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「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」2024/10/13 20:45

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

 NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「光る君へ」。今作は大石静が脚本を手掛け、平安時代に「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ/吉高由里子)が、藤原道長(柄本佑)への思い、そして秘めた情熱と類いまれな想像力で、光源氏=光る君のストーリーを紡いでいく。

 第39回(10月13日放送)では道長は自身の血を引く天皇の誕生を意識し始める。その頃、藤原惟規(高杉真宙)がまひろの娘・賢子(南沙良)の父親の真実を家族にバラしてしまう…。そんな中、父の藤原為時(岸谷五朗)と惟規が越後へ向かう途中、惟規は最期を迎えた。

 今回は、まひろの弟・惟規を演じた高杉さんに人物像や撮影エピソード、大河ドラマへの思いなどを聞いた。

――演じる中で出世していく惟規をどう感じましたか?

「父上が偉くなっているのも、左大臣様(道長)の恩義があるからこそ。恩義というか、気を使ってくれているというのがあるんだろうなと。それはセリフにも出てくるので、そういう意味では自分が出世できているのもそうだろうな、と思って演じていました」

――出世しても気負い過ぎない軽いスタンス、変わらない惟規のマインドや、生き方について、高杉さんはどう思いましたか?

「惟規のような軽いスタンスでいると、すごく気持ちは楽ですよね。なので、気負い過ぎないところは見習ってもいいなのかなと思います。僕も、割と物事をそこまで重く捉えない方ではあるので、近しいものを感じました。でも、僕は惟規ほどじゃないですよ。そこだけは誤解をされないようにお願いします(笑)。人が人だったら結構まずいことも、惟規はかわいいで済まされる何かを持ってる感じがあるのがすごいなと。1年間このキャラクターを務めることができて、本当に良かったです。でも、惟規の年齢が上がっていくにつれて、果たしてこのキャラクターはこの感じでずっといいのかな、もうちょっと違う方がいいのかなとか、少し変えてみたりとかもしました。自分なりに調整しましたが、難しいですね」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

――惟規には「○○だな~」といった現代的なセリフがありましたよね。そのあたりは、どう感じていましたか?

「惟規のセリフは最後の伸ばしが多かったです。でも、台本で他の人のセリフを見ると、結構硬い言葉を使っているんですよね。僕は、所作も言葉もかなり現代に近かったので周りが硬い言葉だったり、その時代の言葉に寄せた言葉を使っているからこそ、強調されて聞こえる部分があるのかなと思いました」

――セリフを軽く言おうというのは意識されていたんでしょうか?

「最初の頃は特に『もうちょっと明るく軽く』と監督たちにも言われていたので、それを意識してやっていましたけれど、今はそこまで多く言われなくなったので、ある程度の下地ができた状態になっているのだろうなとは思っていました。それもまた現代語に近かったからこそできるところもあるのかなと思います」

――惟規のキャラクターは周囲の風通しをよくする存在のようにも思えます。

「惟規は登場する時に、毎回その場の空気を変えられるような印象があり、展開的にも、それが可能で割と自由に動かせるキャラクターではあったと思います。僕自身もそれを楽しんでやってこられました」

――第35回(9月15日放送)では、警護をかいくぐり、恋人である斎院の中将(小坂菜緒日向坂46)に会いに行き捕まりますが、そこで苦し紛れに詠んだ詩が、自分の身を助けることになりました。このシーンの撮影エピソードを教えてください。

「撮影前からどういうシーンなんだろうって、ずっと思っていて。斎院の中将の君とのラブストーリーは、身分の差の壁を超えるための希望でもあったのかと思います。(そして、捕まった後に)とっさに詠んだ詩が良かったというか。家族の中では勉学の才能がない設定になっていましたけど、ある程度ちゃんとできる人物なんだろうと思いました。崖っぷちに立つと、“やるときはやる”男なのかなと思います。そうでなかったら、後押しがあっても出世して偉くはなっていないと思うんです」

――男子禁制のところの塀を軽々超えていくシーンもありましたよね。

「惟規は諦めないんですよ。『もうやっちゃ駄目よ』って言われるんだけど、全然懲りていないところがいいですね(笑)」

――そして、「惟規ってこんな情熱的な一面があったんだ」と驚かされました。

「惟規が恋愛に情熱的なんだなというのは確かにあって。でも、なんだかんだうぶな部分が多そうだなと思って演じていました。話しかけては振られて傷ついてをたくさん繰り返している人なのかなって想像を膨らませたり…」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

――高杉さんにとって、惟規は純情な印象だったのでしょうか?

