SUPERNOVA・グァンスが舞台「最果てリストランテ」でコメディーに挑戦！最後の晩餐は誰としたい？2023/10/05

　朗読劇や映画作品として公開された名作「最果てリストランテ」が舞台となって帰ってきた。心に染み入る物語が評判の本作。舞台版の主要キャスト・料理長のシム・ユジュン役に抜てきされたのが、SUPERNOVAのグァンスだ。日本で数多くのミュージカルや舞台に挑戦してきた彼に、作品への意気込みを聞いた。

――「最果てリストランテ」は、三途（さんず）の川を渡る前に一度だけ訪れることのできるレストランで、すでに他界している人物1人と食事をすることができる、という場所ですが、今回、グァンスさんが演じる役はどのような役柄か教えてください。

「僕が演じるのはシム・ユジュンという、死んだ人が最後に訪れるレストラン『最果てリストランテ』の料理長の役です。ラップが大好きで、よくふざけていて、レストランで一緒に仕事をする給仕長の新田（伊崎央登）をよく困らせたりします。ものすごくバタバタな状況なのに、1人だけ余裕ぶっていたり、わが道を行く性格なんですけど、本当は思いやりがあって、誰よりも『最果てリストランテ』というレストランが好きで、大切にしています。たくさんいろんな思い出を持つお客さんが来るんですけど、彼らを優しく見守る役です」

――役づくりはどのようにしていますか？

「全体をよく見ようとしていますね。レストランに来るお客さん一人一人の性格だったり、その人が持っている物語はどんなものだろうとか、自分が演じる役ではないですが、登場人物みんなの気持ちを理解しようとしています。だから稽古中、みんなのことをすごく観察していますね。バレていないと思うんですが（笑）」

――聞くところによると今回は、コメディー要素が強いということですね。

「めちゃくちゃありますよ。セリフもテンポよくポンポン進むところが結構あります。コミカルな役の場合は、キャラクター自体もすごく個性が強くて、お互いのキャッチボールというか、そういうところがすごく面白いんじゃないかな。でも、だからってコメディーだけで終わるんじゃなくて、それぞれの役すべてに物語があるので、きっと皆さんすごく感動すると思います。笑って気楽に見て楽しんでいたら、いつの間にか涙を浮かべている、という感じじゃないかな」

――稽古をしていて難しいなと思うところはありますか？

「たくさんありますよ。毎日自分で考えて、昨日はこうしてみたけど、今日はこうやってみた、でもちょっと違うな、とかいろいろ考えて演じ方を変えてみたりして、毎日戦いながら挑戦しています」

――セリフはすべて日本語ですよね。もうあまり困ることはないですか？

「いや、日本語のイントネーションとか、まだまだ足りないと思うので、そこはいつも一番意識しています。今まで日本の舞台をたくさんやらせていただきましたが、いつもマネジャーさんにハングルで台本にルビをつけてもらっていたんです。でも、今回初めてそれをつけなかったんですよね。全部自分で読んでみて、調べて。もちろん難しい漢字はまだ分からないですけど。そういう意味でもちょっと挑戦でしたね、今回の作品は。勉強だと思ってやりました」

――なぜ今回はそれをやろうと思ったのですか？

「マネジャーさんへの思いやり？（笑）」

――優しいですね！

「というのは冗談です。本当に自分のために、もうちょっと自分に厳しくやってみたいなっていうのと、いつまでもマネジャーさんに甘えているのは駄目だと思って。せっかく日本の舞台に立たせていただくので、より責任感を持って挑んでみようと思いました」

――演技をする上で一番気をつけていること、意識していることはどんなことですか？

「役に愛着を持つっていうことですかね。そうすることで作品自体にも愛着が湧いてきます。イコール、すべての役に愛着が湧く。一つのパズルのピースだったそれぞれの役が、一つになって完成していっていい作品になっていくんだなって思うんです」

――今回この役を引き受けたことで、何か新しく気付いたことなどはありますか？

「ユジュンって、段々稽古を重ねるうちに、なんか自分に似ているかも？って思えてきたんですよ。最初は気付かなかったけど、友達とか仲のいい人たちと一緒にいる時に、僕ってまさにユジュンみたいな感じなんですよ。ユジュンがラップをしたりファンキーな姿を見せるのは、ある意味照れ隠しみたいで、本当はすごく優しい。自分で言うのは恥ずかしいけど、僕もそういうところがあるなと気付きました」

――この作品は、三途の川を渡る前に誰かと食事をするわけですが、グァンスさんなら誰と何を食べたいですか？

「家族ですかね。お母さんが作るトッポッキが大好きなので、家族みんなで一緒にそれを食べたいな」

――「最果てリストランテ」では、もうこの世にいない人を最後の晩餐の相手としてリクエストしますが、そういった方でグァンスさんが会いたい方はいますか？　さしつかえなければ教えてください。

