上川隆也◆インタビュー「遺留捜査」父と娘を引き裂いたうそに隠された真実。遺留品に残された思いとは？2020/07/29

――さて、ここからは上川さんが演じる、糸村についてお聞きします。「上川隆也」から「糸村聡」に切り替わる瞬間や準備されていることはあるのでしょうか？

「包み隠さず申し上げるなら、ありません。糸村さんはいささか髪の毛がくるくるしている人なので（笑）、それに向けて髪形の前準備はしましたけど、その程度です（笑）。糸村は今や9年も付き合っている存在になって、ある意味身近な存在。何の抵抗もなく成り替われる気がします」

――台本を読ませていただいて、個人的に糸村の相棒のような存在である村木との絡みが少ないかな、寂しいな…という印象を抱きました。

上川隆也◆インタビュー「遺留捜査」父と娘を引き裂いたうそに隠された真実。遺留品に残された思いとは？

「もしかしたら、今回の作戦かもしれません（笑）。ちょっと足りないくらいの出し方で、くすぐるといいますか……。この作品を見ている人たちの中に、村木さんのファンがたくさんいらっしゃることは十二分に理解しているつもりです。そのうえで、そのようにお感じになったのだとしたら、ある種の“じらし作戦”なのかもしれません」

――私はしっかりじらされたということですね（笑）。

「そうかもしれません。まんまとハマってくださっています（笑）。それはそれでうれしいです。もしかしたら、見てくださる方の中にも、同じ思いをする方がいるのではないかなと思います。でも、村木さんは十分に見応えのある爪痕を残してくれていると確信しています。糸村と村木のシーンは常に台本通りには展開していません。今回も皆さんが思っている以上に、村木さんは“村木さんしている”と思います」

――ネタバレしない程度に、村木さんが“村木さんしている”シーンを教えてもらうことはできますでしょうか！

「村木さんは…疾走しています（笑）。そうとしか言えません。この表現を念頭に置いてご覧いただけたら、納得の上でエンドロールを迎えていただけるのではと思っています」

――今回の作品で出てくる遺留品は、父が娘を思って長年大事にしてきたものでしたが、上川さんが長年大事にされているものはありますか？

「とても口幅ったいのですが……お芝居です。今回のこのようなお芝居ができる場がない状況の中で、どうしようもなく痛感させられました。でも一方で、“お芝居が好き”という思いを維持するための努力や労力は、一切必要としていないんです。僕が『好きだ』と誰はばかることなく言えるものだと思っていますし、僕が役者でいる理由が“お芝居が好き”という思いだけなのは、これからも変わらないと思います」

――では、最後に今作の見どころをお願いします。

「また夏が来て『遺留捜査』をお届けできること、このような情勢の中にもかかわらず、いつものようにお届けできること、本当にうれしく思っています。今回の遺留品は“馬の毛”です。そこに、京都ならではの“京野菜”を交えながら遺留品に残された思いを紡いでいきます。これまでの『遺留捜査』のテイストはそのままに、2020年にお届けするべき物語としてお届けできたらと思っております。どうぞご期待ください」

――放送、楽しみにしています！　ありがとうございました!!

【プロフィール】

上川隆也（かみかわたかや）　
1965年5月7日生まれ。東京都出身。89年に、演劇集団キャラメルボックスに入団し活動開始。舞台、テレビ、映画と幅広く活動する傍ら、アニメ「天元突破グレンラガン」や「NARUTO～疾風伝～」「かぐや姫の物語」で声優としても活動。ドラマ「BG～身辺警護人～」「検事・佐方～裁きを望む～」（ともにテレビ朝日系）などに出演しているほか、9月27日から放送予定のプレミアムドラマ「一億円のさようなら」（NHK BSプレミアム）に主演。