「きのう何食べた？ season2」西島秀俊×内野聖陽が明かす思い――「すごく楽しくて、やりがいがある。とても大きくて大切な作品」2023/11/03

　西島秀俊さん演じる倹約家の弁護士・筧史朗（通称・シロさん）と、内野聖陽さん演じる人当たりのよい美容師・矢吹賢二（通称・ケンジ）の、毎日の食と共に男2人暮らしの日常を描く「きのう何食べた？ season2」。2019年4月クールにseason1が、20年元日には正月スペシャルドラマが放送され、21年に公開された映画も大ヒットとなり、待望の続編となる本作。毎回作中に登場するおいしそうな料理の数々はもちろん、恋人同士の2人が、さまざまな出来事がある中でお互いへの思いやりを持ちながら過ごすさまは、見ているこちらも優しい気持ちにさせてくれます。

　今回は、ダブル主演を務める西島秀俊さんと内野聖陽さんを直撃取材！　season2ならではの見どころをはじめ、作品やお互いへの思いを明かしてくれました。

――season1や正月スペシャル、映画を経て、ついにseason2ということで、パワーアップしたなと感じられることはありますか？

西島　「セットはほぼ変わっていないですね。ちょっと広くなるかなと思ったけど、変わらなかった（笑）」

内野　「そのままでしたね」

西島　「昨日まで撮影していたかのようにそのままでしたね。パワーアップしているのは、ケンジの優しさですね。ネタバレになってしまうので詳しくは言えないんですが…もう素晴らしすぎて、ドラマを見てくださった方にプレッシャーを与えてしまうくらい（笑）。こんなすてきなことをやってもらえたら、それはもうこの人のことを一生支えたいと考えるだろうなって」

内野　「あの逸話ね。具体例を伏せて話していると、さっぱり分かんない（笑）」

西島　「（笑）。そういうエピソードもあるので、結構パワーアップしています！」

――どのエピソードなのか、すごく楽しみです！（笑）。

内野　「と西島さんはおっしゃっていますが、私的には、シロさんのケンジへの思いもすごくパワーアップしているなと感じました。シロさんって、法律の勉強をずっと頑張ってきた人だからか、お金でしか愛を表現できないみたいな部分もあるんです。すごく口下手で愛の表現がうまくないんですね。本当は裏では『ケンジ、これ買っていったら喜ぶだろうな』とか、『これを食べさせてあげたら喜ぶだろうな』という思いやりが本作でもすごく多かったんですよ。『これ、今回シロさんの人気爆上がりじゃん！』って、ちょっとジェラシーすら感じた台本でした（笑）。不器用な生き方をするシロさんの“心の声”が見る者のハートをわしづかみにする台本だったので、シロさんのケンジへの愛も確実にパワーアップしていると思います」

――お互いへの愛がさらにあふれていて、毎話必見ということで。season2では、シロさんとケンジがアラフィフになりましたが、役と共に年月を重ねていくことへの思いや、シーズンを重ねていく相手がお互いでよかったとあらためて感じられていることがあれば教えてください。

内野　「本作は年を取っていいドラマですよね。シロさんとケンジも普通に年を取っていくので、引退が見えない恐怖はありますが、つえをつきながらのシロさんケンジも見てみたいですよね（笑）。他の作品だとキャラクターが年を取らずに話が展開するものもありますけど、本作はいろんな人生経験の中で、変化したり、成長したりしていく部分も取り込んでいるドラマなので。しわやしみが増えてもそのまま見せていいのはホッとしますね。皆さんも年を取る分、われわれも年を取りますから（笑）。そんなふうに一緒に年を取れるって、とっても自然だし不思議な作品だなと感じます。あと、お相手役の西島さんも一緒に年を取られているので安心しますね。『撮影がハードだな』と感じてふっと横を見ると、西島さんもハードそうにされていてホッとしたり（笑）。同時に時の流れを共有しているように思えて安心感がありますね。そうは言っても西島さんは美しい方なので、ジェラシーすら感じる瞬間もたくさんありますが（笑）。でも、ゆったりと同じように経年のことを受け入れていくのは、とても大事なことだと思います」

