“食が好きなチーム”で作り上げる「頂!キッチン」、速水もこみちが3シーズンを経て感じた番組の魅力、そして次なる目標とは2023/12/28
ABCテレビにて放送中の「速水もこみちの食材探求ロードムービー『頂!キッチン』」。速水もこみちさんがキッチンカーを自ら運転して、依頼のあった生産者や自治体のもとを訪れ、そこで出会った人たちと触れ合う中で受けたインスピレーションから、地元の食材を使った“速水流オリジナル絶品レシピ”を生み出す姿をロードームービー式に届ける新感覚のグルメ番組です。
2022年のスタート以降、番組は国内外から大きな反響を集め、ついにSeason3へと突入。今シーズンは福岡・飯塚市の“筑穂牛”や和歌山・北山村の“じゃばら”などに触れてきましたが、明日12月29日放送の最終回では、日本を飛び出し台湾へ! その放送を前に、ここでは速水さんのインタビューをお届け。3シーズンにわたってのロケを振り返ってもらうと、番組への強い愛が見えてきました。
――Season3はSeason2が終わって約1年間空いてからのスタートになりましたが、この1年の間はどんなことを考えていましたか?
「『Season3、またやりましょうね!』なんて約束は実はみんなでしていて、やりたい気持ちはあったんです。でもいざみんなと会った時に、『あれ、いつぶり? 1年は空いてますよね?』という流れになって(笑)。でも、空いている期間はいろいろ準備していただいていて、それが今回海外ロケというところにもつながったので、Season4はもうちょっと短いスパンでできるんじゃないかと勝手に期待しております(笑)」
――今回、放送枠も1時間になったことで、できることも増えたのではないでしょうか?
「そうですね。ロケは丸1日動いているので、行くポイントも限られているんですよ。もちろんドライブの景色や、生産者と料理を作るところは今までもありましたが、『1時間になった時に番組の内容をどうするか、何を追加するか』というのはみんなで考えていました。この番組は海外の方たちも結構注目してくださっているそうなので、今回はその地域の工芸品や特産物など、日本の芸術的な文化に触れる要素を入れていきました」
――初回では唐津焼を実際に体験されていましたね。
「陶芸は初めてではなかったんですけど、難しかったですね…。先生の教え方がすごく上手だったので、割とスッとできたんですけど…え、できてましたよね?(とスタッフの方を見る)。初めて体験でやってみると結構ぐちゃぐちゃになっちゃうらしいんですけど、僕はそれがほとんどなかったので、手先が器用な方で良かったなと思っています(笑)」
――唐津焼をはじめ、Season3は特に“人”にフォーカスしていたと感じるのですが、人との触れ合いで感じるものは今まで以上に大きかったですか?
「いや、変わらないですね。そこの地域の匂いやそこで暮らす人たちの食文化を知ることで、そこに人の思いが乗っかって、最終的に人柄を感じられるところにつながるんですけど、そこはSeason3になったからといって変わることはありません。Season1の時から生産者の方と接する時は、僕はこの部分を大事にしています。普通のタレントさんが行った時のやりとりと、僕がこの番組で行った時のやりとりって、たぶん少しだけ違うんですよ。だから、普段だったら言わないことも教えてくれたり、僕が食に対してすごく興味があるというのは、食にまつわる人たちは知ってくれているので、食を知っている人同士での会話にはフォーカスが当てられるんじゃないかと思いますね」
――ある意味、番組の軸とも呼べるようなものもありますね。
「そうですね。スーパーマーケットとかで、今では『このキャベツはうちが育てています』『このナスはうちが育てました』と生産者の方たちの写真がありますけど、実際にその土地に行ってお話すると印象も変わってくるんですよ。どんどんいろいろなところに行って、『こういう生産者がいるんだ』『こういう思いをしながら作ってるんだ』ということを番組を通して少しでも知ってもらいたいというのはありますね。そこから興味を持ってもらえれば、地元の方たちも喜んでくれると思うので」
――Season3の最終回ではついに台湾でのロケが描かれます。新たに感じることや思いはありましたか?
