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「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは2024/01/28

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

 ABCテレビが2023年4月から新設した日曜夜10時の全国ネット連続ドラマ枠の第4弾として放送中のドラマ「アイのない恋人たち」。2024年の東京を舞台に、恋愛偏差値が低い訳あり男女7人が織り成す愛の物語を脚本家・遊川和彦さんが描いています。

 本作でゴールデン・プライム帯ドラマ初ヒロインに挑んでいるのは岡崎紗絵さん。男性経験のないまま30歳を超えてしまい、一生独身でもいいと思い始める今村絵里加を演じています。第1話では、ブックカフェを経営しながらもどこか寂しげな雰囲気が漂う姿が描かれましたが、そんな絵里加に岡崎さんは「『どうなるんだろう』というワクワクと緊張はあります」と笑顔を見せます。

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

――あらためて、出演が決まった時の率直なお気持ちを教えてください。

「すごく光栄でした。ラブストーリーで、それに遊川さんの脚本でさせていただけて、自分自身もヒロインの立場で立たせてもらうのはすごくうれしかったです。緊張と喜びが入り交じったような不思議な感覚でした」

――恋愛作品の中でもこれまでとは少し違った角度から攻めた作品だと思うのですが、遊川さんの脚本からはどんなことを感じましたか?

「細かなニュアンスがすごく面白いなと思いましたね。今っぽいテイストの作品だと思うんです。恋愛に対してのアプローチの仕方もアプリを使ってみたりと、昔とは違っていて、恋愛に対してもあまり積極的じゃない登場人物も多かったりするので、その感情の動きの細やかさや初対面でしゃべる時の気まずい感じがすごく分かりやすくて。脚本を通して、映像でその情景が頭の中に入ってくるような感覚があるぐらい、面白くて繊細だと思いました。すごくリアルで、久米真和(福士蒼汰)と初めて会ったバーで食事するシーンも『気まずいんだろうなぁ』と思いながら台本を読んでいました(笑)」

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは
「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

――演じる今村絵里加にはどんなことを感じられましたか?

「恋愛に対しても家族に対してもどこか一線を引いてしまう、人ともそんなに深くは関わろうとしない距離感を持っている人だと思います。心の中では『傷つきたくない』といろいろな思いがあると思うのですが、本当は人とちゃんと関わりたいという思いも持っていると思うんです。でも人間関係において『自分とはちょっと違うんだろうな』と、ちょっと諦めにも近いような客観的な感情を持っている。ブックカフェを31歳で経営すること自体すごく難しいことだと思うのですが、そういう感情を持っているからこそ、自分の居場所を作ったりしたかったのかなと思いましたね」

――岡崎さんがこれまで演じてこられた役には活発でハキハキとしたものが多いイメージがあるのですが、第1話を拝見して正反対の役なのかなと感じました。

「真逆ですね(笑)。今までは『諦めなければかなう!』と本気で思っている全力投球女子が多くて、『仕事も頑張りたいけど、プライベートも充実させたい』『絶対に結婚したい!』という思想が強い女性を演じさせていただくことが多かったのですが、この作品ではそういった女性とは真逆で。ある意味、自分が好きなことには進んでいく力はあっても、他にあまり求めすぎない、諦めてしまっているという女性を演じることはなかったので、『どうなるんだろう』というワクワクと緊張は今でもありますね」

――絵里加の「一生独身でもいい」という気持ちの裏でどんな思いを抱えているのかも気になります。

「30代って、女性の方にとっては節目感が強い気がするんです。結婚という道が出てきたり、子どもを出産したり、仕事でキャリアステップをしたりと、いろいろな道が出てくる気がしていて。だからこそ、冨田栞(成海璃子)のように自分の人生に迷いが出てきたり、近藤奈美(深川麻衣)のように結婚に急いでいる人もいる。絵里加もいろいろな変化が生まれてくるのですが、そういう境地に達してしまったのは自分の置かれている状況があるからだと思います。家族ともあまりうまくいっていないし、親しい友達が出てきたりといった良い人間関係というのはあまり出てこないので、『1人でも生きていける』と思ってしまった部分があるのかもしれないですね」

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

――ある種の力強さがありますね。そんな絵里加と共通点はありますか?

「絵里加はすごく慎重な性格だと思うんです。何かを始めるにしても、特に恋愛のことでいえば、心の準備ができるまでその先には進まないし、進めない。そういったところは私に置き換えてみても、何か物事を始める時に、衝動的に体が動いて『飛び込んでみよう! やってみたら分かるかも!』という考えはあまりないので、そういう意味での少し考えてから行動するというところは似ているかもしれないです」

――第1話では絵里加が周囲に勧められてマッチングアプリを始めるシーンもありましたが、共感できる部分も?

