久保田紗友×飯島寛騎「千春とユウの関係性にも注目して」──「弁当屋さんのおもてなしシーズン2」【インタビュー】2024/01/05

TVガイドWebスペシャルインタビュー／久保田紗友×飯島寛騎（ドラマ「弁当屋さんのおもてなしシーズン2」）

　北海道・札幌出身の久保田紗友が主演を務めるHTB北海道テレビの開局55周年ドラマ「弁当屋さんのおもてなし　シーズン2」（土曜午前10：40、北海道ローカル）が、1月13日から4週連続で放送される。札幌の路地裏にたたずむ弁当店「くま弁」を舞台に、食の喜びや人と人とのつながりを描くハートウォーミングなグルメドラマだ。

　今回は、札幌で働く会社員の主人公・小鹿千春を演じる久保田と、魔法の弁当を作る天才料理人・大上ユウ役の飯島寛騎にインタビュー。セカンドシーズンを迎えた現場の雰囲気や、役づくり、作品への思いなどを語ってもらった。

── シーズン2の撮影を、どんなお気持ちで迎えられましたか？

久保田　「シーズン1にたくさん反響をいただいた上でのシーズン2だと思いますし、『くま弁』チームにまた会えてすごくうれしかったです。シーズン2は情報が盛りだくさんです！　前回は、千春が食を通して力を取り戻していくお話でしたが、今回は彼女が居場所を探していくお話になっています」

飯島　「また帰って来られた！というのが率直な気持ちです。昨春に放送された本作を、皆様のもとに再び届けられることが本当にうれしいですし、より一層、ご覧になる方々に幸せになってほしいなという思いで撮影に臨みました」

── 常連・黒川晃役の戸次重幸さん含め、メインキャストの3人は札幌ご出身です。そんな「くま弁」チームとの再会はいかがでしたか？

飯島　「久しぶり～！という感じで、落ち着きますね（笑）。地元愛はみんな強いので、『またできてよかったね』という思いは同じです。そうした距離感は演技に表れるものなので、僕は役柄上、近づき過ぎないように逆に気を付けています。たまに、アドリブでツッコんでしまうんですけれど（笑）。とにかく、やりやすいですね」

久保田　「前回は結成されたてのチームでしたが、今回は同じメンバーが再会ということで、ワンチーム感は強まった印象です。（戸次演じる常連）黒川さん、（山野久治演じる『くま弁』店主の）熊野さんとの距離感もぐっと縮まった分、千春の素の部分がより出てくると思いますし、私も『千春をもっと生き生きさせてあげたい！』と、彼女の少し抜けた部分や完璧ではない部分を意識しながら演じました。そして、ユウさんとの関係性も、これからどうなるのか？　最終話までお楽しみいただけたらと思います」

── 北海道の食と絡めたハートフルな人間ドラマが描かれるのも魅力です。撮影の手応えはいかがですか？

飯島　「手応えはめちゃくちゃあります！　今回もゲストの方がたくさんいらっしゃるんですけれど、皆さんそれぞれ悩みを抱えていて、そこに『くま弁』という存在が寄り添っていくのが見どころの一つです」

久保田　「そうですね。毎話に必ず、誰かの抱えている問題が解決されるシーンが盛り込まれています。そうしたシーンは、演じる方のお芝居が新鮮なこともあり、その瞬間に立ち会う私自身、胸がキュッと温かくなり、思わず泣いてしまいそうになることもあります」

── シーズン1では、飯島さん演じるユウの過去が明らかになりました。今回はゲストも多く、ユウの料理人としての力量が発揮されるシーンが増えそうですね。

飯島　「ユウの料理人としての姿勢や軸は、シーズン1からぶれていませんが、今回はお客さまが多い分、料理人として燃える面はありますね！　そういったパッションを、細かい表情などで繊細に伝えられればと思います」

── 弁当で人を癒やす料理人という役柄を演じる難しさはありますか？

飯島　「料理の説明シーンに『……』が多いんです。その間で相手の心をつかむというか、『あなたに寄り添いたい』という気持ちを伝えるように意識しています。つらいことや弱音は誰にでもあるし、だからこそ、おいしいご飯を誰かと食べる時間を僕は大事にしたい。シーズン1で過去をさらけ出したユウだからこそ、そんな思いがあるのではないでしょうか」

── 飯島さんが、ユウと似ていると感じることはありますか？

飯島　「人とご飯を食べている時間が楽しいと思うのは一緒ですね。何億人もいるこの世界で、一緒にテーブルを囲むこと自体、奇跡的なことではないかと思いますよ。そんな時間を大事に、食事を楽しむことは、自分にとっては現場で出演者やスタッフさんと一致団結して作品作りに取り組むこととリンクしていて…そういう、“職人魂”といったら大げさかもしれないですけれど、ユウの料理に対する思いと通じるものを感じます。ただ、僕はそんなに細か過ぎないです。割と大雑把で、めちゃくちゃせっかちですね（笑）」

