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西島秀俊「毎回、温かい気持ちと、前向きな気持ちになっていただける」――「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」インタビュー2024/01/14

西島秀俊「毎回、温かい気持ちと、前向きな気持ちになっていただける」――「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」インタビュー

 TBS系では、1月14日から連続ドラマ「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」がスタート。天才指揮者だったが、ある事件で家族も音楽も失った父・夏目俊平(西島秀俊)と、そんな父を拒絶し音楽を嫌う娘・響(芦田愛菜)が地方オーケストラを通して失った情熱を取り戻し、親子の絆と人生を再生させていくとびっきり“アパッシオナート”=情熱的なヒューマンドラマです。

 ここでは、主演を務める西島さんにインタビュー。本作の見どころをはじめ、作品への思いを明かしてくれました。

――まずは、本作の出演オファーが来た時の率直な気持ちをお聞かせください。

「企画書をいただいて、数行書いてあったセリフや物語に感動し、この作品に関われるのであれば、ぜひお願いしたいとお伝えしました。人が生きていく中で、困難なことは必ずあり、それを音楽を通して、もう一度再生していくという物語が、遠い物語じゃなく、身近に感じる企画でしたので参加したいなと強く思いました」

――その中でも、マエストロ役というのはいかがですか?

「指揮者を演じることは、僕にとってハードルが高く、できるか不安もありました。いまだに苦労していますが、一曲一曲ひたむきに取り組んでいます」

――具体的にどういった部分に難しさを感じますか?

「教えていただく先生が数人いて、皆さん全く違います。もちろん基本はありますが、結果としてはバラバラで、全く正解がありません。一つの方向にみんなが向かっていくというよりかは、最終的に自分の道を探していくしかないなと思っています」

――今回、監修の東京音楽大学の広上淳一先生には、どう教えていただいていますか?

「広上先生は、人柄、エネルギー、音楽に対する愛情がものすごく大きな方で、僕の役に大きな影響を与えてくださっています。最初は完全にまねするところから始めていますが、精度を上げていくのではなく、『この曲はこういう曲で、こういう風景や感情があるからこうなる』といったところまで教えていただきながら、手探りで取り組んでいます」

――初めて指揮をした時の気持ちもお聞かせください。

「人前に立つことは結構慣れていますが、実際、オーケストラの皆さんの前に立った時は全く別のものでした。先生は、『楽器というのは武器だからね』とおっしゃっていました。今は、2曲ほどやりましたが、どちらもプレッシャーを感じつつも、素晴らしい感動がありました」

―――オーストリア・ウィーンでの撮影もされましたね。

「天気が悪いシーズンでしたが、その数日間だけものすごい快晴で、美しい風景がたくさん撮れました。さらに、日本に帰ってきて、富士山が見える場所で撮影の時も、雲がかかって撮れないと言われていましたが、タイミングよく奇麗に撮ることができました。ウィーンと日本でもつながっている幸運な空気感みたいなものを感じています」

――芦田さんと共演してみて、最初の印象と変わった部分はありますか?

「芦田さんは、柔らかく温かい真っすぐな方ですが、強い部分もあるなと感じています。いろいろ大変なことがありますが、その中でも、つらい様子を1mmも見せないので、すごいなと思っています。俳優としてはもちろん、まだお若いですが、人間として素晴らしい方だなと感じています。その半面、リハーサルで階段を上る時にたまたま転んでしまったりと、抜けているおちゃめな一面もあるので、これからそこを掘っていきたいなと思います(笑)」

――西島さんから見た、芦田さんが演じる響の魅力も教えてください。

「本番中はずっと僕に怒っている役なので、ほかのシーンを見るといろいろな思いが渦巻きます。『あ、笑ってる。なんか楽しそうだな』みたいな感じで。彼女の本当の部分は、僕の前では見せないので、響きの素の姿をすごく楽しみにしています」

――現場の雰囲気はいかがですか?

「ものすごく浄化されていて、スタッフも気持ちのいい人たちばかりです。キャストの方々も、純粋な人たちが集まっているので、現場に清廉(せいれん)な空気が常に流れています。今回、共演者の皆さんが真剣に楽器と向き合い練習をしていて、手を抜こうと思えばいくらでも抜けますが、誰も抜かない。それを楽しんでくれています。本気で練習し合って、本番で音を出す、その感動が一緒にあり、このドラマの中で特別な力になっています」

――共演者の皆さんとのエピソードもお聞かせください。

「オーケストラのチームは、控室でもずっと音楽の話をしていて、ドラマの撮影をしているのかコンサートの練習をしているのか分からなくなるくらい。お互い刺激を受けながら、ここはこうやろうと、コミュニケーションを密に取っています。家の食事シーンでは、毎回、おいしくて、カットがかかって全部オッケーが出てから、みんな食事をしていますね」

――では、最後に、あらためて視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

「本作は、登場人物がそれぞれ取り返しのつかない過去を背負って、現実の壁にぶつかり、さまざまな悩みを抱えながらも、音楽を通して自分自身を成長させていく物語になっています。毎回、温かい気持ちと、前向きな気持ちになっていただけると思います。震災やコロナなど困難なことが起きた時に、どう立ち直っていくか向き合った際に、娯楽や音楽などが大きな力を与えてくれると実感しています。それをこのドラマの中で、感じていただけたらうれしいです」

西島秀俊「毎回、温かい気持ちと、前向きな気持ちになっていただける」――「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」インタビュー

【プロフィール】

西島秀俊(にしじま ひでとし)
1971年3月29日生まれ。東京都出身。おひつじ座。A型。近年はドラマ「ユニコーンに乗って」(TBS系)、「警視庁アウトサイダー」(テレビ朝日系)、映画「シン・ウルトラマン」(2022年)や「ドライブ・マイ・カー」(21年)などに出演。また、ドラマ「黄金の刻」(テレビ朝日系)が3月に放送予定。

【番組情報】

「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」 
1月14日スタート 
TBS系 
日曜 午後9:00~午後9:54(初回は午後9:00~午後10:19)

取材・文/N・E(TBS担当)



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