「もし1945年にSNSがあったら?」NHK広島放送局の斬新な取り組みを紹介!2020/08/01
戦後75年の節目の年となる2020年。現在、NHK広島放送局で「もし、75年前にSNSがあったら?」と仮定し、当時の暮らしや人々の気持ちを毎日SNS(Twitter)で発信するという一風変わった取り組みが行われているのをご存じでしょうか? そこに登場するのは13歳の男子学生、26歳の妊婦、32歳の新聞記者。彼らのつぶやきのベースとなっているのは、1945年に3人の方が実際に広島で書いていた3冊の日記です。
1人目は13歳のシュンくん。父、母、弟の4人で暮らす家族思いの中学1年生です。勉強熱心だけど、スポーツはちょっと苦手な男の子。これだけ聞くと、現代の男の子と変わりません。ただ一つ大きく異なるのは、戦時中のため、彼は周囲の大人たちから言われる通り、純粋に日本の勝利を信じ、学校生活にいそしんでいる少年だということです。彼のツイートからは、空襲警報に邪魔をされて勉強ができないという当時ならではの出来事や、戦時中にもかかわらず英語の授業が行われていたという意外な事実が見えてきます(シュン@ひろしまタイムライン https://twitter.com/nhk_1945shun)。
2人目は26歳のやすこさん。45年の5月18日に妊娠したことが分かってからの日々がつづられています。母子手帳をもらった喜び、つわりのつらさ、おなかの赤ちゃんをドキドキしながら見守っている様子など、生まれてくる日を楽しみにしながら出産準備をしている日々は、現代の私たちと通じるものがあります。しかし、夫が出征しているところは大きく違います。また、疎開先である夫の実家での生活や配給の様子など、当時ならではのエピソードも語られています(やすこ@ひろしまタイムライン https://twitter.com/nhk_1945yasuko)。
最後は、32歳の一郎さん。広島の新聞社で記者として、政府や軍の発表をそのまま紙面に掲載していた彼ですが、戦況が悪化する中、「このままでいいのか?」と葛藤するようになります。本当のことを書きたくても、検閲が厳しい時代に正直に書くこともできず「飲まなきゃやってられない」とつぶやいたりしています。また、ある日のツイートでは、空襲対策として、午後10時以降に消灯することが呼びかけられており、点灯するとその家だけでなく、周りの家も米や麦の配給を停止されるという、ある町内会の取り組みに疑問を呈する場面も。こちらのツイートは「今の自粛警察のようだ」と反響が大きかったそう(一郎@ひろしまタイムライン https://twitter.com/nhk_1945ichiro)。
実際に3人のツイートを見て思うのは、コメントがとても身近でリアルに感じられるということです。その理由は、当時の日記をそのままツイートするのではなく、広島にゆかりのある方々が今の言葉に置き換えて作っているから。3人と同世代のメンバーが日記に書かれていることを追体験することで、感情豊かで手触り感のあるツイートを作り出そうとしているそうです。この制作の舞台裏は、8月3日放送の「BS1スペシャル」(NHK BS1)などで放送されます。
日記の日付に合わせて3月から投稿されているSNSは、75年前の戦時中ですがコロナ禍の状況と重なることが多く、共感できる部分がたくさんあります。3人はこれから起こることを知らずに8月6日を迎えるわけですが、その時のツイートはどんなものになるのでしょうか。年末まで行われるこの取り組みから、目が離せません。
【番組情報】
BS1スペシャル「もし75年前にSNSがあったら~つぶやきからみえる戦争と原爆~」
NHK BS1
8月3日 午後9:00~9:49
NHK総合
8月5日 深夜0:50~1:39
あさイチ「特集“つぶやきから見えるみんなの戦争”」
NHK総合
8月6日 午前8:50~9:54
ラウンドちゅうごく「1945 ひろしまタイムライン 夏」
NHK総合(中国地方のみ)
8月7日 午後7:30~8:42
NHK担当 K・H
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