── ユウを演じたことで、何かご自身に変化はありましたか？

飯島　「プライベートでも、料理を前向きに楽しめるようになりました。たとえばパスタを作るにしても、盛り付けにこだわってみたり、食材選びを変えてみたり…。そういったしぐさへのこだわりだったり、料理への愛情だったりを演技にも生かしていけたらと思います」

── 久保田さんは、ユウの料理を味わう立場となる千春役です。あらためて「食」は久保田さんにとってどのようなものでしょう？

久保田　「どんなに元気がない時でも、私、おなかだけはすくんですよ、千春のように（笑）。食べないと何も始まらないし、元気も出ない。千春と同じ考え方だと思いますが、食はパワーの源ですね！」

── ちなみに、食にまつわる思い出はありますか？

久保田　「元気を出したい時、私はいつもギョーザを作るんですね。母親がギョーザ好きで、実家で食べていた味を思い出すから。今も、地元に帰った時には実家で食べています。たぶん、子どもの頃に一緒に作った思い出を含めて、母の温もりを感じられる味、パワーチャージできる味なんだと思います」

── 今回も多彩なゲストが登場するそうですね。ほかのドラマで共演された方もいるとか…。

久保田　「はい、そうなんです。東京でのお仕事は常にスイッチが入っていて、張り詰めた仕事モードだったりする場面も多いのですが、故郷・北海道でのお仕事は、ホームだけあって、割とリラックスしていられるんです。なので、東京の友達が実家に遊びに来る感じというか…不思議な感覚でした（笑）」

飯島　「ゲストの方の出演シーンは、演じる上で大変な描写が多いので、不安もあると思うんですよね。そこは僕ら『くま弁』チームが、『安心していいよ』という雰囲気づくりを心掛けています。初めてで人に心をさらけ出すのって、なかなか難しいじゃないですか。そうした緊張感あるシーンも、演じやすい空気をしっかり作れる幸せな現場だったと思います」

── 北海道ロケで楽しまれたことがあれば聞かせてください。

久保田　「スケジュール上、撮影の合間に出歩くことはできなかったのですが、現場の食事が毎回とてもおいしくて！　札幌の名店などのご飯をケータリングで出していただいて、それが楽しみでしたね。ロケ弁で北海道の名物は食べれたかなという気分です（笑）。特においしかったのは、『米風亭』の油そば！　ラーメン好きなのでうれしかったです」

飯島　「僕もあの麺はおいしかった！　ドラマ本編の設定は夏から秋ということで、旬の北海道の食材が魅力的に登場します。プライベートとしては、久保田さんのおっしゃったように、ロケ弁で僕らのモチベーションはますます上がりましたね」

── このドラマシリーズはお二人にとって、どんな作品になりますか？

久保田　「生まれ育った場所でのドラマ作りに携われる機会はなかなかありませんし、私にとって大切な場所である北海道の土地柄に『人と人が支え合う』というテーマが非常にフィットしていると感じます。たとえば、『そばにいる人に意外と頼っていい』というメッセージや、『ありがとう』『頑張ってね』などささいな言葉を他人から掛けられるだけで少し元気が出ることなど、人との関わり合いを大切にしたいなと、私自身教えられてもいます」

飯島　「そもそも僕は地元愛が強い人間なので、こうして北海道をテーマにした作品がドラマ化され、全国、世界の方に見ていただけ、北海道が盛り上がるのはすてきなことだなと感じます。たくさんのドラマや映画、舞台など娯楽の選択肢がある中で、このドラマを選んでくださるのは本当に幸せなこと。どんどん届けたいですね、『北海道はいいぞ！』って（笑）」

── ドラマを楽しみにされている方々に向けて、メッセージをお願いします。

久保田　「シーズン1以上に北海道の魅力的な食材が出てきます！　たとえば、あるものの食べ比べという、なかなかまねできない体験にもご注目ください（笑）。また、千春が新しい場所を見つけていく姿も見守っていただけたらうれしいです。前作を超えるいいものをお届けできると感じています」

飯島　「ご覧になったらおなかがすくかもしれませんが（笑）、シーズン1から引き続き、食事で人とつながっていく、人が変わっていく展開が見どころのドラマです。そして、シーズン1とは少し違う、恋模様の急展開も…？　キャストとスタッフが一丸となって作り上げた、北海道の魅力が詰まったこのすてきな“食事”＝作品を楽しんでもらえたらと思います！」

【プロフィール】

久保田紗友（くぼたさゆ）　
2000年1月18日生まれ。北海道出身。A型。12年に俳優デビュー。13年のドラマ「神様のイタズラ」（TBS系）、「三人のクボタサユ」（NHK）でドラマ初主演。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」、「雪女と蟹を食う」（テレビ東京系）、「ハマる男に蹴りたい女」（テレビ朝日系）など。

飯島寛騎（いいじまひろき）　
1996年8月16日生まれ。北海道出身。B型。2015年の「第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリ受賞。「仮面ライダーエグゼイド」（テレビ朝日系）で主演。男劇団青山表参道X所属。主な出演作は、「オカルトの森へようこそ」（WOWOW）、「最終列車で始まる恋」（メ～テレ）、「僕らの食卓」（BS-TBS）など。