紫式部を演じる吉高由里子、藤原道長役の柄本佑は「戦友みたいで、いてくれたらすごく安心するし、頼もしい」――大河ドラマ「光る君へ」インタビュー後編2024/01/05
大石静さんが脚本を手掛け、吉高由里子さんが主演を務める大河ドラマ「光る君へ」が、いよいよ1月7日よりスタート! 舞台は平安中期。後に世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した紫式部(吉高)が、平安貴族の世界でどのような人生を歩み、壮大で精緻な恋愛長編「源氏物語」を書き上げるに至ったのかがひもとかれていきます。
11月上旬に行われた紫式部を演じる吉高さんのロングインタビュー後編では、クランクインから半年が過ぎた現在の気持ちや、紫式部のソウルメートとなる藤原道長を演じる柄本佑さんとの撮影エピソードなどを紹介します!
――2023年5月に京都の平安神宮でクランクインした時の感想をお願いします!
「平安神宮でクランクインできるなんて願ってもないことで、すごくうれしいスタートが切れました。平安時代の衣装を着て、平安神宮を歩くだけでもちょっとした興奮というか、胸が高鳴るような、でもちょっと緊張で不安になるような高揚感がありました。もう始まるのかという気持ちなど、いろいろかみ締めていました」
――それから約半年が過ぎましたが、これまでの撮影を振り返って今の率直な気持ちを教えてください。
「半年ってこんなにあっという間なのかと驚いています。それだけ長い期間、一つの作品に取り組んでいるんだとあらためて実感しています。撮影現場は本当にセットの中なのかと信じられないくらいで、『この時代に自分がいたら、どうなっているのかな』などと妄想することが楽しくて。半年たった今でも毎日新鮮です」
――今作の主演としてどんなことを心掛けていますか?
「こんなに大人数のキャストが出演する作品に今後出られるか分からないですし、一度もお会いできずに終わっていく方もいらっしゃるので、なるべく自分と関わる方とは巻き込んで楽しんでいきたいです。座長としてというより、ちゃんと人に甘えるところは甘えて、なるべくみんなを巻き込んで、この作品にみんなで没頭できたらと感じています」
――撮影現場の雰囲気がとてもいいようですが、道長役の柄本さんとの撮影はいかがでしょう?
「柄本さんとは大石(静)さん脚本の『知らなくていいコト』(日本テレビ系)で共演していたこともあって、最初から戦友みたいで、いてくれたらすごく安心するし、頼もしい。関係性をある程度築いた後に、この役でまた出会えてよかったです。7月、8月の暑くてしんどい日に、ずっと土を掘っているシーンがあって、その時代はスコップなんてないから励まし合いながら一生懸命手で掘ったり、1日中お互い泣いているシーンや、ワンカットが6ページくらいあるシーンも印象深いです。すごくシリアスなシーンもラブシーンの前も、すごくフラットに会話してくれるので緊張しないし、リラックスできる空気を作ってもらっています」
――道長という人物についてはどんな印象を持っていますか?
「賢いですよね。最初の頃はのんびりした男性だと思っていたのですが、客観的に周りを見て視野も広い男性だなと。ここからどう階段を登っていくのかすごく楽しみです。そういう部分では内裏の物語を読んでいる方が、客観的に見えて台本も面白いです」
――ちょっともどかしい感じのある道長とまひろですが、2人の関係についてどう思いますか?
「まひろはこの国を変えてほしい気持ちと、何もかも捨てて自分といてほしい気持ちとで揺らいでいる感じなんです。揺らぐからページ数がかさむし、セリフが増えちゃうので『はっきりしてくれよ』と言いたくなる時もありますが(笑)、『それが人間ドラマなんですよね』とも思いながら演じています」
――戦がない分、目をかけてもらえないと生き残っていけない平安貴族の男性陣の生き方については、どのように感じていますか?
「生まれてきた家で可能性が限られてしまう時代だったことを考えると、身分って大事だなと思いました。女性も男性もすごく苦しいし、政治権力の階段を上がっていきたい人たちにとっては、歯がゆい時代だったんだろうなと感じます。だけど、『え、そうなの?』と思ったのは、お金を出しているのは全部女性の家系だということ。それでいて男性は嫡妻も妾(しょう)も持てると知って、やりたい放題だなというイメージです(笑)」
――見ていて同情してしまう部分もありますか。
「政治的な駆け引きがとても大変だったんだろうなと。裏切ったり裏切られたり、のし上がったり切り捨てたりと、いっぱいあったんだろうなと思うと『男もつらいよ』ですよね」
――たくさんの共演者の中で共演できてうれしかった方はいらっしゃいますか?
「今作では以前作品でご一緒した方と再会することが多くて、お互い『続けてきたんだね』という共鳴というか、感動があって、続けているとこんなふうに広がって、こういう大きい作品でまた再会できる。それはうれしいことなんだと感じながらやっています。今回初めてお会いする方の中では、藤原実資役のロバートの秋山(竜次)さんが大好きなんです。全然笑うシーンじゃないのに、ユニークが隠しきれていない感じで、いるだけで面白くて。魅力的な方です」
――ご本人とは何かお話されたんですか?
「何を話していいのか分からなくて。『お疲れさまです』しか言えなかったので、次に会う時はもうちょっと積極的にお話してみます」
――紆余(うよ)曲折を経て、紫式部は「源氏物語」を書き上げますが、そのエネルギーの源は何だと思いますか?
「文章を書くことで自分と会話できていたんだと思うんです。書いている時に自分の心がやっと見えて、感じられて、自分の方向を決められていたんじゃないかと。そうじゃないと、あんなに書けないと思うんですよね。また、当時は紙が非常に高価で、道長が紙を与えてバックアップしていたんじゃないかという話もあるので、道長に読んでほしいという気持ちもあったかもしれないし、恩返し的な気持ちもあったかもしれないですね」
――では、紫式部にとって光源氏はどういう存在だと思いますか?
「まひろが出会ってきた男性全員の一番すてきなポイントを全部掛け合わせた男性なんじゃないでしょうか。ダメなところもすてきと思わせちゃう魅力的な人物を描いているような感じがしました。道長だけではなく、今まで出会った友達や人の旦那さんを見て『すてきだな』と思った要素を全部かき集めたんじゃないかなと想像しています」
――最後に視聴者に注目してほしいところをお願いします!
「私は第2回以降ずっと出演しているので、第1回だけが全く新しい気持ちで見られるんです。子役のまひろ(落井実結子)も素晴らしかったと聞いていますし、第1回でまひろの人格が形成される大切なエピソードがいっぱいあるので、すごく楽しみにしています。そして、まひろは笑えるぐらい頑固。意固地な女性が自分自身と向き合いながら、最後に残った大切なものを探す物語だと感じているので、それを見届けていただけたらうれしいです」
――ありがとうございました!
【番組情報】
大河ドラマ「光る君へ」
1月7日スタート
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
※初回は15分拡大
NHK担当/K・H
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