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連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」2024/10/05 10:00

連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」

 連続テレビ小説「おむすび」は、食と人情の街、福岡・神戸・大阪を舞台に、日本の朝に元気と笑顔を届けるオリジナル作品である“朝ドラ”第111作。平成時代のギャル・米田結(橋本環奈)が人々の健康を支える栄養士となり、現代人が抱える問題を、食の知識とコミュニケーション能力で解決しながら、目には見えない大切なものを次々と結んでいく“平成青春グラフィティ”だ。今回は、制作統括の宇佐川隆史氏にインタビューを敢行した。

――第1週の家族のシーンでは、松平健さんの演じる結の祖父・永吉さんのキャラが強かったですが、起用の狙いがあれば教えてください

「朝ドラは、全スタッフと出演者が『皆さんの朝を元気に楽しくしたい』と思っているんです。ストレートに元気を伝えたいと思った時に、第1候補として浮かんだのが松平さんでした。福岡ソフトバンクホークスの法被を着た松平さんを想像した時に、スタッフみんなが笑顔になって、これ以上の元気はないなと。ここまでのコミカルな役は初めてだそうですが、現場でも楽しく演じてらっしゃって、おかげで家族の役の皆さんの絆も深まっていると思っています。セッティング中に裏側をのぞいたら、皆さんが健康体操を一緒にやっていました。本物の家族みたいで、キャスティングがこういう形になって良かったなと思いました」

連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」

――平成を舞台に選んだ意図と、宇佐川さんにとっての平成を教えてください

「経済の専門家が、平成は失われた30年で、それが今の不安な状況につながっているというようなことを言っていたんですけど、私たちの見解としては『そうは言っても、なんだかんだ楽しかったし、頑張ってきたよね』と。平成を描くことで、“だから今も大丈夫、頑張っていこうよ”というストレートなメッセージを届けたいと思ったんです。物語がスタートするのは2004年で、平成のボリュームゾーンといわれる1990年代を描けばいいんじゃないかと思われるかもしれないですが、特別な時代じゃない平成を描くことに意味があると思って。無理に平成をいい時代に見せたいわけではないけれど、生きた証を見せたいという思いです。この時代を選んだ意図は全て今につながって、元気づけるために選びました」

――第1話から、朝ドラ定番の主人公が水に落ちるシーンが出てきて大変面白かったです。1話に入れようと思ったのはどんな意図なんでしょうか?

「脚本家の根本ノンジさんも私も朝ドラが大好きなんです。だからこそ、今回新しい何かをやりたいと思って。例えば、若い世代の方々にも見てほしいっていう思いもあって、平成やギャルをテーマにしました。一方で、これまで見てくれた人、朝ドラが大好きな人へのラブレターみたいなものとして、水落ちシーンを初回に入れました。後ほど、“助ける、支える”ということもテーマとして関わってくるのですが、それなら最初に見てもらおうじゃないかっていう思いが実は裏側にあって。物語とちょうどリンクする出来事でもあったので、初回に入れました」

連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」

――朝ドラヒロインとしての橋本さんの魅力をどのように感じているかお聞かせいただけますでしょうか。 

「大変な時でも、ペースを崩さず、私たちを引っ張っていってくれるんです。彼女が主演として変わらない笑顔でいてくれているのが安心感に、そして物語にもつながっています。今回の結という役はスーパーな人間では全くなく、おじいちゃんやお姉ちゃんなど周りがすごく個性的なんです。今まで橋本さんはいろいろな役を演じてこられたと思うのですが、今回は、取り立てて何かの能力を持ったというわけではない結を演じてもらうことで、新しい部分を引き出せるんじゃないかと。裏話を一つ言うと、私『NHK紅白歌合戦』に橋本さんが出ていた時に嫉妬したんですよ。紅白って、いろんなスーパースターがいるじゃないですか。そんな中で、本当に無理なく、スターたちをしっかりと受け止めて、進行している姿を見て、この様子をなんで本業である芝居で先に見せられなかったんだろうと悔しい思いをしたんです。周りにいろんな面白い人がいて、それを受け止めて、必死にそれを吸収しながら頑張っている役が、橋本さんの新しいお芝居の魅力につながるんじゃないかな、面白いんじゃないかなと思っていたんです」