「もともと台湾はお仕事がきっかけで呼んでいただいたこともあって、そこからお友達もできていろいろな情報を交換するようになったんです。自分も仕事以外で時間を見つけて現地に行くこともあったくらいなので、この『頂!キッチン』で台湾に行けたことは、すごくうれしい気持ちが強かったですね。でも、台湾に行ってみると、台湾好きの自分でもまだまだ初心者だなと感じて。日本人は台湾が好きな方が多いから、僕はまだまだ勉強中の初心者だと思っているんです。今回、台湾・宜蘭(イーラン)という場所に行くのは初めてだったので、そこで地元の有名なネギを知ることもできましたし、市場に行っていろいろな人と触れ合っていく中で、人柄も感じられました。また一つ違った台湾の魅力を僕自身も見つけることができたことは、これが放送された時に皆さんも同じ気持ちになっていただけると思っているので、今回行くことができて本当に良かったです」
――番組内の速水さんのコメントでよく出てくる“発見”や“収穫”というのは、これまで以上に大きかったですか?
「そうですね。海外となると勝手が変わってくるので、収穫は本当に大きいです。もちろんネギは世界中にはありますけど、今回見つけたネギはそこにしかないから、まずそこが大きな発見。『あ、このネギって台湾でNo.1なんだ。いろいろなところで使われているんだ』ということが分かって、それを知れたからこそ、次に行った時にもまた注目するでしょうし、見方や意識も変わりますね」
――これで海外ロケの前例ができたということで、今後は速水さんがロケで行ってみたい国も、選択肢としてまた増えていくのではないのかなと思います。
「配信もありますけど、まずは全国放送を目指してやっていますから(笑)。海外は初めから視野に入れていたわけではなくて、『日本全国に行って、いつか海外も行けたらいいね』という感じだったんです。でも、海外進出にみんなが予想外に乗っかってくれたので、すごく感謝しています。『こういうことができますよ』と見せることができたので、今後は世界各国いろいろなところに行きたいです。スタッフチームみんな台湾を楽しんでいたので、台湾のまた違う地域に行ってもいいですよね。今回行った宜蘭はずっと雨だったんです。年間降水日数が200日らしくて」
――200日ですか…。
「すごいですよね(笑)。だからまた違うところに行っても面白いと思いますし、他のアジア圏も回りたいなと思いますね。といっても、『ここに行きたい!』いうのは特になくて、昔シンガポールで料理を作ったことがあるので、またそこに行ってもいいな。海外の方たちからお声がけいただければ、どこにでも行きますよ」
――海外からの反響が大きいのも特徴だと思いますが、海外の反応の中でうれしかったものはありますか?
「僕のInstagramのフォロワーはベトナムや台湾の方が多いんですよ。なぜか知らないけど、本当に多くて(笑)。コメントを見ても『どういう意味だ…?』となることもあるんですけど、それこそ台湾の友達から『頂!キッチン』が現地で流れているという話を聞いているので、応援してくださっていることも聞いています。お仕事で海外に行って観光大使をやった時も、現地の方が知ってくださっているから頑張ってよかったなという実感があります」
――現地で直に反響を感じられる瞬間もあるんですね。
「イベントで行くと、そう感じることが結構ありますね。今年は台湾にまつわる日本でのイベントにも呼んでいただいて、そこにも台湾の方たちも多いので『本当に向こうで放送されているんだ』と分かります」
――3シーズンを経て、「頂!キッチン」のチームの良さはどう感じていますか?
「番組を作っていく上で、途中で制作チームがいろいろと入れ替わったりすることもあるんですけど、チームの良さとしては、スタッフみんな食べることが好きだから、やっぱり技術さんも(料理を)撮っているだけで楽しいと思いますし、普通のバラエティーとは違うので、みんな常に新鮮な気持ちで撮影できているんじゃないかな。あと、これは僕の感覚なんですけど、だんだんみんなが同じ考えになっていって、回を重ねるごとに一つの方向に向かっていっていると思います。みんなが同じモチベーションなので」
――次第にあうんの呼吸のようなものも?
「そういうものもありますし、僕も含めてみんながちゃんと食に対して一緒に理解しようとしているので、それがとてもいい形につながっているんじゃないかと思います」
――調理シーンもスタッフの皆さんの愛が映ったようなこだわりを感じます。“いかにおいしく魅せるか”というのは、チーム全員で相談しているのでしょうか?
「事前に資料をいただくので、それをもとに自分でレシピを書いてスタッフの方に出しているのですが、いざ収録が始まってみると、『こんな食材使いたいな』と思っていても、道の駅に根菜しかなかったりということもどうしてもあって、ある程度はちょっと準備しつつ、途中でレシピを変えたりして臨機応変に進めています」
――では、この番組が他の料理番組と違うと感じるところはありますか?