――見ているこちらも同じように年月の積み重ねを共有できるのは、とてもすてきだなと感じます。西島さんはいかがでしょうか？

西島　「こういう日常を描く物語で、年をちゃんと重ねていくものってあまりないと思うんですよね。シロさんとケンジもアラフィフということで、僕たちより少し年下だから、ちょっと前に自分が経験して実感していることを、まさに2人が直面しだしていて。なので、すごく共感するし、胸に迫るものがあります。この作品は、人生で大変なことだったり、みんながぶつかる壁などを描いていて、それを日常のささやかな幸せで乗り越えていくというお話だと思っていて。だから、どうしても厳しい現実みたいなエピソードが時々出てきて『分かる！　本当にそうだよね』と人ごととは思えなかったりするので、すごく演じがいがありますね。そういった部分をいくらでも繊細に感じ取って表現できるというのは、本作の特別なところかな。また、内野さんは全身全霊を込めて役に向かう方なので、相手役で良かったなと感じています。内野さんの役への向かい方で、僕も引っ張ってもらっていますし、他の共演者の方々も同じなんじゃないかなと。撮影の合間は、将来のことや健康のことなど日常会話をしているんですけどね（笑）。本番になるとどれだけ役にのめり込んで入れるかということを内野さんが体現されているので、それがすごく現場にとっては大きなことなんですよね。だから、内野さんなしにこのドラマは考えられないと思います」

内野　「すごく格好よく褒めてくれる！　ずるいな（笑）」

西島　「いや、本当にそうだからね（笑）」

――お二人の仲の良さが伝わってきます！　それぞれ続編をやりたいと思われていたとのことですが、そこまでこの作品をやりたいと感じられる理由や魅力を教えていただけますか？

西島　「一番の理由は、視聴者の皆さんの反響がすごく大きいからです。街を歩いていても『“何食べ”が本当に好きなんですが、続編はありますか？』と聞いていただいたり、他の仕事の時にスタッフの方に『続きを楽しみにしています！』とたくさん言っていただいて。だから、何年たってもそうやって応援してくださる皆さんの熱意がとてもうれしかったんですよね。演じている僕たちやスタッフも、すごく楽しくてやりがいがあるので。自分たちにとって、とても大きくて大切な作品ですね」

内野　「僕は二つありまして。一つ目は、この作品で主演をさせていただくことによって、時代の雰囲気のようなものを学習させていただいているみたいな感覚があります。視聴者の皆さんも、コロナ禍を経て、家でご飯を食べるということや、一番身近にいる家族に対して思いやりを持つことの大切さを感じてくださっているのかなと思ったりもします。相手の気持ちに寄り添いたくても、なかなかできなかったりする…そういったところで、この作品を見ながら癒やされるという気持ちになっていただいているのかなと。二つ目は、僕自身、ケンジという役が今までにない役柄で、初めてに近い状態で演じているのですが、それによって表現者としてすごく自由になれた気がしていて。今まで、時代が作り出した“男らしさ”とか“男性とはこうあるべき”という考え方のよろいをまとっていたように思うのですが、この役を演じることで、そういった価値観から自由になれたんです。それが面白い経験だったので、こういう役も求められているのであれば、とことんやってみようかと思っています。その二つが大きな理由かな。逆に、視聴者の皆さんにもこの作品の魅力をたくさん聞いてみたいですね！（笑）」

【プロフィール】

西島秀俊（にしじまひでとし）
1971年3月29日生まれ。東京都出身。おひつじ座。A型。ドラマ「ユニコーンに乗って」（TBS系）、「警視庁アウトサイダー」（テレビ朝日系）、映画「シン・ウルトラマン」「ドライブ・マイ・カー」などに出演。また、映画「首」が11月23日より公開予定。

内野聖陽（うちのせいよう）
1968年9月16日生まれ。神奈川県出身。乙女座。AB型。NHK大河ドラマ「風林火山」をはじめ、「臨場」シリーズ（テレビ朝日系）、「JIN-仁-」シリーズ（TBS系）、「琥珀の夢」（テレビ東京系）、映画「鋼の錬金術師」シリーズ、舞台「笑の大学」などに出演。また、映画「春画先生」が現在公開中。