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羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」2024/09/18

羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」

 9月15日、石川県金沢市で「能登半島復興支援チャリティー演技会~挑戦 チャレンジ~」が開催され、羽生結弦選手らプロスケーターたちと、若手和太鼓グループ、輪島・和太鼓虎之介、能登高校書道部が、「挑戦 チャレンジ」をテーマにパフォーマンスを披露しました。

 輪島・和太鼓虎之介による迫力ある演奏、能登高校書道部による書道と舞を組み合わせたパフォーマンスに続き、4人のスケーターがそれぞれソロ演技を。無良崇人さんは「燦々(さんさん)」、鈴木明子さんは「愛の賛歌」、宮原知子さんは「スターバト・マーテル」、そしてトリで登場した羽生選手は「春よ、来い」を美しく舞い、フィナーレでは出演者全員でMrs. GREEN APPLEの「ケセラセラ」に乗せ、復興への祈りと希望を伝えました。

羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」
羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」
羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」
羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」

 演技会後に行われた取材会の模様を紹介します。

無良 「チャリティーという形で、1回とはいえ実際に開催することはなかなかできない中、ゆづ(羽生)くんの力を使っていただき、開催できました。ここで滑る意義はすごく大きかったなと感じていますし、今回滑らせていただいた曲「燦々」の中の歌詞にもある『大丈夫だよ』というメッセージを、多くの方に伝えられたらいいなと思います。この演技会を見て、明日に向かっていく、次に進んでいく活力になってもらえたらという気持ちで参加させていただきました」

羽生 「見てくださる方々…やはりつらい方もいらっしゃいますし、『今、元気だ』という方も、本当にさまざまな立場の方々がいらっしゃると思います。そんな方々の中で、少しでも笑顔の輪が広がってくれたらいいなと思いながら滑りました」

宮原 「なかなかないチャリティーショーという機会に自分も参加できたことをうれしく思っています。自分のスケートを通して、人々への助けができたらうれしいなと思って滑りました」

鈴木 「こうした震災が起こる度にすごく自分の無力さを感じてしまうのですが、今日こういった機会に私たちが滑ることによって何か伝えられるものがあるんじゃないかと。その気持ちをしっかりと胸に、今日はここへ来て一生懸命滑りました。このような機会をありがとうございます」

羽生 「『(五輪を)2連覇したところから被災地への支援や思いやりみたいなものをスタートしたいな』という気持ちがあり、競技を頑張ってきました。やっとプロに転向し、徐々に徐々に、被災地であったり…本当にいろんな災害がありますけれども、そういったところに心をはせることができ始めています。そういった中でも、やはり自分はスケーターであることが一番なので、どうしても演技ということで。皆さんに対してのご支援であったり、感情に対してのちょっとした助けであったり、そういったものになれないかなと思って。(アイスショーの)『ノッテ(羽生結弦 notte stellata)』は3.11(東日本大震災)やその時々で起こっているいろんな災害に対して(のチャリティー)、今回は特に能登地方の震災に対してのチャリティーということでやらせていただきました」

羽生 「まず“照明がない”という状況を考えたのは、なるべく予算を少なく、ほとんどのお金を寄付をしたいということがあって。規模を小さくすることが第一の目標としてあり、制作資金を削減していくにあたって最終的に“照明なし”ということになったわけですが、それはそれで見え方が違って、いつも見ている方々はまたいつもと違った感覚を感じていただけたのはうれしいことです。僕ら自身もやはりチャリティーということで演技での気持ちも違いました。プログラムに込める思いがより明確に能登地方の方々へ、という気持ちで滑りました」

羽生 「(選曲は)企画を担当してくださった方ですが、僕自身、Mrs.GREEN APPLEさんが本当に好きで。この曲自体が持っている…沖縄になってしまうかもしれませんが“『なんくるないさー』精神”というか。どんなことがあっても、自分に言い聞かせながら前を向いていくんだというような気持ちを鈴木明子さんが振り付けをしてくださって、そういう中で表現したつもりです。ボーカルもそうですし、みんな楽曲の一つ一つの音をすごく大切にしながら、希望を胸に滑ったなという感じがしています」

羽生 「ハイドロブレーディングという技なのですが、あれはそもそもこのプログラムではあのぐらい(顔をリンクに)つけるものなので、特に深い意味があるわけではないのですが、やはりこの土地…ここ自体の周辺(金沢市)はすごく大きな被害があった場所ではないですけれども、この地方としてすごく大きな被害があった、もっと大きく言えば“この周辺の地面が大きく揺れた”ということもあって、何か『静まってほしいな』という気持ちもありました」

羽生 「僕ら…3.11のこともそうですけれども、首都圏から離れているからこそなかなか報じられることもないですし、進展があればまたニュースになったりするとは思うのですが、なかなか復興が進みにくい場所で。道路に関しても交通制限みたいなものが普通の場所よりも大きいということなので大変なんだろうなと、僕自身もニュースや実際に足を運んだ時に思いました。風化に対して僕らが何かすることはなかなか難しいのですが、それでも僕は『震災の支援をしたい』と思い、『五輪を2連覇したい』と思ったので、この2連覇、いい意味でこの知名度みたいなものを使って。今回配信のチケットを買ってくださった方々もそうですし、お金も、注目も、ちょっとでも力になれればいいなと思いました」

羽生 「ニュースや新聞では現状みたいなものを見る機会は何度もあったのですが、実際に生で見た時、『こんなにもこのまま(震災の傷跡が)残ってしまっているんだ』という生々しさにとても衝撃を受けました。『(復興が)進んでいる、進んでない』に関して僕が何か深いコメントを言えるわけではないのですが、傷痕がすごく生々しく残っていたなと。地元の方々も時が止まっているというか、『ここでこんなことがあったんだよね』っていうことをいまだにそこに行くたびに思い返してしまう、『ここが壊れてしまったんだな』『ここに行きたくない』と思い返してしまうということを聞いて、すごく胸が痛むものがありました。そして子どもたちには、『どんなにつらいことがあっても、いずれ時が来れば何かはしなきゃいけない、どんなにやりたくなくても、どんなに進めなかったとしても、締め切りが来たら結局は進まなきゃいけない』、そんなことを言いました。震災から半年以上が過ぎ、『何ができるか』『どんなことが進んでいるか』とか、いろいろなことを考えると思いますけれど、来る時は来るし、来ない時は来ないから、『もうしょうがない』と思うしかないところもあります。でも、その“しょうがない”の中に、笑顔やその時の一生懸命がいっぱい詰まっていたらいいなと思います」

羽生 「配信という形を取った時に、選ぼうと思えばほかの地域で滑ることも可能でしたし、いろいろなことをしようと思えばできたとは思います。ただ、やはり僕はなるべく、つらかった方々、いまつらいと思っている方々、いろんなことで悩んでいる方々の近くで滑りたいと思いました。その地域の力みたいなものや現場の空気みたいなものを僕らは感じながら滑りますし、少しでもこの場所から波動として、空気が動いて、皆さんの元に届けと思いながら滑らせていただきました」

羽生結弦らが能登半島復興支援チャリティー演技会を開催「笑顔の輪が広がってくれたら」

 この「能登半島復興支援チャリティー演技会~挑戦 チャレンジ~」は、映像配信サービス・Leminoで見逃し配信中。収益は石川県に寄付されます。



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