「僕が言うのも変なんですけど、違いとしてはやたらとドライブショットが多いので、少しデート気分を味わえる(笑)。でも真面目な話をすると、生産者の方の少し深いところを聞けるところや、料理番組の中でも『食材をもらって作りました。おいしかったですね』で終わるのではなくて、愛情を込めて食材を育てている生産者の方に最後に“料理”としてお返しをして、その方たちが食べた時にどんな顔をするのかというのは見どころだと思っています。僕にも新しい発見がありますし、生産者の方も僕の料理から新しい発見がある。例えば、台湾ネギでいうと、普通だったらきっと『ネギと豚肉を炒めます。簡単にできますよ』ということが多いと思うんです。そういう形も大事だと思うのですが、この『頂!キッチン』では、一緒に仕事をさせていただいた生産者の方に『なんだ、普通の野菜炒めか』と思わせてしまうのも申し訳ない。いただいた食材をどう面白くアレンジして、おいしく仕上げるかというのをいつもテーマにしているので、そこに驚きと発見があるのではないかと思います」
――スタッフの方にレシピを出す段階で熟考されることも多いですか?
「そうですね。どこに行くかもある程度資料をいただけるので、その資料をもとに物語を考えて『じゃあこのレシピでいこう』というのは決めています。ただ『資料をもらったからこれを作ろう』ではなく『そこに行くから、こういう意味を持ってこの料理を作りました』としたい。それをスタッフの皆さんも一緒になって計算してくれてやっていただいているので、やっぱりいい関係ですよね」
――資料から物語を構築し、そのクライマックスが生産者の方に料理として最後にお返しするところだと思います。速水さんは生産者の方が食べている様子を見守っていますが、あの瞬間は今でも緊張されますか?
「『どんな顔をするのかな』とドキドキもしますが、緊張よりも楽しんでいるんですよ。全部が全部そういう料理にするわけではないですが、食べたことのないような料理を作ることで、食材を育てている方もうれしいと思うんです。僕が逆の立場だったらうれしいですから。例えば、ブロッコリーだったら『作ってもらっていいですか?』と言ってできたのがツナのあえ物とかだったら、『おいしいけど、うちでもやってるよ』と思わせてしまうかもしれない。少し違う形で料理をお出しすることで、『うちが育てた食材がこんな変身をするんだ! 作っていてよかったな』と思ってくれたらうれしいです」
――生産者の方も「食べたことがない!」というリアクションをよくされていますが、「よっしゃ!」と思うことも多いですか?
「それが相手にとっておいしいかは分からないですけど、初めて食べる味に『これはなんだろう』と思うことは僕もあるんですよ。海外を回っていても、日本でフレンチやイタリアンのレストランに行っても、食べたことのないものを食べて『あ、おいしいな』と思うことは今でもあります。でも、それが料理のいいところだと思いますね」
――Season3もいよいよ最終回です。全体を通して収穫をあげるとするなら、どんなことがありますか?
「全体としてSeason3は本当に楽しみにしていたので、同じチームでできたことはうれしかったですね。あと、今回は知らない食材もあったんですよ。じゃばらという、存在は知っていて液体調味料で買ったことはあるけど、実際に手に取ったことはなくて調理したこともなかったから、僕にとってはまた新しい発見にもなって。行くことができて本当によかったです。みんな毎日ご飯を食べていても『こんなの食べたことない!』『こんな野菜があるんだ!』ということは必ずあると思うんです。だからこそもっと新しい食材を見つけて、取り上げていきたいなと思います」
【プロフィール】
速水もこみち(はやみ もこみち)
1984年8月10日生まれ。東京都出身。B型。2002年俳優デビュー。ドラマ「ごくせん」(日本テレビ系)をはじめ、「緊急取調室」(テレビ朝日系)、「バイプレイヤーズ ~名脇役の森の100日間~」(テレビ東京系)、「結婚できないにはワケがある。」(ABCテレビ)などの作品に出演。
【番組情報】
「速水もこみちの食材探求ロードムービー『頂!キッチン Season3』」
ABCテレビ
日曜 午前10:50〜11:50 ※最終回は12月29日 午前10:25〜11:25
※放送終了後、TVerで見逃し配信あり
ABCテレビ担当 S・H
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