ハンドボール日本代表主将・土井レミイ杏利選手!「出場するからには一番いい色のメダルを目指して」2020/08/19
東京五輪に出場予定のハンドボール男子日本代表でキャプテンを務める土井。並々ならぬ愛情を注ぐ競技の魅力、そして五輪への強い思いとは!? また、動画アプリやSNSでの投稿により、“レミたん”という愛称で絶大な支持を得ている背景にも迫る!
競技愛がもたらすパワー
土井のプレーは迫力があり、すさまじい跳躍力にも魅入られる。ハンドボールの強豪国であるフランスのプロリーグで活躍し、昨季からは東京五輪を見据えて日本でプレー。日本代表のキャプテンにも就任した。
「フランスでプレーしていると、日本とのシーズンの差で、代表合宿の全てには参加できないんです。五輪に出るからには結果を残したいので、日本代表のメンタルを変えるために日本に戻って来ました」
日本代表は開催国枠で東京五輪への出場が決まっている。1988年のソウル五輪以来、8大会ぶりの出場となり、期待がかかる。
「小さい頃、五輪競技の中にハンドボールがあると知った瞬間から、五輪は僕の夢です。機会を与えてもらったからには、全力でやるだけと前向きに捉えていますね。それに、僕はプレッシャーを感じるタイプではないんです(笑)。僕の中ではサポーターの皆さんも仲間なので、仲間の期待ならプレッシャーではなく、むしろ力になります。そして、出場するからには、一番いい色のメダルを目指して頑張りたいと思っています」
だが、東京五輪がコロナウイルスの影響で1年延期に…。
「“ああ、やっぱり延期か”って落ち込んでから、3秒くらいで立ち直りました(笑)。現状、中止じゃなくて延期ですからね。それに、探したらポジティブな点もいろいろ見えてきました。例えば、競技やアスリートが一番注目されるのは五輪の前。その期間が1年延びたことで、ハンドボール界への関心をより高められる可能性が広がりました」
プレーだけでなく動画投稿やツイートにも尽力し、特に動画アプリでは100万フォロワーを突破する人気ぶり。“レミたん”と呼ばれ親しまれている。こうした活動も、ハンドボールへの愛情ゆえだという。
「最初は友人数人を笑わせるためだけに動画の投稿を始めたのですが、ある日気付いたんです。ハンドボールを全然知らない人が、これだけフォローしてくれているなら、ハンドボールを普及させることに生かせるなって。でも、すぐにはハンドボール関連の動画は載せませんでした。それは、“レミたん”としての僕を知ってもらえば知ってもらうほど、実はハンドボーラーだったというギャップで衝撃を与えられると思ったからです。でも、実際に載せた時に、期間を空けすぎたのか、“どうせ合成でしょ?”って、ほとんどの人に信じてもらえなくて…。それは計算外でした(笑)」
日本代表をけん引し、普及にも尽力する。そこまで愛するハンドボールの魅力とは?
「ハンドボールには、人間が基本的に行う動作である“走る・投げる・跳ぶ”が入っていて、すべてを駆使しないとできないスポーツです。正面から思い切りぶつかりに行ったり、ラグビー的な激しさもあります。見てもらえれば、ルールが分からなくても絶対に楽しんでもらえます。ただ、相手ゴールにボールを入れたら1点というのだけは覚えておいていただけたら(笑)。シュートの時の滞空時間が長いので、そこでキーパーとどれだけ駆け引きしているのかも楽しんでいただけると思います。試合では、絶対に勝ちにいくという姿勢を見せています」
8月29日には、日本ハンドボールリーグが開幕する予定だ。
「“レミたん”の後付けでもいいので、ハンドボールを見てもらえればうれしいです。ただ、心の底からハンドボールを愛しているからこそ中途半端なプレーは嫌で、試合になるとスイッチが入るのでチームの中で僕が一番怖くなります。動画とは全然違いますが、同じ人物なので安心してください(笑)」
【TVガイドからQuestion】
印象に残っているスポーツ名場面は?
2015年のラグビーワールドカップで日本が南アフリカに勝った時ですね。僕はまだフランスにいる頃で、チームメイトが「絶対に見た方がいい、テレビを付けろ」って連絡してくれたので、見始めたんです。格上の相手に同点で終わっても良い状況で、諦めずに勝ちにいった瞬間は鳥肌も涙も出るし…。あの感動は忘れられません。日本人じゃなくても感動する瞬間でしたよ。僕に連絡してきたチームメイトも号泣していましたね。
ハンドボール競技概要
1チーム7人ずつで、ボールを手で扱って相手ゴールへと投げ入れて得点を競う。ゴールから6mのゾーンにはゴールキーパーしか入ることができず、シュートはゾーンの外側から、またはゾーンの外側から内側に向かってジャンプしている状態で打たなければならない。21年開催予定の東京五輪には、男女各12チームが出場予定。
【プロフィール】
土井レミイ杏利(どい れみい あんり)
1989年9月28日、フランス生まれ。天秤座。A型。大崎電気工業株式会社ハンドボール部所属。千葉で育ち、小学3年生の時にハンドボールを始める。大学4年生の時に膝を故障し、「ハンドボールを愛しているから中途半端に続けるのが嫌」と、現役を引退してフランスに語学留学。しかし、膝の痛みが消え、ハンドボールを再開。フランスでトップチームとプロ契約を結び、14~15年シーズンに驚異のシュート成功率75.61%を記録するなど活躍。16年に日本代表に初招集され、「一度ハンドボール人生を諦めた人間が代表になれてうれしかった」という。現在は日本代表をけん引している。
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(応募期間:2020年8月19日正午~8月26日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」8月28日号(P98)をご覧ください。
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取材・文/山木敦 撮影/Marco Perboni
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