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山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー2024/05/23

山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー

 TBS系では長谷川博己が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」が放送中。長谷川が演じるのは、「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹。「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける、前代未聞の逆転パラドックスエンターテインメントだ。

 第6話までに、明墨と東京地方検察庁の検事正・伊達原泰輔(野村萬斎)の関係が明かされ、明墨の真の目的にたどり着きはじめた。そこでキーになるのが、明墨法律事務所を見張るなど謎多きシーンで話題を集める、伊達原の部下・菊池大輝(山下幸輝)。今回、そんな若手検事を演じる山下さんに、初の日曜劇場に出演しての意気込みや作品への魅力について伺った。

山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー

――作品の前半までを演じてみて率直な感想をお聞かせください。

「僕自身、たくさんのベテランの方々と対峙(たいじ)してお芝居することが今までなく、今回が初めてだったので、最初はその空気感に押されてしまう瞬間がありました。今は徐々に慣れてきて、演技や立ち振る舞いなど現場で学ばせていただいています」

――SNSでも反響がありますが、ご自身の元にそういったのは届いていますか?

「母親世代の方からもお声をかけてもらえる機会が増えて、たくさんの方々に僕の存在を知っていただけてうれしいです」

――菊池というキャラクターがどんな人なのかこれから明かされていくかと思います。あらためて役への解釈や役作りについて教えてください。

「作中には出てこないですが、菊池は27、8歳の年齢で東大卒という裏設定があります。それも踏まえて、どしっと構えた立ち姿でいるように意識しています。キャラクターの性質としては、上司になんでも迎合していく性格で、伊達原の言動がたとえ悪だとしても、菊池はそれが正義だと思って動いています」

――撮影を振り返って、印象に残っているシーンはありますか?

「僕がクランクインした日の最初の撮影が、木村佳乃さんと対峙してお芝居するシーンでした。最初から菊池が本をバーンと投げて、上げていかないといけないお芝居だったのですごく緊張しました」

山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー
山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー

セリフを間違えている瞬間を見たことがない!

――具体的にこの人の姿勢に感銘を受けたと感じた瞬間はありましたか?

「法廷での明墨を演じる長谷川さんは、セリフ量が多いのはもちろんですが、一つ一つの言葉に迫力があり、その精神力に感銘を受けました」

――野村萬斎さんとのシーンも多いですが、共演して感じたことを教えてください。

「萬斎さんが演じる伊達原は、目の奥が笑っていないんです。その目で訴えてくるパワーに負けそうになります。菊池はそこで負けるタイプではないので、じっと見つめ返しています」

――法廷のシーンでは北村匠海さんや堀田真由さんとも対峙していますが、この作品で唯一の同世代として刺激を受けたことはございますか?

「お二人とご一緒したのは今のところ法廷のシーンだけですが、セリフを間違えている瞬間を見たことがないです。事前に相当の準備をして自分の中に落とし込んでお芝居されている姿を見て、僕ももっと頑張りたいと刺激をいただいています」

――撮影の雰囲気は穏やかとお聞きしました。

「セリフ量が皆さん多いですが、間違えてもそれを励まし合いながら場が盛り上がるぐらいの雰囲気で撮影が進んでいます。作品とのギャップが伝わってきて、そこもすてきだなと」

山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー

面白いギャップのある演出を僕もやりたい!

――本作は、ご自身の役者人生においてどういう経験になっていますか?

「俳優としてまだまだこれから走り続けていきたいと思っていたこのタイミングで、日曜劇場という大きなドラマに出させていただけてすごく光栄です。もう少し経験を積んでいたら、今感じているこの大緊張とはまた違う気持ちになっていたと思うので、今経験できていることが僕の俳優人生において大きな出来事になっています。それを糧にして、今後もお芝居をしていきたいです」

――そういう意味では特別な作品になりそうですね。あらためて山下さんが感じている今作の魅力を教えてください。

「このドラマはどんどん伏線が張られていきますが、見事に予想を裏切っていくところがすごく魅力だなと思います。SNSでも視聴者の方がたくさん考察して『あれはこうだろう』『いやこうだろう』と盛り上がっている中で、毎回最後は『はい、これでした』という衝撃の展開がエンターテインメントとして面白いです。また、一視聴者として何度も見返したくなる作品です」

――その散りばめられた考察の伏線要素の中に、菊池も入ってきそうな予感はありますか?

「入っていますね。第4話の最後に伊達原に『ちょっと君、頼みたいことがあるんだけど…』と言われていて。ここから菊池がどんな動きをするのか楽しみにしていただけたらうれしいです」

――考察に自分が携わるシーンを撮影する時はどういう気持ちですか?

「『やったろう』と思いながら撮影をしています。視聴者の方が僕の演技を面白いなと思ってもらえるようなお芝居や演出を、自分で持っていけるようになりたいです。第1話で明墨がハリネズミの演技をした時に、そういうギャップのある面白い演出を僕もやりたいと思いました」

――全体を通してもう一度見ていただきたいシーンがあれば教えてください。

「やはり第1話の最後『私は人の病気をさらしてでも勝ちたいんですよ』というシーンは、アンチがくるとは思いますが、これは成立ですねと言わざるを得ないようにさせた、長谷川さんの演技や演出の流れに感動しました。僕はその第1話が印象に残っています」

――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

「第5話の終わりぐらいから菊池がこそこそと動いていて、最終回に向けてぐわーっと面白い展開になっていきます。それまで菊池のことを見守っていてほしいなと思います。そして、毎回起きる裏切りと明墨の心に刺さる言葉を何度も聞いて、シンプルにドラマを楽しんでいただきたいです」

山下幸輝「萬斎さんの目で訴えてくるパワーに負けそうになります」――「アンチヒーロー」インタビュー

【プロフィール】

山下幸輝(やました こうき)
2001年11月7日生まれ。大阪府出身。20年、第33回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でファイナリストとなる。22年に「君の花になる」(TBS系)で初の連続ドラマレギュラー出演を果たす。そのほか、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)、「沼る。港区女子高生」(日本テレビ)、「ガチ恋粘着獣」(テレビ朝日ほか)などに出演。また、24年8月には主演映画「マンガ家、堀マモル」が公開予定。

【番組情報】

「アンチヒーロー」
TBS系
日曜 午後9:00~9:54

取材・文/N・E(TBS担当)



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