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「恋のツキ」でだらしない彼氏を演じる渡辺大知インタビュー 彼女が浮気相手といる場面に鉢合わせる心情を繊細に表現2018/08/30

「恋のツキ」でだらしない彼氏を演じる渡辺大知インタビュー 彼女が浮気相手といる場面に鉢合わせる心情を繊細に表現

 欲望と葛藤が渦巻くアラサー女性の“浮気心”を描き出した放送中の木ドラ25「恋のツキ」(テレビ東京)。31歳の主人公・平ワコ(徳永えり)の同棲3年目の彼氏・ふうくんこと青井ふうたを演じるのは、黒猫チェルシーのボーカル・渡辺大知さん。

 ふうくんとの結婚を視野に入れながらも、マンネリ化したふうくんとの日常に突如現れた高校生・伊古ユメアキ(神尾楓珠)にひかれるワコ。もはや生活の一部となった彼氏と、新鮮なドキドキをくれる高校生という2人の男性の間で揺れる女性の、リアルな姿が印象的な本作。ここでは、映画「勝手にふるえてろ」でも2人の男性の間でもがく女性の相手役を演じ、さらに今年「寝ても覚めても」「ここは退屈迎えに来て」「体操しようよ」「ギャングース」と多数の映画の公開も控える渡辺さんに、役に対する印象や共演者とのエピソード、28歳の1年の野望を伺いました。「だるだるの服では来ないようにしようと思って選びました(笑)」という私服も併せてご覧ください!

「ワコが少しでも好きになった男なので、悪にならないように、敵にならないように」

「恋のツキ」でだらしない彼氏を演じる渡辺大知インタビュー 彼女が浮気相手といる場面に鉢合わせる心情を繊細に表現

──「恋のツキ」の原作を読まれて、どのような印象を抱きましたか?

「女性の内面みたいなものが、えぐるくらいリアルに生々しく、かつ丁寧に描かれているんですけど、絵柄はかわいくて爽やかってところが好きだなあって思いました。ドロドロしていく内容にも見えるのに、すごく風通しがいいというか…。そういうところに好感を持ちました」

──今回ふうくんという役を演じるにあたって、どのようなことを意識されましたか?

「ふうくんというやつは…なんでしょうね。だらしなくてマイペースで自分勝手で…。ワコのことが好きだけどちゃんと相手のことを見れていないですし、一見悪いところがいっぱい見えてきちゃうキャラクターだと思います。意識したところというと、ふうくんのどういうところをワコは好きになれたのか、愛すべきところはどこなのか、というのが伝わるようにやれたらなぁと思っています」

──第1話では、ワコの実家にあいさつに行くことに消極的な姿勢を見せたり、ワコが作った料理を食べずにその場でカップラーメンに手を伸ばしたりと、ワコの前でしか見せないわがままな一面を見ながら「だめだなぁ」と感じると同時に、そこが愛らしい部分でもあるのかなと感じました。

「ただのだらしない男って自分の中で決めちゃうより、そいつのどういうところが魅力的かって考えた方が楽しいと思うんです。第1、2話までは嫌なイメージしかないかもしれないですけど(笑)。結果、愛すべきキャラクターになれば、というところは意識して演じています。何と言っても、主人公のワコが少しでも好きになった男なので。悪にならないように、敵にならないように、と考えながらやっています」

──渡辺さんから見て、ふうくんの一番の魅力はどのようなところだと映っていますか?

「まずは一途なところ。ちゃらんぽらんに見えますけど、他のやつになびいたりするようなタイプではないと思うんです。好きになったら一直線というか…。素直な性格がいいところかなと思います。あとは意外と社交性があるところですかね。家ではワコに甘えて『どうせ俺を嫌いになることはないだろう』って気持ちがあると思うんですよ。だからすごく子どもになれちゃうというか。ワコといる時は悪いところが目立ちますけど、意外と会社とか、外ではうまくやってるタイプだと思うんですよね。だから会社だと、むしろいいやつに見られてたりするのかなぁって。だからこそムカつくんですけどね(笑)。あんまり初対面の人には悪い印象は与えない人だと思うので、そういう雰囲気を出せたらなと思います」

「恋のツキ」でだらしない彼氏を演じる渡辺大知インタビュー 彼女が浮気相手といる場面に鉢合わせる心情を繊細に表現

「相手がどんな声で、どんなしゃべり方をする人で、どんな演技をする人かは知らなくてもいいかなって」

「恋のツキ」でだらしない彼氏を演じる渡辺大知インタビュー 彼女が浮気相手といる場面に鉢合わせる心情を繊細に表現

──本作はすごく空気感を大切にしている作品だと感じたのですが、徳永さんとのシーンを作り上げるうえでは、どのようなことを考えていたのでしょうか。

「徳永さんは本当にたくさんの現場を経験されているプロフェッショナルな方だと思うんですけど、僕は撮影初日に『この人とは気を使わずにやれそうだな』と感じました。2人がおのおの考えてきた役の気持ちみたいなものを、気を使わずにぶつけ合っていけたのかなって思っています。変に『僕、こういう感じでやろうと思ってるんですけど』みたいな話をすることもなく、演技の時に流れている空気を大事にしながら、徳永さんが演じるワコを受け入れて、素直に自分が感じるものを出せたらいいなって思いで演じていました」

──渡辺さんは欠席されていた7月25日に行われた記者会見で、伊古くん役の神尾さんが、第5話(テレビ東京では8月23日に放送)のワコ、ふうくん、伊古くんの3人が神社で鉢合わせするシーンについて言及されていました。その内容が「伊古くんとふうくんが初めて出会った時の感じを出したいから、神尾くんとは意図的に距離を置いていた」と渡辺さんが話していたとのことでしたが、実際はいかがでしょうか?

「神尾くんが? なんで知ってるんだろ(笑)。神尾くんと初めて会った時に、なんとなく『神尾くんとは自分からは話さないでおこう』って思ったんですよね。話したくないとかではなくて、極論を言うと…この神社で鉢合わせするシーンが、僕のクランクアップの日だったんです。僕にとって最後のシーンというのもありつつ、初めて会うシーンまでは、相手がどんな声で、どんなしゃべり方をする人で、どんな演技をする人かは知らなくてもいいかなって。この時って、ふうくんにとってはワコが浮気してるんじゃないか、浮気をしてるのか、してないのかって、見えない敵と戦ってる時期で。いるかどうかも分からないやつと戦ってる時期がしばらくあるんですよ。その感じを大事にしたいなぁと思ったので、あんまり楽しくおしゃべりしてるのもなーっていう気持ちでした」

──その状態で撮影をされて、いかがでしたか?

「そのおかげで自分もドキドキしながら、神尾くんに対して『誰だこいつは』って気持ちで入れたんで、良かったかなぁと思っています。神尾くんがどう思ったかは分からないんですけど(笑)。しゃべりかけてもらったら全然楽しくしゃべったと思うんですけど、結果、そんなことを思ってたら話す機会がなくて本番になったという感じです。あー、なんかこういうふうに言うとカッコ悪いですよね(笑)」

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