――先日、橋本さんのギャルビジュアルが公開されてたくさんの反響がありましたよね。

「実はこのビジュアルは結構特別なシーンで、結がギャルマインドを持った後の服装は、時代考証に即したものになっています。最初にインパクトあるものを出したいという思いで公開したのがあのビジュアルです。ギャルにも時代とグラデーションがあって、93年ぐらいからのコギャルや、安室奈美恵さんに憧れていたアムラー世代、2000年に近付くにつれてガングロギャルが登場して。そんな中、98年に浜崎あゆみさんがデビュー。今回の2004年は全員がルーズソックスをはいていたような時代ではなくて、清楚というところも入ってきた頃なんですね。平成だからといって一色にするつもりはなくて、時代に即したものをきちんと描きたいという思いがあって、1年半ぐらい前から雑誌の『egg』さんに取材などをしながら、スタッフがギャル史を50ページくらいにまとめたんです。80年代ぐらいから書かれているんですけれども、ギャルという言葉の起源などを勉強しながら、大真面目に、学術的なぐらいの勢いでまとめました。結は全盛期のギャルではなくて、90年代のいわゆるコギャルのような私たちがイメージするギャルは姉の歩(仲里依紗)に託していると。そこは安室さんの世代で、私も通ってきた世代です。時代考証はルミリンゴさんという伝説のパラパラギャルだった方に担当してもらっているので、期待していてほしいです」

――今後はいろいろなギャル姿が出てくるのですね?

「このビジュアルを見て『これはギャルじゃない!』っていう反応もあって、その通りだなと思うんですけど。今後は、本人が選んだ好きな格好や、考証に基づいたギャルというのが出てくるので、楽しみにしてもらえればと思います」

連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」

――B’zさんが手掛ける主題歌も新鮮ですが、起用の経緯を教えてください

「企画書を書いていた時にB’zさんの曲を聞いていたんです。物語には平成を象徴する楽曲もたくさん出てくるのですが、B’zさんには、大変なこともあるけど心配ない、問題ないと私たちに問い掛けている曲があって、これこそギャルマインドに通じる気持ちであり、私たちがドラマの中で伝えたいことだなと。自分を奮い立たせながら企画書を書いたんです。『ultra soul』のようにカッコいい曲も多いのですが、日常を歌っている名曲も数多くあるんです。企画書を書いていた時に聞いていた曲や『Easy Come, Easy Go!』など、肩肘張らずにみんな楽しんでいこうよっていう、日常で背中を押してくれるような曲を書いていただきたいと手紙に書いてお願いをしました」

――オファーを受けた時のB’zのお二人はどんな反応だったんでしょうか?

「ものすごく喜んでいらっしゃいました。光栄だとおっしゃってくださったようで、そんなふうに思っていただいたんだと驚いて…。これまで朝ドラを作ってきてくれた人たちに本当に感謝しました。ただ、B’zさんだからこそ、僕の責任も重大だなと思いました」

――最後に、期待してほしい部分や注目ポイントを教えてください! 

「4週目までは、ハチャメチャに元気で王道なギャルや家族のパワーが魅力なのかなと思います。そこから先はまたガラッと変わって、震災や結が栄養士を志す様子が描かれていきます」

――恋愛展開も期待していいですか。

「十分に期待していてください。意外な関係もあります!」

――楽しみにしています! ありがとうございました。

連続テレビ小説「おむすび」制作統括・宇佐川隆史「ギャル史をスタッフ一同、大真面目に勉強しました」

【番組情報】
連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45ほか

NHK担当/Kizuka



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