「どうする家康」小平太こと榊原康政を演じた杉野遥亮が松本潤に感謝。「松本さんを見ると、自然と小平太になれた」2023/11/11
第42回(11月5日放送)の大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)では、伏見城を守る徳川家康(松本潤)の重臣・鳥居元忠(音尾琢真)が石田三成(中村七之助)らの大軍に囲まれ、敗れてしまいました。そして、ついに11月12日に放送される第43回で関ヶ原の戦いが勃発。家康は天下分け目の大戦に挑むことになります。
今回は、徳川家臣団で四天王といわれた小平太こと榊原康政を演じる杉野遥亮さんにインタビュー! クランクアップした現在の気持ちや小平太を演じて感じたこと、平平コンビとして話題になった平八郎こと本多忠勝役の山田裕貴さんや家康を演じた松本潤さんとの撮影エピソードなどを伺いました!
――クランクアップされた今の気持ちはいかがですか?
「クランクアップの日は、平八郎と本多正信(松山ケンイチ)と殿(家康/松本潤)でがっつり撮影していたので、2日間くらいこの世界観に引きずられている感じがありました。今は少し落ち着いて、ほっとした気持ちもあります。他の作品をやりながらも約1年半、ずっとどこか頭の片隅に小平太のことがあったので、気持ちが軽くなりました」
――大河ドラマ初出演でしたが、収穫だったことを教えてください。
「いろんな先輩やスタッフさん、脚本の古沢(良太)さんなどとの出会いは大きな収穫でした。ただ、自分自身の収穫としては、今この瞬間というよりも、何年後かに形になって見えるものなのかなと。今この段階では正直、分からないです」
――撮影で印象に残っていることはありますか?
「最終日です。この役をどう表現していこうかと悩み考えながら進んでいった1年間だったんですが、亡くなる1、2年くらい前を演じた時に、自由に楽しくお芝居ができて『この仕事好きなんだな』と思って。それはすごく楽しかったですし、印象に残っています。その時は山田くんとの演技でしたが、松本さんとの演技でもコミュニケーションを取りながら良いシーンを作れたことで、芝居の醍醐味(だいごみ)を感じられてすごくよかったです」
――最初の頃とクランクアップ後で、小平太に対する解釈や捉え方は変わりましたか?
「全然違います。最初の方は史実にとらわれ過ぎていたところがありました。どういう人か輪郭も見えておらず、終着点が全然見えていない、どうなっていくかも分からない中で緊張や不安もたくさんあって、意識が散漫になり、少し頭の中がとっ散らかっていました。ただ、1年半あったら自分も成長するわけです。その成長ぶりは小平太とリンクしていたかもしれません。最後の方は、お芝居の瞬間を楽しめたらいいなとか、気持ちを作ることを丁寧にやるだけだという移り変わりがありました」
――ご自身と小平太をリンクさせていたと。
「最初は小平太の見せ方や作り方を考えていましたが、ある段階からは今の自分とリンクさせながら作っていくのが、今回の小平太で康政だと考えが切り替わりました。年齢を重ねる表現はちゃんとしなきゃいけないので、そういうところは自分なりに考えましたが、どう見せるかというよりも、内面から何が出てくるかを大事にしていました」
――演じ終えた今は満足されている感じですか?
「正直、悔しい瞬間もいっぱいありましたし、なかなか思い通りにいかないことや分からないこともありました。でも、小平太にだってそういう瞬間があったかもしれないしとリンクをさせていって、最終的には楽しく終われたので、そこに関しては満足しています」
――小平太はちぎれ具足で話題になりましたが、衣装について印象に残っているエピソードはありますか?
