【映画「ゴールデンカムイ」SPインタビュー】二階堂兄弟を演じる栁俊太郎、命懸けの撮影を経て感じた“続編への期待”を明かす2024/02/08
――撮影は北海道、山形、長野、新潟の大自然の中で行われたそうですが、撮影での思い出やエピソードを教えてください。
「(思い出しながら)たくさんありますよ。舞台あいさつでも言ったのですが、(撮影中に)耳につららができて。そういう経験ってなかなかないじゃないですか。吹雪で寒すぎるけど、玉木宏さんをはじめ先輩方がいらっしゃるので、誰にも言えない。『左耳やばい…』と思いながらも何も言えない状況だったので、本当にギリギリだったんです。工藤阿須加くんとも話しましたが、その時は本当に耳が壊死するんじゃないか…という恐怖がありましたね。でも撮影が終わって、その後テントに戻って耳を温めた時の溶けていく感じはすごく感動しました。『人って、こんな窮地に追い込まれた後にストーブに当たると、こんなにも幸せなのか』と。あれはすごい感動でした」
――ストーブや暖炉に普段当たり前に触れられるからこそ、そのありがたみのようなものもいつも以上に感じたのではないでしょうか?
「本当にその通りです。太陽に当たるだけですごく暖かいんですよ。撮影したシーンが夜で、吹雪がすごくて、本当に極寒で。寒いところでタオルを回すとカチカチになるっていう話があるじゃないですか。まさに耳があの状態なんです。だから、顔の左半分が大変で…」
――人体でそれが起こると…まさに命懸けですね。
「とにかく怖かったです。だから、その恐怖を感じた後にストーブとかで温度を感じると、言葉にできない感動がありましたし、東京に帰った時の『太陽がありがたいな』という感じはすごく覚えています」
――現場での玉木さんの様子はいかがでしたか?
「玉木さんも(耳が)凍ってましたよ(笑)。『耳やばいな!』みたいなことは言っていて、玉木さんも人間なので、僕らと同じように感じていたとは思うのですが、めちゃくちゃプロフェッショナルな方なんです。文句なんて一言も言わないし、演じる鶴見篤四郎中尉ってすごく威厳のあるキャラクターなので、常にその迫力を持ちながら現場にもいられたので、僕もその存在の大きさに圧倒されっぱなしでした」
――玉木さんをはじめ、現場では第七師団のメンバーと共に過ごすことが多かったと思いますが、その分チームワークも強いのではないでしょうか?
「そうですね。第七師団って軍隊なので、スポーツチームの『行こうぜ!』みたいな熱いチームワークとはまた違うので、それがまた面白いんですよね。でも、単純に過酷な撮影をみんなで頑張ったことで生まれた、そのチーム感はもちろんあります。過酷な撮影でも楽しい思い出が強いので、またみんなで集まれたらうれしいです」
――お話を聞いていると、撮影チーム全体でも団結力は強そうですね。
「そう感じますよ。本当にみんな仲がいいし、やっぱりみんな原作が好きなんですね。原作が大好きな人が集まっているから『生半可に演じられない』という気持ちがみんなあったと思うし、それは出来上がった作品を見ていても思いました。みんなの本気度のようなものがちゃんと映像に出ていると感じています。撮影が終わった後もみんなでご飯を食べに行ったりして、すごく楽しかったですね」
――映画は少し気になる終わり方となっていますが、続編があればまた同じチームでやりたいという気持ちも強いですか?
「もちろんです。それはもう『ぜひあってくれ!』と思いますよ。すごく楽しかったし、これだけすてきな作品ができたという実感もあるので、見てくださる方にも『こんな面白い作品の続きが見たい!』と言わせる自信がみんなあると思うので。僕も続編は本当に願っていますし、二階堂をまた演じたいです。これで二階堂を終わらせるわけにはいかないと思っていますし、もし(続編が)決まったら、めちゃくちゃ気合が入ります」
「絶対に楽しませられる自信がある」――撮影期間を通して栁が感じた作品の魅力
――過酷な撮影期間を経て、「ゴールデンカムイ」という作品にはどんなことを感じますか?