「そうであればうれしいなと思って演じていました。純情じゃなかったら、これだけ家族思いではいられないなと思って。家族に対して恥ずかしさを隠すためにふざけているところがあるので、本来、そこまで大きく感情を見せない人だという印象はありますね」

――まひろが彰子(見上愛)の元に上がったことで、惟規が内裏に訪ねてくる場面などがありますが、まひろと内裏で会うシーンはどんな印象ですか?

「為時邸の家とは違い、まひろは重そうな着物を着ていましたね(笑)。演じる吉高さんを見て、 あんなに重いものを着て撮影するのは大変だろうなって。為時邸とは全然違っていて、ずっと一緒にいてはいけない感じが少しありました。まひろではあるけれど、藤壺(飛香舎)で会っている時の方が独特の雰囲気があるなと。為時邸とは違う印象を感じました」
 
――惟規のシーンは基本的にはまひろとのシーンがほとんどで、爆弾発言をすることもしばしばありました。そんな惟規を高杉さんはどう感じていますか?

「僕は楽しくやっていました。(藤原)宣孝(佐々木蔵之介)の浮気現場を見たと姉上(まひろ)に言うところだったりとか、演じていた蔵之介さんには『なんで言うんだよ』って言われましたけど(笑)。姉上や、宣孝さんのことを思っていることが結果的には災いを招いてしまうことも多いですけどね」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」


 ――惟規を演じる上で軸にしていることや、大切にしていることはありますか?

「明るく…や、もっと軽やかに…などが軸ですね。ほぼそれでやってきました。そして、周りに気を使えるとか、家族思いという要素もプラスして。後は、台本に沿ってやっていくことですかね。その軸さえあれば、演じていて大丈夫な印象はありました」

――惟規が幼い頃から、30代ぐらいまで演じていますよね。年を重ねることの変化について、気をつけたことや、工夫した部分はありますか?

「最初の頃にしていたやんちゃな動きは、年を重ねるごとに落ち着いて、あまりできなくなった印象はあります。落ち着いてしっかりしたように見せようと、メリハリには気を付けました」

――まひろ役の吉高さんの印象、やりとりで面白かったことや思い出に残っていることはありますか?

「今までお会いしてきた先輩方の中で一番だなと思うぐらい、フランクな方です。だからこそ、現場で家族としてお会いする時の心の楽さ、すごく身近に感じさせてくださるような印象があります。飾り気なく話してくださり、人を引きつけるすてきな魅力のある方なんだなと思いました」

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――父親役の岸谷さんとはいかがでしたか?

「超カッコいいお父さんですよ。面白おかしく話してくださるというか。僕、現場で『まひろ(真宙)』と呼ばれるのですが、姉上も役名が『まひろ』なので、たまにどっちの話をしてるのか分からない時があったんですが(笑)、ちゃんと僕を見てくださっている感じがあって。本当にカッコいいです」

――道長と内裏で会うシーンもありました。道長とまひろとの関係も分かった上での印象は?

「道長さんは、居心地が良くなさそうな一瞬の顔とか、まひろとの関係は知られているな…みたいな顔を見て、『会ってやれ』と言ってくれる感じが優しそうな方だなって。そんな印象がありました。その後にまひろに『左大臣様の姉上への気持ちも変わらないな~』と言っていますし、惟規にとっても印象は良かったんだろうなと思います」

――まひろと道長の“ソウルメイト”という関係について、実際あの2人を見てどう思いましたか。

「ソウルメイト…。2人の関係性を見てると、難しいですよね。苦しそうだなと思います。どこまでお互いがソウルメイトとして割り切れるか、みたいなところがあるんだと思うんですよ。結局は最初の発端が恋愛感情なので、多分難しいんだと思うんです。ソウルメイトとしての感情から始まったんだったらね…。苦しいな、苦しそうだなって思ってしまいます。でも、僕はソウルメイトっていうのは男女問わずあると思いますし、すてきな関係ですよね」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

――第39回(10月13日放送)は惟規にとっての注目回となります。最初にオファーがあった時に、惟規について調べたりはされましたか?

