ドラマ「高杉さん家のおべんとう」小山慶一郎インタビュー「家族の愛を伝えたい」2024/09/26
独身で彼女なし! 全力空回り男の高杉温巳(ハル)と、いとこでしっかり者の女子中学生・久留里(平澤宏々路)の凸凹共同生活を描いた「高杉さん家のおべんとう」が、10月2日から日本テレビ系で放送される。原作は柳原望の同名漫画。不器用な2人が“お弁当”をきっかけに少しずつ家族として距離を縮め、絆を深めていく。芸能生活24年で連続ドラマ初主演というNEWSの小山慶一郎に、見どころと意気込みを語ってもらった。
――主演のオファーが来た時の感想は?
「驚きました。これまで、ドラマのスピンオフで主演を演じたり、演技のお仕事はちょこちょことやってはいたのですが、連続ドラマの主演はなくて。マネジャーから『ドラマが決まりました』と言われた時に『何の役?』と聞いたら、『主役です』と言われ、『マジで?』という感じでした(笑)。芸能生活24年、NEWSも20年、僕自身も40歳を迎えましたが、まだやっていないことってあったんだなと思いました。新鮮です。自分で(主演を)やりたい! と思っても、オファーが来ないとできないじゃないですか。そういう意味でも、今やる意味があるなと。それに、全力を注いでやった結果、これから先に開ける未来があるかもしれないと思っています。芝居に目覚めちゃうかもしれない(笑)。僕らって(事務所の中でも)中堅じゃないですか。むしろ、ちょっとベテランの立場。ですが、初主演なので新人のような感覚です。ただ、スタッフさんがどう思っているのかなど、現場のことはすごく分かっていて。知識はあるので、撮影に関して空回りはしないと思います。現場が順調に進んでいくよう、ちょっと心の余裕を持ちつつ、これまで芸能界で培ってきた知識と経験を発揮していきたいです」
――このタイミングで良かったですね。
「今なら全部分かっているので、芸歴と年齢は大きいと思います。若い時にドラマの主役のお話を頂いていても、台本に追われる毎日を過ごしていたんじゃないかな。今はセリフの裏を読みたいという思いがあって、なんでこのセリフはこの心情なんだろうとか、すごく興味があります。それに、母親への感謝の気持ちや、40歳になって人生経験を経てきたからこそのセリフの受け止め方はあると思うので、このタイミングで演じられて良かったです」
――座長としての心構えを教えてください。
「“安定感”でしょうか。以前、(堂本)光一くんのミュージカル『SHOCK』に出演させていただいたのですが、光一くんって動じないんですよ。いつも同じ時間軸が流れているんです。光一くんがテンパったり、焦っているところなんて見たことがないけれど、めちゃくちゃ息切れしていたり、つらそうな時はある。それだけ役に懸けているんだと思います。カッコいい姿しか見ていないんです。光一くんが見せてくれた表ではカッコいい姿、裏は“安定感”という姿が自分にも根付いていて。なので、自分も座長として安定している人でいたいなと思います。実は若い時に、舞台で何度か座長を務めたことがあったのですが、テンパってしまい、分からなくなってしまって。そういう面を共演者に見せていたというのが、カッコよくなかったなと。なので、この現場では、いつも変わらず、テンパらない姿を心掛けたいと思います」
――NEWSのメンバーの加藤シゲアキさん、増田貴久さんの反応は?
「3人一緒の時に、マネジャーから『小山さん10月クールやります!』と報告があったのですが、シゲは『おめでとう』、まっすーは『ふーん』という反応でした(笑)。実は、今まで2人(の出演作品)を見ていて、NEWSの曲が主題歌になるのっていいなと思っていたんです。ドラマや映画の主演を務めないと、主題歌は歌えないと思っていたので、自分の目指していたことがかなったなと。やっとNEWSに還元できるのがうれしいです。あと、声を大にして言いたいのは、僕、これまでシゲとまっすーの現場に大量に差し入れをし続けてきたんですよ(笑)。以前、シゲが教師役のドラマをやった時、生徒が200人いると聞いたので、まっすーと2人で気合いを入れてお弁当を200人分差し入れして、その後すごい金額の請求書が届きました(笑)。なので、今回は2人にも頑張ってほしいと思います(笑)。後輩たちの動画共有サイト(Instagram)を見ていると、ドラマの撮影現場に毎回、他のメンバーから『差し入れが届きました!』的なネタが投稿されているんですよ。あれを2人にもやってほしいです(笑)」
ぎこちない距離感をどう縮めていけるのか、撮影が始まるのが楽しみ
――当初、この作品にどのようなイメージを持たれましたか?
