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金メダルを目指す空手界の新星・西村拳選手2020/04/08

Cheer up! アスリート2020!

 来たる東京五輪で、競技種目として初めて採用された空手。次世代を担う期待の選手は、スラリと伸びる長い脚からのスピーディーな蹴りを武器とする、“空手界のプリンス”西村拳。「目的は金メダル」と言い放つ、強気なプリンスの練習に密着した。

目的は金メダル! “プリンス”のプライド

 昨年、スペインで開催された空手のプレミアリーグ・マドリード大会に出場後、東京五輪の日本代表に内定。五輪本番に向けて、技に磨きをかける西村が、2月某日、母校・近畿大学空手道部で公開練習を行った。

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「オリンピックに出ることが目的ではなく、あくまで金メダルを取ることが目的。内定したからといって、特に僕は変わることはないです」

 しかしここ最近、負けが込んでいたことは否めない。その状況を打破すべく、監督と2人でアゼルバイジャンチームに混じり、1月末に武者修行を経験してきた。アゼルバイジャンには、西村にとって最大級の憧れの存在であるラファエル・アガイエフがいる。

Cheer up! アスリート2020!

「アガイエフ選手に僕の方から何度かお願いして、4日間のうち、手を合わせた練習は1~2回。機会は少なかったですが、アップから練習中の取り組み方を間近で見ることができて。それに、34歳なのに基礎体力トレーニングでは誰よりも汗をかいていたし、若手の選手がサボっていれば注意して律している。そんな姿を見て、改めて尊敬しました」

 そのアガイエフが、マスコミのインタビューに「東京五輪の決勝は、拳とやりたい」と語っていた。

「中学1年の時、東京で世界選手権に出ているアガイエフ選手を生で見て、くぎ付けになって、鳥肌が立って。ずっと追いかけてきた人なので、そんな人から『試合をしたい』と言っていただけたのは、認められたということで、すごくうれしかったです。その言葉を胸に、オリンピックの決勝で、アガイエフ選手と試合できたらうれしいですね」

Cheer up! アスリート2020!

 西村の必殺技といえば、長い脚を使った蹴り技。特に、至近距離から不意をついて繰り出す上段蹴りは鮮やかで、空手の技を知らなくても見ていてワクワクさせられる。

「僕の競技は組手なので、相手との攻防で無骨なイメージが強いかもしれないですが、スピーディーなところもたくさんあるんです。回転蹴りや投げ技など、意外と皆さんが『そんな技あるの?』って思うようなドラマチックでエキサイティングな技があるので、オリンピックでもそんなところに注目して楽しんでいただけたらと思います」

Cheer up! アスリート2020!

 2時間の激しい練習中、意外にも道場内には、J-POPがランダムに流れていた。わずかな休憩時間には、ストレッチしながら音楽を聴き、後輩たちと笑顔で話す、24歳の普通の青年の顔を見せた西村。そんな彼に、自分への小さなご褒美に、何をしているか質問してみた。

「毎日ではないですが、家の近くにおいしいケーキ屋さんがあって。たまに『疲れたな』『明日は休みだな』って時は、チーズケーキを食べてリフレッシュしています。あと、プリンも好きです(笑)。生クリームは苦手なんですけど。そうやって1日の終わりに、自分へのご褒美をあげています」

 スイーツの話になると、思わず破顔した空手界のプリンス。華麗な蹴りで、金メダルを勝ち取る勇姿をぜひ見たい。

Cheer up! アスリート2020!

【TVガイドからQuestion】

Q. 印象に残っているスポーツ名場面は?

実は、スポーツはあまり詳しくないのですが…小さい時に見た北京五輪での、水泳のマイケル・フェルプス選手の8冠は、すごいなと思いました。それと柔道の大野将平さんの、リオ五輪での金メダル。あれはカッコよかった!

【プロフィール】

西村拳(にしむら けん)

1995年12月31日、福岡生まれ。3歳から和道流の空手を始め、中学生の頃に見たラファエル・アガイエフの試合に触発されて一念発起。高校では全国総体の団体組手と個人で優勝、近畿大学に入学後は全日本学生選手権で組手の個人と団体で2冠を獲得する。その後、2016年のプレミアリーグ・ハンブルク大会でアガイエフと対戦し、勝利する快挙を成し遂げる。父は、空手の元世界王者である西村誠司。

取材・文/佐藤尚生 撮影/福羅広幸(兄弟エレキ)



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