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いよいよ明日から「新プロジェクトX」がスタート! 有馬嘉男「失われた30年から読み取るべき教訓がいっぱいあると思う」2024/04/05

いよいよ明日から「新プロジェクトX」がスタート! 有馬嘉男「失われた30年から読み取るべき教訓がいっぱいあると思う」

 NHK総合で18年ぶりに復活する番組「プロジェクトX」の新シリーズが、いよいよ4月6日から放送される。「新プロジェクトX」の放送開始に先駆けて会見が行われ、MCを務める有馬嘉男記者と森花子アナウンサー、制作統括の久保健一氏が登壇した。

 “無名の人々”の挑戦に隠されたドラマに焦点を当てる本番組、新シリーズでは主にバブル崩壊以降「失われた」と形容される平成・令和で注目されたプロジェクトに光を当てる。

 今年1月、ウクライナ・キーウで出張取材をしている時に「『プロジェクトX』を復活させるので帰国してほしい」と伝えられたという有馬記者は「オファーを受けて以来、『昭和からの決別』を裏テーマに、新しい価値観で見ていくのが面白いのではないかと思っていました。ところが、収録や取材、打ち合わせを重ねていくにつれて、それは簡単じゃないことが分かってきました」と吐露し、「大勢の人が関わるプロジェクトは、結局、上司と部下の信頼関係や、時には自己犠牲をいとわないチームワーク、無償の家族愛や友情など、人々のすごく単純な感情や思いで支えられているんです。そんな、いつの時代も変わらない思いがプロジェクトを大きく動かしていることをあらためて知りました」と述べつつ、「新シリーズも基本的には18年前と変わりません。『努力は報われる。きっと夢はかなう』そう信じて頑張ってきた人たちのドラマを丁寧に掘り起こして伝えていく、そんな番組になります」と見どころを語った。

 その上で、「個人的には『昭和からの決別』という裏テーマも持ち続けていきたい」と胸中を明かし、「『失われた30年』は、僕が記者として取材してきた期間と丸々重なるんですけど、物づくりでいえば、日本の敗戦の歴史とそのまま重なっている30年でもあります。昭和の時代に勝ち取った世界でのポジションを1回失って、自信や活力を失ってしまった時代です。成功体験で留飲を下げるのではなく、この30年の失敗や挫折から読み取るべき教訓がいっぱいあると思うので、それを時にはストレートに、時にはにじみ出るように丁寧に作っていきたい」と誓った。

いよいよ明日から「新プロジェクトX」がスタート! 有馬嘉男「失われた30年から読み取るべき教訓がいっぱいあると思う」

 一方、水戸放送局に所属しながら番組MCを務めることになった森アナは、「MCに加え、水戸放送局の業務、そして子育てを両立しながら番組に挑むことになりました。私自身、慣れない中で、いろいろな挑戦をしながらこの番組と向き合っていきたいと思っています。視聴者の皆さんが『この番組を見てよかった』『あの人の知恵や考え、生活に役立てられる』、そう思っていただけるとうれしいです。皆さんと一緒に楽しめる、勉強になる、学びがある、希望がある番組にしていきたいです」と目を輝かせた。

 続いて、収録を重ねる中で旧シリーズとの違いを感じた部分を尋ねられた有馬記者は「働き方や働くことに対する価値観、会社との距離などがちょっと違うんです。少しずつ時代を感じるドラマになっていることを、われわれも意識して物語を発掘しているので、その違いを感じていただけたら」と見解を述べ、森アナは「事前特番で宇宙飛行士の野口(聡一)さんが、今の時代のプロジェクトは『Reborn(リボーン)』だとおっしゃっていて。その言葉が非常に印象に残っています。ただ、先人たちのまねをしているのではなくて、オリジナリティー、新しい価値観、考え方、創意工夫を積み重ねてきたRebornの形をお伝えできたら」とコメント。

 さらに、スタジオでの対話はどのくらい台本を作って収録を進めているのかという質問に対して、有馬記者は「当然、想定質問はあるんですけど、基本は人とのやりとりで、ゲストの方たちとの打ち合わせはしないまま臨んでいます。僕なりの仕込みはありますが、それはスタジオで開けてみてどうなるか分からないのが本当のところです」と明かすと、久保氏も「初回のスカイツリーも、『スタジオで鉄骨プレスを体感したいよね』といろいろやったのですが、結局はゲストの3人のトークが一番面白かったので、出し物のシーンは全部使わなかったんです。MCの2人には申し訳ないですが、やっぱり、それだけ用意していた質問が必ずしもベストではない」とゲストとのやりとりを中心に番組を作り上げていることを語った。