「『おべんとう』という言葉の通り、この作品では魅力的なお弁当はもちろん、卵をふわふわにするための裏技や、お弁当作りのテクニックなども紹介します。でも、一番の見どころは、ある日、僕が演じるハルが久留里という中学生の保護者になり、彼女と絆を深めていく部分かなと。お弁当を通して、いかに2人の距離が縮まり家族になっていくのか。見ていてほっこりする話だなと思いました」
――ハルは、初対面で中学生の保護者になりましたが、小山さんならどうしますか?
「もちろん、姉(※みきママ/藤原美樹さん)に頼ります。姉は子供を3人育てているので、姉の家に僕も居候しようと思います(笑)。僕一人じゃ無理です。もし、ハルのような状況になったら、受け入れないといけないとは思うけれど難しいですよね。自分にできる環境の中で、大人になるまでは育ててあげようと思うかもしれません。久留里とハルって、親を亡くしたという共通点があって。そこに見放せない何かを感じたのかもしれません。僕もハルのように共通している何かを感じたら、受け入れるんじゃないかと思います」
――共演の平澤さんの印象は?
「宏々路ちゃんって、すごく落ち着いていて、しっかりしているんですよ。初対面の時、緊張させちゃうと悪いかなと思って、結構しゃべったんですけど、空回りして(笑)。思わず『ご迷惑をおかけしないように頑張ります』と伝えました(笑)。宏々路ちゃんが演じる久留里って、最初はセリフも少ないから、難しいんじゃないかなと思っています。台本に書かれている『…』で見せる表情や呼吸を、どう描いていこうかと監督と相談していた彼女を見て、すごいなと思いました。久留里とのシーンは、最初はぎこちない感じなのですが、1シーン目が一番大事だと思っています。そのぎこちない距離感をどう縮めていけるのか、撮影が始まるのが楽しみです」(※取材時はクランクイン前)
――ハルとの共通点はありますか?
「僕も大学で地理学を学んでいたのですが、当時は韓国の文化をメインに勉強していて。その土地に根付いている食文化や、習慣、環境、気候など、いろんなリポートを書いていました。研究者もそうですよね。集めたデータを分析して、どう表現するのかと考えたら『僕、大学の時に結果的に地理学をしていたんだな』と思って。それに、キャスターをしていた時は、ずっとフィールドワークだったんです。現地に行って一般の方にお話を聞く。その状況を理解して、原稿を自分で書いてリポートしていました。そういう意味では、研究者に近いことをしていたのかなと思っています。ハルが大事にしているフィールドワークは、僕も共感できます。あとは、何でも数値化してしまうところかな。ドラマは撮影期間も短いし、そこで全10話を撮りきらないといけない。順撮り(※ストーリーに沿って順番に撮影していくこと)もできないので、例えば1話と7話を同じタイミングで撮影することになった時、『7話って久留里とどういう距離感だっけ?』というのを、そこにいる全員が把握しておかないと、物語の山は作れないと思うんです。ハルは数値化するのが得意ですが、図らずも僕も監督に『数値化したら、久留里とどのくらいの距離感ですかね?』と聞いていました(笑)。『10が一番近いならば、今はいくつですか?』ということを、全スタッフと共有したいと思っています」
――人との距離感は、どのように取られていますか?
「結構、年下から相談されることが多いんですよ。話を聞いてあげることは得意な方なので、最初は距離を縮めようと、僕も質問をいっぱい投げます。すると、まだ人生も固まっていないし、僕らからすると小さい悩みだなと感じることがあって。というのも、僕も高校の時、受験に失敗していて、その時は“人生終わった”と思ったんです。でも、大人になって『高校受験に落ちた』と人に言っても、『で?』って感じなんですよ。なので、僕も話を聞いた上で『たいしたことないよ』とか、実体験を踏まえて何か言ってあげられることはあるのなかと。それに、以前キャスターをしていた経験から、知識がゼロの状態でも質問ができるすべを身に付けたんです(笑)。なので、どんな状態でも質問が湧いてきて。人との距離の取り方は割とうまい方だと思いますが、宏々路ちゃんとは(役柄上)最初のうちはあまり距離を縮めなくてもいいかなと考えています」
「母ちゃんありがとう」って思いました
――「おべんとう」の思い出を教えてください。
「母が44年間ラーメン店を営んでいるので、うちのお弁当は中華料理が多かったですね。ドラマできんぴらごぼうだけの一品弁当が出てくるのですが、うちも一品系が多かったです。例えば、白米とチンジャオロースとか、八宝菜、ギョーザとか。子どもの頃はチンジャオロースのお弁当が好きでしたが、今思えば当時はニンニク臭かったと思います(笑)。でも、母はそれをお昼まで保つように、なんかちょっとしたことをやってくれていたと思うんですよ。中華って、脂で料理が白くなっちゃうじゃないですか。でも、母の中華は全然白くならなかった。ドラマではマーボーナスを取り上げて、ちょっとしたテクニックを紹介していますが、母親にも当時そういう技を使っていたのか聞いてみたいですね。あとは、姉に聞けば何でも教えてくれるでしょう(笑)。割とうちの親族は料理が得意なのですが、僕はすごく苦手なので、ハルが料理上手な役だったらきっと困っていました(笑)。でも、彼も不器用ながらお弁当作りをしていくので、そこは助かっています」
――第1話ではハンバーグを作るシーンが登場しますが、撮影前に何か準備はされましたか?
