです。今回(11月21日・モンゴル戦)は栃木(日環アリーナ栃木が舞台)なので、(宇都宮ブレックス所属の)彼がキャプテンです。富樫も『ぜひ、どうぞ、見たいです!』と(笑)」
河村選手が抜けたPGについても言及。「河村選手も2年前はぜんぜん考えていなかったけど、それから成長したじゃないですか。佐々木は速さ、ジャンプ力、3ポイントがあります。中村はチェンジオブペース、体も強い。スイッチしても問題ないPGが面白いかなと思います」
新たな選手たちが合流し、変化を見せる日本代表。「W杯はディフェンスが良かったが3ポイントは足りなかった。パリ五輪は3ポイントは良かったがディフェンスは良くなかった。トランジションディフェンスは両方良かった。どちらもできれば勝つと思います。これからが楽しみです」
AKATSUKI JAPANは、11月21日にモンゴル代表と、そして11月24日にグアム代表と対戦。ロス五輪に向けて走り始めた日本代表を応援しよう!
日本代表候補選手
比江島慎(SG/191cm/宇都宮ブレックス)
アレックス・カーク(C/211cm/琉球ゴールデンキングス)
山崎稜(SG/183cm/広島ドラゴンフライズ)
富樫勇樹(PG/167cm/千葉ジェッツ)
ジョシュ・ホーキンソン(C・PF/208cm/サンロッカーズ渋谷)
馬場雄大(SF/196cm/長崎ヴェルカ)
佐々木隆成(PG/180cm/三遠ネオフェニックス)
牧隼利(SG/188cm/大阪エヴェッサ)
大浦颯太(PG/182cm/三遠ネオフェニックス)
吉井裕鷹(SF/196cm/三遠ネオフェニックス)
川真田紘也(C/204cm/長崎ヴェルカ)
山口颯斗(SF/195cm/長崎ヴェルカ)
渡邉飛勇(C/207cm/信州ブレイブウォリアーズ)
西田優大(SG/190cm/シーホース三河)
井上宗一郎(PF/201cm/越谷アルファーズ)
角田太輝(SG/182cm/佐賀バルーナーズ)
中村拓人(PG/184cm/広島ドラゴンフライズ)
市川真人(C/206cm/広島ドラゴンフライズ)
脇真大(SG/193cm/琉球ゴールデンキングス)
渡邉伶音(C/204cm/福岡大学附属大濠高等学校)
※所属は2024年11月15日現在
※ポジション=PG:ポイントガード、SG:シューティングガード、SF:スモールフォワード、PF:パワーフォワード、C:センター
【放送・配信情報】
2024年度バスケットボール男子日本代表チーム「FIBAアジアカップ2025 予選 Window2」
日本vsモンゴル
●地上波
日本テレビ系
11月21日 午後7:00~8:54(生中継)※延長あり
●配信
DAZN https://www.dazn.com/ja-JP/home
TVer https://tver.jp/
日本vsグアム
●BS
BS朝日
11月24日 午後1:55~4:00(生中継)
●配信
DAZN https://www.dazn.com/ja-JP/home
ABEMA https://abema.tv/
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