「この壮大なスケールと、あとは個性的なキャラクターたち、とにかく熱いキャラクターがたくさん出ているし、面白いキャラクターが多いし、その中で繰り広げられてくシリアスな問題もコメディー要素を含めた展開だったりっていうのが、本当に今まで見たことないような作品だと思うんで、それは原作にしろ映画にしろあると思うんで、そこが間違いなく『ゴールデンカムイ』の魅力だと思います」
――では、実写版「ゴールデンカムイ」が持つ魅力についても教えてください。
「うーん…原作をすごくリスペクトした上で、生身の人間が演じているというところですね。本当に原作を愛しているからこそ、最後のアクション部分にオリジナル要素が加わっても、映画にしかない部分として見られると思いますし、原作のキャラクターがそのまま人間として映っているという自信があります。違う魅力というよりも、“原作から生まれた新しい『ゴールデンカムイ』”が見られることは魅力なのかなと思います」
――作品に触れてこなかった人も、映画をきっかけに好きになったり気になったりする人も増えるのではないかと思います。
「原作を読んでいない人でも間違いなく楽しめる作品だと思います。実際に僕の家族も『見た』という連絡が来たのですが、『めちゃくちゃ面白かった』と言ってくれて。いろいろな声があると思うのですが、絶対に楽しませられる自信があるし、絶対に楽しい作品だと思います。原作を知らずに映画を見た人はたぶん続きがすごく気になるだろうなと思うので、原作もぜひ読んでいただきたいです」
――最後に、これから作品をご覧になる方、ファンの方にメッセージをお願いします。
「『ゴールデンカムイ』が好きで集まったメンバーが、熱い思いを込めてスタッフさんと一緒に作り上げたものなので、原作を読んでいる方も読んでいない方も本当に楽しめる作品だと思います。期待してくださっている方には、その期待に応えられるようなスケール感の大きさになっていますので、ぜひ劇場で見ていただきたいです。本当に皆さんの力で盛り上げていただいて、広めていっていただけたらうれしいです」
〜インタビューでは、作品にかけたこんな質問も〜
――本作は“埋蔵金争奪サバイバル・バトル”ということで、杉元が北海道の金塊の話を聞いたところから物語が始まりますが、栁さんが「この話を聞くとついソワソワしてしまう」「これには目がない」というものを教えてください。
「なんだろうな…身近なもので言うと『あそこうまいんだよね』というご飯屋さんには行きたいなと思うことがありますね。結構口コミを信じるタイプで、映画とかドラマでも『面白いよ』という口コミは重要ですね(笑)」
――ちなみに、最近口コミきっかけに食べたものは何かありますか?
「ローマピザがおいしかったですね。現場が一緒だった役者の先輩に『どこ住んでるの?』と聞かれて、『あそこに住んでます』『あ、じゃあその近くにあるローマピザの店が超うまいんだよ』と言われて。いざ行ってみたら、めちゃくちゃうまかったですね。見たことはあったけど、お店の中には入ったことがなかったんですよ。『ローマピザってうまいんだ』と気付かされました」
【プロフィール】
栁俊太郎(やなぎ しゅんたろう)
1991年5月16日生まれ。宮城県出身。近年の主な出演作に、ドラマ「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」(日本テレビ系)、「アトムの童」(TBS系)、「けむたい姉とずるい妹」(テレビ東京系)、NHK大河ドラマ「どうする家康」、「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」(Netflix)など。ドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2」(テレビ東京ほか)が現在放送中、5月には映画「バジーノイズ」が公開予定。
【作品情報】
映画「ゴールデンカムイ」
全国公開中
取材・文/平川秋胡
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