「ハンバーグは以前作ったことがあるので心配はしていませんが、このドラマが決まって、卵焼きなどの簡単なものですが、キッチンに立って作るようになりました。フライパンを持つのに慣れておこうと思って。役柄としては慣れていなくてもいいのですが、手元の撮影で必要かなと思い、少しずつ料理に触れています。ゴーヤチャンプルーとか、カレーとか。母と姉には、今回のドラマ出演の話はまだしていません。でも、姉の得意分野なので、姉に聞く機会も増えるんじゃないかと思います」
――小山さんが今の技術でお弁当作るなら、何を入れますか?
「ゴーヤチャンプルーの一品でいきます! 後はご飯。他は…入れて卵焼きかな。卵がかぶるのですが、今はそれくらいしかできないです(笑)。今の技術だと、彩りも気にしてられない! あっ、ハンバーグも作れます。でも、大変ですよね。世の中のお母さんやお父さんは、毎日お弁当作りをしているわけで…。あと僕、ドラマの中に出てくる『お弁当って今食べるものじゃなくて、ほんの少し未来をしつらえる』っていうセリフが好きなんです。今食べるわけじゃない食事…お昼とかに食べることを考えて作るのって、愛がないとできないなと思って。この時間にこれだったら食べやすいかなとか、こうしたら卵がふわふわの状態でお弁当に入るよねとか、そういうのを考えて作るのって愛情しかないですよね。僕が食べてきたお弁当の中には愛が詰まっていたんだなと思うと、今、母が作ったお弁当を食べたら泣けるだろうなと。昔はお弁当を残したこともあったのですが、今なら『ふざけんな』と思います。年を取って分かることって多いですよね。お弁当から見える家族の愛みたいなものが台本から読めて、『母ちゃんありがとう』って思いました」
――今トライしたい料理のジャンルはありますか?
「母の存在もあり、中華はやるべきだと思っています。実は、中華鍋も持っていて。シーズニング(※鍋の油ならし)も実家でやってもらい、メンテナンスしてもらったんです。一度、キャンプにも持って行ったことがあって、チャーハンやマーボー豆腐を作りました。中華は火力と手際の速さが勝負ですが、先生が近くにいるので挑戦したいです。あと、僕がキャンプに行く時にこだわるのが“地産を食べる”ということ。現地の道の駅などに行くと、売っている野菜を作っている人の名前が分かったりするんですよね。誰が作っているか分かるのってすごく安心があるし、より残しちゃいけないっていう思いになるので、その土地に根付いたお野菜をいただくということにこだわっています」
――ドラマを通じて伝えたいことはありますか?
「ハルは、自分が両親を亡くしていて家族というものが何か分からなくなっている中で、久留里と出会い、“家族”を思い出していきます。僕も40歳を過ぎて母親のありがたみが分かってきたように、ハルも久留里を育てることで、自分の両親がくれた愛情に気付いていくんじゃないかな。その部分に気付いてからの芝居も変わると思うし、変えていかないといけないなと。そこを丁寧に監督と話し合いながらやっていきたいと思います。派手な芝居じゃないけれど、見ている方にほっこりしてもらいたいです」
――ドラマの見どころのように、最近小山さんに起きた“ほっこり”エピソードを教えてください。
「ミルクという名前の猫を飼っているんですが、毎日起きると、必ず一発目にミルクと目が合うんですよ。こいつ、ずっと僕のこと見て寝ているのかなと思って、ほっこりします(笑)。僕はベッド、ミルクはその下で寝ているはずなんですが、起きると僕の方をじーっと見ているんです。いつから見ているのかな、といつも思っています。そして、僕が起きるとベッドに上がってきて、『なでて』と近寄ってくるんです。今朝もやって来て、目が合ったので『目、合ったね』と声を掛けたら、『にゃー』ってちっちゃい声で返事してくれて…。たまんないですよね(笑)」
――ありがとうございました!
【プロフィール】
小山慶一郎(こやま けいいちろう)
1984年5月1日生まれ。神奈川県出身。牡牛座。O型。現在、NEWSのメンバーとして8都市で17公演を行うライブツアーを開催中。
【番組情報】
水曜プラチナイト「高杉さん家のおべんとう」
日本テレビ系
10月2日スタート
毎週水曜 深夜0:29~0:54
取材・文/Mayu.O(日本テレビ担当)
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