「ありがたいことに僕は今まで、すごく近い関係の人が亡くなったということはほとんどなくて。強いて言うなら、ひいおじいちゃんとひいおばあちゃんに会いたいです。『子どもの時に遊んでくれてありがとうございます』と言いたいですね。亡くなった時は、僕も世間知らずで直接お礼を言えなかったので」

――今の人生の中で、現状何かやり残したことなどあるとすればどんなことがありますか？

「今のところそんなにないですね。やりたいことは、仕事もプライベートもやりたい放題させていただいているので。でも、強いて言うなら…普段、僕すごく照れくさくて素直に表現できないことが多いんですが、家族や一緒に仕事しているメンバーに対して、一言でも感謝とか大切にしている気持ちを素直に伝えたいなって思います」

――今からでもそうしようって思いますか？

「そういう気持ちにはなるんですけど、やっぱりユジュンからグァンスに戻っちゃうとなかなか難しいですよね。スイッチのオン・オフがはっきりしているので（笑）。ユジュンのままなら、たぶんすぐ電話してできると思うけど、稽古が終わって自分に戻ったらできない（笑）」

――「最果てリストランテ」を見に来ていただくお客さんには、どんなふうに感じて帰ってもらいたいですか？

「素で見て楽しんでいただけたらなって思います。笑いだけじゃなくて、なぜこの人たちがこの店に来たのか、そしてそれぞれがどんな思いで最終的に自分の死を受け入れて旅立つのかっていういろんな物語が、一つの感動のストーリーになっています。きっと皆さん、この舞台を見た後の帰りの道や、その日の夜、ベッドで横になった時とかに、絶対携帯を開くと思うんですよね。普段すごく大切に思っている人に連絡したくなるんじゃないかな」

――死ぬ前に「この人にだけは会いたい！」という人はいますか？

「アル・パチーノさんですね。すごく大きい夢なんですが、エキストラでもいいから、彼の作品に出て、目の前で彼の芝居を見てみたいです。彼の作品は全部好きなんですが、エネルギッシュで、呼吸だけで観客を引きつけられる演技に圧倒されます。僕は毎回見るたびに、アル・パチーノさんの演技にばかり目が行ってしまって、単純に作品を楽しめなくなるんです。勉強モードに入っちゃって。だから、彼の演技を目の前で研究したいな、と思います」

――勉強熱心なんですね。

「もともと僕は何事に対しても優等生だったので、勉強は好きですね。やらされるのじゃなくて自分から勉強するタイプでした。芸能界に入る前は、成績は学校でトップテンに入っていました。芸能界に入ってから勉強しなくなったんですけれども（笑）」

――得意な科目は何でしたか？

「化学です。夢は科学者でした。小学生の時は、科学者か大統領になりたかったです」

――ところで、とてもお忙しいと思いますが、お仕事の合間のリラックス方法は？

「最近なかなか行かれていないんですけど、やっぱりゴルフ。僕が好きな趣味って結構時間と手間がかかるんですよね。逆に忙しい中それをやると、余計に疲れちゃうんじゃないかって思われるけど、自分が好きな趣味をやることで、すべてを忘れて本当の素の自分に戻れるので、好きなことをしますね」

――日本にはもう何回も来られているグァンスさんですが、最近、日本で新たに発見したことなどありますか？

「和食が実はちょっと苦手だったんですが、最近すごく好きになりました。ちょっとさっぱりしていて体によさそうな、味が薄いものが好きになりました。僕が年を取ったのかもしれないけど（笑）。世界中でもダントツに体にいいと思います。納豆とか漬物、もずくとか。ハリウッドのセレブたちがなんであんなに和食、和食って言うのか、意味が分かるようになりましたね」

――ｄえは、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

「約3年ぶりの舞台『最果てリストランテ』、現在頑張って作り上げています。まだ、見に行こうかな、と迷っている方は、そういう迷いはさておき、必ず劇場に来てください！　そしてこれからご覧になる予定の皆さん、この舞台に足を運んでくださったことを絶対後悔させない自信があります。それくらいいい作品になっていますので、皆さんぜひ10月6日から、劇場でお待ちしています。よろしくお願いします！」

【公演情報】

「最果てリストランテ」

■日程：10月6～9日　
■会場：労音大久保会館アールズアートコート（東京都新宿区大久保1-9-10）　
■スタッフ・キャスト：脚本／鈴木美波　演出／村田千尋　出演／伊崎央登、グァンス（SUPERNOVA・超新星）、大崎捺希、大見洋太、中田凌多、眞嶋秀斗、秋江一、白石翔太、パクハ、テジュ、上仁樹、橋本達、橘龍丸、関隼汰、大見拓土（出演日順）

主催：株式会社アイエス・フィールド

＜公式サイト＞https://www.photocinema.net/