「ちぎれ具足を着けるのにはすごく時間がかかるし、早くちゃんとした具足を着たいと思っていました。ただ、あれはすごくチャーミングで、実際にそういう史料もあるんです。周囲の人から具足のパーツをもらい集めたというエピソードも小平太という人を表しているなと思うので、役を演じる上でヒントになってありがたい気持ちと、準備が大変だったという気持ちの両方があります」
――小平太と平八郎の平平コンビも話題になりました。平八郎との思い出深いシーンがありましたら教えてください。
「平八郎は小平太の上司でもあるので、どういう立ち位置でいたらいいのかを結構考えていたので、平八郎を意識した小平太は常にいたと思います。物語の終盤で最後2人でお芝居したところは、すごく自分の中でも印象に残っています。小平太が平八郎を説得しに行き気持ちを共有する場面で、『お互いに年を取った』などというセリフがありますが、正直まだ自分自身はピチピチして若いので、どうしたら説得力のあるセリフにできるのかと2人で試行錯誤しました。ほかにも、第7回(2月19日放送)で2人でナンパしに行くシーンもセリフの間にこだわったんです。僕がもの作りの現場にいて楽しいのは、誰かと本気でものを作る熱が高まった瞬間なんです。山田くんとはそれがあったので、とても楽しかったです」
――平八郎の話がありましたが、徳川家臣団のエピソードもお願いします!
「大久保忠世役の小手(伸也)さんが第37回(10月1日放送)で最後の出演だと知らなくて…。気付いたらみんないなくなっているんですよ。小平太が館林藩の藩主になるため、3話くらい出ない間に、彦さん(彦右衛門/鳥居元忠役・音尾琢真)も亡くなって…。みんなの最後に立ち会えなかったんです。酒井忠次役の大森(南朋)さんの老けメークも見ていないし、石川数正役の松重(豊)さんも…。クランクアップを見たのは、七之助(平岩親吉)役の岡部(大)さんだけで、他の方のは見ていないです。井伊直政(板垣李光人)にも会っていないですし、気付いたら平八郎と2人でした」
――松本潤さんが演じる家康はいかがでしたか?
「小牧・長久手の戦いのあたりから、殿とのやりとりにヒリヒリする感覚がありました。緊張感もあって。当時の家康が背負っていたであろう何かを背負っているような。松本さんが演じる家康がすごくリアルに見えて、一緒にお芝居をしていると楽しかったです。自分が集中しづらい時に松本さんを見ると、自然と小平太になれる感覚があって、助けられた印象です」
――家康との関係はどのように変化していったと思いますか?
「最初の方は、殿というより友達やちょっと年上の先輩という感覚に近かったけれど、途中からは殿の存在感が変わり、自然と小平太も自分の役割が明確に見えてきて、そのために何をすればいいかということが分かって、家臣として変化していきました。大人になったんだと思います」
――軟弱な殿から大きく変わった家康を演じる松本さんの変化をご覧になって、影響や刺激を受けたことはありますか。
「それは存在感です。特に瀬名(有村架純)が亡くなってから存在そのものが殿だと思えたんです。殿が変われば、家臣も変わりますから。小平太も家康がいてこその小平太だったと思うし、家康の存在感や空気感を松本さんが背負っていてくれたことが一番大きく影響していた気がします」
――以前、時代劇に苦手意識があったとおっしゃっていましたが、今はいかがでしょう?
「人情や人と人との関わり合いが魅力的に描かれることが多いし、そういう面で時代劇はいいと思っていたんですが、自分が演じるとなると、どうしても恐怖心がありました。所作が完璧に入っていない状態でセリフを言うと、意識が散漫になってしまうという意味で苦手意識があったのですが、撮影が終わった今は、時代劇っていいなと思っています。自分の中で時代劇を理解できて、考えすぎていた部分が柔らかくなり、楽しいと思えるようになったのは収穫かもしれません」
――小平太として注目してほしいところはどんなところでしょうか?
「小平太は最終的にはとても愛情深い人になっていて、人としていい成長をする人だったと思います。演じていて、自分はすごく良い成長をさせてもらったし、小平太も成長させることができたなと。最初の印象とはまた全然違う人物になっていると思いますが、初期の、それこそちぎれ具足を着ていた小平太を思い出しながら見てくれたらうれしいです」
――ありがとうございました!
【番組情報】
大河ドラマ「どうする家康」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
日曜 午後6:00~6:45
NHK担当/K・H
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