「そうですね。マッチングアプリも、慣れていないと会うのもちょっと緊張するし、怖さもあると思うんです。『同一人物が来るとは限りませんよ』『画像は加工しているのが当たり前なので』と言われたりして、『えぇ!?』みたいな(笑)。そういうのも今っぽくて面白いですよね。そういう流れに対しておびえてしまう感じは分かるところもあります」

――「マッチングアプリでの恋愛」という部分では、郷雄馬(前田公輝)もアプリを始めることに悩みを見せるシーンが描かれていますが、雄馬の恋愛観はどのように感じますか?

「雄馬はちょっとド直球すぎて、ものすごくいい意味で素直だなと(笑)。相手のことを知りたいという思いから、『好きな色はなんですか?』『あなたの好きなものを全部知って、全部取り込みたい!』と行き過ぎてしまう。真和が『雄馬は“アイ”がない。アイと言っても、ラブじゃなく女を見る目の“eye”だ』と言っていたことがすごく面白くて、私も『全部を他の人の色に合わせるのも分からなくないけど、しっかり相手を見なきゃダメだよ』と言いたくなりますね(笑)」

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは
「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

――本作は“アイ”が欠けた人物の物語ですが、人と関わる上で「すてきだな」と感じるのは、“愛を持っている人”・“人を見る目がある人”・“自分を持っている人”のうちどれか、教えてください。

「難しいのですが、やっぱり愛がある人がいいですね。愛情にあふれている人って、絶対に人に優しいと思うんです。配慮があるし、人の気持ちがくめると思うので。友人にしても、パートナーにしても、人間的にも恋愛的にも愛がないと、なかなか一緒に連れ添うことって難しいなと思うんです。何か障害があったとしても、大きな愛を持ってお互いに歩み寄って、一緒に交わる方が前に進めそうな気がします」

――そんな中で、愛のない真和と役を通して向き合うことも新しい挑戦になるのではないでしょうか?

「そうですね。絵里加も奈美から『自分から行動しないとダメですよ!』と後押しがあって、悩みながらもとりあえず一歩動き出して、そこで自分の夢には真っすぐでもどこか淡白で冷めてしまっている真和と出会う。追いかけるわけでも追われるわけでもなく、お互いに探り合いながら進めていく展開は、新しくて面白いと思います」

――「探り合っている」というのは脚本を読んでいても感じることは多いですか?

「真和と絵里加だけでなく、みんな『これをやったら絶対に大丈夫だ』という決まった答えがない展開が続いているんです。周りから『やってみてもいいんじゃない?』と言われても、『頑張ります…とりあえず(アプリに)触れてみましょうか』と迷いながら進めているから、決まりきった答えがない。全員“恋愛迷子”だからこそ、正解のない探り合いが人間らしいなと思いますね」

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは
「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

――第1話は「もしタイムマシンに乗って好きな日に戻れるとしたら、今まで生きてきた中のどの1日を選ぶだろうか」という福士さんのナレーションから始まりましたが、岡崎さんが「この日に戻れるなら…」という1日を最後に教えてください。

「1日ですもんね…難しいのですが『戻って別の人生があるのだとしたら…』という意味では、この業界に入ったのが18歳ぐらいの時で、その時は『大学受験をするかしないか』という岐路に立たされている時だったんです。その時に違う選択をしていたら、今は全然違う道に進んでいたのかなとも思っていて。『その人生はどうだったんだろう』というのは、パラレルワールドみたいものがあるとしたら見てみたいです」

――モデルや女優という道を選んだことは、今振り返ってみてどのように感じていますか?

「このお仕事で人と関わっていく中でいろいろなものをもらったりするのですが、その都度思うこともたくさんあって、課題もまだまだあって、全く満足はしていないですね。『未熟だからもっと頑張らなきゃな』と思うことはあります。私も今28歳なのですが、30歳に向けて大人の扉をノックするような、理想の30代に近づけるような女性になりたいと思います」

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは
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「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

【プロフィール】

「アイのない恋人たち」で不器用なヒロインを演じる岡崎紗絵、これまでとは違う役への挑戦に感じることとは

岡崎紗絵(おかざき さえ)
1995年11月2日生まれ。愛知県出身。主な出演作に「ナイトドクター」「ドクターホワイト」(ともにフジテレビ系)、「花嫁未満エスケープ」(テレビ東京系)、「オールドルーキー」(TBS系)、「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(テレビ朝日系)、映画「mellow」(2020年)、「緑のざわめき」(23年)など。モデルとしても活躍しており、女性ファッション雑誌「Ray」専属モデルなど。

【番組情報】

「アイのない恋人たち」
テレビ朝日系
日曜 午後10:00〜10:54
※放送終了後、TVerで最新話を見逃し配信
※TELASA、U-NEXTでは全話見逃し配信

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/尾崎篤志 スタイリスト/髙橋美咲(Sadalsuud) ヘアメーク/サイオチアキ(Lila)
ドレス/ソフィーエトヴォイラトウキョウ(ソフィーエトヴォイラトウキョウ 03-5928-4122 ) ピアス、リング、ブレスレット/TASAKI(株式会社 TASAKI 0120-111-446)



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