 森アナも「ゲストの皆さんが時折涙ぐんだりする表情をしっかり見ようという努力をしていて。想定の質問は大事にしつつも、流れやその時の空気感もすごく重要だと感じています。最初に番組の打ち合わせをした時に、『スタジオのドキュメンタリーだよ』という言葉を言われたのですが、数回の収録を経て、まさにその通りだと感じています」とうなずいた。

いよいよ明日から「新プロジェクトX」がスタート! 有馬嘉男「失われた30年から読み取るべき教訓がいっぱいあると思う」

 主題歌とナレーションは、旧シリーズに引き続き中島みゆきと田口トモロヲが担当。「新しくほかの方にオファーすることは全く頭をよぎらなかった」という久保氏は、「新・地上の星」として中島が楽曲を録り直したことに関して「中島さんがキーを変えるとおっしゃった意図は、正直僕らには分からないんですよね」と前置きした上で「ただ、面白いなと思ったのは、旧シリーズの時はタイトルにかかる白黒の映像に楽曲がぴったり合っていて、新シリーズでは新しく奇麗になった映像に、少しキーが上がった『新・地上の星』がピタっときたんです。さすがだなと思いました」と称賛。

 一方、学生時代は朝から晩まで剣道に打ち込みテレビを見る時間はあまりなかったが「プロジェクトX」の存在は知っていたという森アナは、「実は、カラオケで必ず歌うのが『地上の星』だったんです」と告白し、「ちょっと鼻をつまんで、ものまねみたいな形で歌うのが私の十八番(おはこ)でした」と笑いを誘いつつ、番組との縁を語った。また、田口のナレーション収録を見学したことを明かし、「私は言葉をゆっくり話すことが苦手なので、どういうふうにナレーションをとっていらっしゃるんだろうと思ったら、すごくリラックスした状態でふわっと声を出されていて。今後も勉強をさせていただきたい」と思いを新たに。

 番組として、平成・令和をメインに取り上げる理由を質問された久保氏は「実際に証言できる方が多い年代で考えると、自動的にそうなってしまうんです。例えば、平成元年に30歳だったとすると、今は60代。生き生きと話せる方に取材するとなると、やっぱり平成・令和が中心になるかな」と題材選びの背景を告白。その一方で、「実は、大きく昭和を振り返るテーマもやりたいなと思っていて。証言者はご高齢にはなってくるんですけれど、どうしても描きたいものがあって挑戦中です」と明かし、「個人的には、僕も今年51歳ですが、大人になってから30年が『失われた30年』なんですよね。頑張ってきた人はたくさんいるし、そう言われるのはすごく悔しくて、むしろそこを積極的に掘ることに意味があると思っています」と今後への意気込みを語った。

 初回放送4月6日のテーマは「スカイツリー」。収録で印象に残った言葉を問われた森アナは「当時とびをしていたお二人が、完成の後のスカイツリーに昇っていないとおっしゃっていたんです。ご家族は昇ったけれど、ご本人は昇っていないそうで『下から眺めている時は、どんな気持ちですか』と質問をしたら、2人ともすごくうれしそうに『俺が建てたんだ』と答えてくださって。今回この収録をしなければ、街でお二人に擦れ違っても気付くことはなかったと思うんです。今自分の身近にいる人、隣にいる人が、もしかしたらすごい大きなプロジェクトを成し遂げた人かもしれないと想像すると、毎日がワクワクするのかなと思っていて。もしスカイツリーを眺めてうれしそうにしている人がいたら、そのプロジェクトに関わった人なのかもしれないなと感じ取れるようになったという意味で、胸に残っています」と放送に向けて裏話を打ち明けた。

いよいよ明日から「新プロジェクトX」がスタート! 有馬嘉男「失われた30年から読み取るべき教訓がいっぱいあると思う」

【番組情報】

「新プロジェクトX 挑戦者たち」
4月6日スタート
NHK総合
土曜 午後7:30~8:15

NHK担当/Kizuka



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