「18歳、新妻、不倫します。」新章突入――矢内達也プロデューサーがクライマックスに向けた見どころを語る! さらに、主演・藤井流星へ伝えたい“感謝の思い”とは2023/12/02
――物語も終盤戦に入りましたが、ドラマの反響というのはいかがでしょうか?
「まず一番楽しみにしてくださっている視聴者のお一人が、原作者のわたなべ志穂先生。『心臓が5個あっても足りない』と第1話を見た後に言ってくださって、その後も『すいません、心臓が5個あっても足りませんでした』とおっしゃってくださって、何度も“キュン死”していただいているみたいです(笑)。あとは、第5話の初夜のシーンはベッドシーンということもあって、藤井さんと矢吹さんそれぞれのファンの方が不安になることもあったかと思うのですが、陰影をうまく使った美しいシーンに仕上がりまして。『本当に奇麗だった!』『何回でも見れる』と言っていただけたこともよかったなと思っています」
――そこから一転して、残り3話で煌、月瀬の復讐劇が描かれるシリアスな展開へと変わっていきます。原作もある中で、第8話から最終話で煌の過去を含めギュッとまとめることでこだわったポイントはありますか?
「連続ドラマでは第1話の視聴率、見逃し配信再生回数から右肩下がりになってしまう傾向があるので、後半で勝負したいなと。もちろん、第1話から第7話までに『なんか裏があるぞ』と少しずつ散りばめて伏線を張る作り方もあるとは思うんです。でも、僕らとしては第8話で『違う番組にチャンネル合わせたのかな?』と思わせてしまうくらい作品のテイストをガラッと変えたいなと、台本作りの時から意識して狙っていました。第7話までは本当に王道ラブコメで、原作を知らない方や原作を最後まで読んでいない人には『このまま2人が幸せになって終わるのかな?』と思ってもらえたらと思いつつ、藤井さんと矢吹さんにもこういう狙いがあることはお伝えして、お芝居してもらっていました。僕が原作読んだ時に『おいおい!』と声が出たように、皆さんが見た時にも同じように声を出していただきたいなと思っています。タイトルの入り方、画の色味、画角も音楽もこれまで使っていないものを使っていて、第8話からはすべてが一気に変わります。原作が持っている良さと衝撃を、より強められたらなと思って撮影も編集も頑張りました」
――第7話は月瀬の「三条帝国を手に入れよう」というセリフがラストに待ち受けていましたが、“視聴者が気になるワードを最後に入れる”というのは脚本作りから想定されていたのでしょうか?
「おっしゃる通りです。全体のプロットを考えていく中で、第7話の終わり方だけは終始ぶれなかったです。実は、第7話から物語の変化が始まっていて、煌の誕生日のシーンは監督とも相談して、意識的に誕生日っぽくない撮り方をしています。一見すると幸せにあふれたシーンだけど、サスペンスのような撮影方法がとられていて、煌の過去に“壮絶な何か”があったということもにおわせています。よく見ていただくと、第8話で何かが起こるという違和感を抱いていただけるのではと思います」
――第7話で違和感を抱く人も…。
「いらっしゃると思います。第7話のラスト、次回予告で初めて第8話から新たな展開になることをお伝えしました。ここまで王道ラブコメで進んできましたが、第1話のような新鮮な気持ちで楽しんでいただけたらうれしいですね。第8話では藤井さんが涙を流すシーンがあるのですが、そのシーンは僕の宝物です。僕らの前では明るいけど、いろいろな感情がこもったお芝居なんじゃないかと思います。2023年のこの時期に彼のこういうお芝居を地上波で届けられることは、個人的にもすごく誇らしいです」
――以前、「around1/4 アラウンドクォーター」で取材させていただいた際に、「『新妻不倫』は自分の集大成くらいの気持ちでやっています。自分がアラクオ世代の時に出会ったWEST.といつかドラマをやることが目標だった」とお話されていましたが、藤井さんとの撮影を終えて、あらためてどんなことを感じましたか?
「そうですね…藤井さんも、僕も大人になったなと感じます。彼に対しても、15年に『ドヨルの妄想族』という番組で僕が台本書いて、再現ドラマみたいなものをやる番組を担当していたんです。その時はまだディレクター駆け出しで、藤井さんもその時はまだお芝居の経験はこれから頑張っていこうという状態で、ディレクターとキャストとしていろいろなことを2人でやりました。“結婚詐欺師・藤井流星”とか“ブラックジャック・藤井流星”とか…楽しかったですね。今、立場が変わって僕はプロデューサーとして現場にいて、藤井さんはドラマの座長として現場をまとめてくれて。そんな姿を見ると『あー、10年たったんだな』と思うと感極まってしまって、クランクアップの時はうるっとしましたね」
――今回の撮影を通してあらためて感じた藤井さんの魅力、そして今後の藤井さんにどんなことを期待されているか、最後に教えてください。
「今回、舞台のお稽古がある中でグループの仕事もあって、本来スケジュール的にはお断りいただいた方がご本人的には健全だったと思うんです。でも、『ABCの作品で矢内が担当しているドラマ』というのをどこかから聞いて、『だったら断れへんよ』と受けてくれたと伺いまして。そういうご縁みたいなところを大事にして仕事に向き合ってくれる、僕からのお願いにも向き合ってくれるところは本当に感謝しかありません。撮影期間は体力的にも精神的にも大変な時期だったと思うのですが、そういう姿をキャスト・スタッフには全く見せずに、周囲を気遣うことができる人なんだなとあらためて感じました。本当にしんどい時、つらい時に、僕はその人の本当の人間性が出てくるものだと思っていて。藤井さんは人として尊敬できる方だなと思いましたし、僕自身、見習いたいなと現場でずっと思っていました。今後は、いろいろな演出家の方に出会って、“彼にしかできないお芝居”を見つけていってもらえたらうれしいです。またいつかどこかで『主演をお願いします!』と言えるように、僕も頑張りたいと思います」
【プロフィール】
矢内達也(やない たつや)
兵庫県出身。2012年、朝日放送テレビに入社。主なプロデュース作品として「3Bの恋人〜付き合ってはいけない職業男子との恋遊戯〜」「ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情」「奇跡のバックホーム」「今夜、わたしはカラダで恋をする。」「彼女、お借りします」「アカイリンゴ」「around1/4 アラウンドクォーター」など。
【番組情報】
ドラマL「18歳、新妻、不倫します。」
テレビ朝日
土曜 深夜2:30〜3:00
ABCテレビ
日曜 午後11:55〜深夜0:25
※ABCテレビでの放送終了後、TVerで最新話を見逃し配信
※Netflix、Huluでは全話配信中
取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当)
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