「実際は惟規が亡くなる経緯は多くは残っていなかったんです。書いてあったのは、父と一緒に越後の方に行くということだけです。行く途中でこの世を去るのは残念な気がしますけどね。父上は長生きするはずなので、そこに惟規がいないのは、ちょっと心残りです」

――惟規の最期、「詩を詠みたい。最後に歌を残したい」という彼の心境はどういう解釈をされましたか?

「時世の歌を遺すのは、皆さんされるようなんです。最期も、家族思いの惟規はみんなのことを思っていた、というふうに演じられたらいいなと思っていました。和歌の練習も書も初めてで、最期に書くシーンを実際にやることになるとは思っていなくて、動揺しました(笑)」

――惟規にとって、改めて“家族”はどういう存在だったのでしょうか?

「為時邸に帰ると安心する。そんな家族だった印象です。それは内裏に行くようになってから、特にそう思いました。空気感が生み出されてるんだと思うんですよね。為時邸、姉上だったり、父上だったり、乙丸(矢部太郎)だったり、いと(信川清順)だったりが作ってくれているんだなと思いました」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

――「平清盛」以来12年ぶりに 、大河ドラマに出演しました。当時「15歳で緊張して何か分からず、ひたすら目の前のことで一生懸命だった」とコメントされていましたが、今回惟規として、この現場を振り返ってどのようなことを感じましたか?

「幸せだなって思いました。1年間同じキャラクターをできることが、そのキャラクターを長い目で見ることができるのって楽しいなと思いました。視聴者の皆さんもそうだと思うんですけど、やっている本人が成長を見守るのが楽しみだったりするので、そういう意味でも幸せでした」
 
――惟規にとっての「源氏物語」については、どう捉えていますか?

「イメージで言うと、『姉上が書くの? 本当に?』みたいな。でも、実際にいとと姉上と僕3人で、その姉上が『これどう?』と持ってきた作品は、色男の物語だったりするわけで、『よくこんなの書けるね』って言ってるような物語だったので、そういった意味では物語を書く才能の片りんが見えていた印象です」

――まひろの書いているシーンはどうですか。

「いや、本当にすごいですよね。僕、1回楽屋で休憩中だった時に、本番を見ていたんですよ。先生の手だと思って見ていたら、『え? これ本当に吉高さんが書いているのかな』と思って、楽屋からわざわざ出て確認しに行きました(笑)。スタッフさんに『これって吉高さん、本当に書いているんですか』って聞いたら『書いているんだよ』って言われて。本当にすごいなと思います。吉高さんって左利きじゃないですか。でも、練習されて右手で字を書けるようになっていて、本当にすごいです」

――ご自身も習字をやってみていかがでしたか?

「うまいも下手も分からないです。ただ、うまくないのだけは分かりますよ。先生の字を見ても全然違うから、どう見ても(笑)。先生はなんだかんだで、褒めてくださったりするわけじゃないですか。ただ、僕からしたら難しい。でも姉上がうまいのははっきりと分かりますね。それは本当に奇麗だから」

――今後の物語に期待すること、こうなってほしいとか、何かメッセージなどあれば教えてください。

「『頼む! ハッピーエンドであれ』って感じです。本当にバッドエンドだけは見たくない。願わくば父上のハッピーを見たいのですが、史実もありますし、どうしたってねじ曲がらないところはあると思うんですよ。今後どうなっていくか僕は知らないのですが、賢子が大変な思いをしなければいいなと。もう叔父さんの気分ですよ(笑)。そういう気持ちで、最後まで見守ります」

「光る君へ」高杉真宙、演じた惟規の最期を振り返る「みんなのことを思っていた」

【番組情報】
大河ドラマ「光る君へ」

NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/S・I



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