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「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>2023/09/22

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

――続いて早苗役の美山さん。美山さんとは「今夜、わたしはカラダで恋をする。」(ABEMA)でご一緒されたこともありますね。

「『子役のイメージから一つ殻を破りたい』というマインドであることはずっとお聞きしていたので、『今でもそうですか?』とまずお問いかけさせていただいたところから始まりました。一度『カラ恋』(「今夜、わたしはカラダで恋をする。」)でお会いした時に、いい意味で変だったんです。いわゆる、インティマシーシーンの直前でもグッと入りすぎず、みんなと笑いながらコミュニケーションをとって、そのまま本番に入っていく。結構気さくにお話されているのに、『よーい、スタート!』という合図とともに役に入り込めるのって、準備はしてくれていても芯がないとできないなと思ったんです。実は僕も当時は子役のイメージがあったのですが、スタッフや共演者の方に『今からインティマシーシーンを撮るよ』という時でも、恥ずかしがらずにやりにくそうな空気感を出さないようにできる、視野の広いしっかりとした方なんだなと思いました。見た目のかわいらしさとのアンバランスさが、自分の性事情をオープンにできない早苗の役柄にもぴったりだと感じたので、ご本人に一度お話を聞いていただきました」

――早苗はサパークラブを通して大きく変化していきましたが、最初の控えめな感じから、第7話のような“弾けた早苗”というのは美山さんにオーダーされていたのでしょうか?

「そこもまずは台本からそうしたことが大きいですね。やっぱり、5人が何か成長するドラマになってほしかったので、早苗は『健太という人間の考えに乗っかって生きてきた7年間を、自分なりに反省して成長した方がいいんじゃないか』と台本を作る段階から悩んだことで、一つのいいシーンが出来上がったと思います。美山さん本人は、(康祐が)目の前でキスしているのを奪って(康祐に)キスして弾けるというのが『できるかな、あまりキャラじゃないな』と一番不安そうでした。でも、『カラ恋』の時に夜中の撮影で50mぐらいの徒歩移動の際に、爆風スランプの『Runner』を歌いながら走っている姿を僕は見ていたので、『いやいや、あなたならできるよ!』と思っていました(笑)」

――いい意味でイメージも崩れそうですね(笑)。

「康祐がチャラそうに見える一方で、早苗は素朴な方なので『2人そろってキラキラするのはやめた方がいいよね』というのは最初から監督ともお話していました。キラキラした2人がイチャイチャラブラブするシーンを『どうぞご覧ください!』という作品ではないので、見ている方が離れないように、自分のこととして考えられる素朴さ、自然さが早苗にないとうそになってしまうと思っていたので、そこはキャスティングの時からかなり大切にしていました」

――序盤は悩む早苗に康祐が関わっていきましたが、後半になっていくにつれてそれが逆転して、康祐の悩みに向き合おうとしている早苗の姿も印象的です。

「そこは直己、一真、明日美の成長したタイミングも実はかなりこだわっています。直己は第7話で、一真は第8話で、明日美は第9話で、一人一人が一つ成長していって、第1話で集まっていた時ではかけられなかった言葉を、終盤に3人から康祐と早苗の2人に言えるシーンは大事にしました。最後まで向き合えていない康祐と早苗を、背中を押すように3人がボソッと放った言葉が康祐や早苗に刺さるシーンは面白くなっていると思います」

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

――続いて明日美役の工藤さん。先日放送された第9話では、明日美にとっては波乱の展開が起こりました。

「工藤さんは1回だけお会いしたことがあって。『年下彼氏』(ABCテレビほか)という作品で、Aぇ!groupの正門良規さんと秋山ゆずきさんの回で居酒屋の店員役を演じていただいたんです。当時、僕はAPだったのですが、何が印象的だったかというと、工藤さんを出番前に呼びにいった時、この間までアイドルをやられていた方が部屋の端っこでずっと体育座りをして待っていて、その姿を見た時に『この人、だいぶ気合入ってんな』と思ったんです。僕らもあまりお気遣いができていなかったのですが、『私のことは構わないでもらって大丈夫なので』とその時おっしゃっていて、『この人はいろいろな思いを抱えながら覚悟してやっているんやろうな』と感じたんです。その後、昨年放送された『ロマンス暴風域』(MBS)を見て、『あの覚悟は続いているんだな』と思ったので、『工藤さんと一緒に作品をやりたい』と思ったんです。マネジャーさんに話を聞いてみたら『結構サバサバしてます。裏表もなくて男っぽいです』と。『明日美にピッタリや!』と確信しましたね。そしたらマネジャーさんはすぐに本人に話をしてくれて、工藤さん本人も『明日美がやりたいです。すごく共感できます』と言ってくれました」

――表向きはサバサバしていますが、正と会っている時の危うげな明日美の表情からは、工藤さんの新たな一面が見られた気がします。

「撮影中も話していたのですが、『私は不倫とかは絶対にしない。一時の感情でリスクしかなくないですか?』と言っていて。そういうのを否定している人だからこそ、ああいう役は演じ切れるのかもしれないですね。不倫している後ろめたさみたいな感情をキッパリ否定できる人だからこそ、出せる表情なのかもしれないですね。工藤さんと松岡くんは、現場で一番監督としゃべっていた印象があります。あの2人は話しながら役を作っていました」

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>
「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>
「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

 明日9月23日公開のインタビュー後編では、直己を演じる松岡さん、一真を演じる曽田さんの起用理由が明らかに。さらに、矢内さんから見た5人の姿、そこから感じた彼らの魅力とは。

【プロフィール】

矢内達也(やない たつや)
兵庫県出身。2012年、朝日放送テレビに入社。主なプロデュース作品として「3Bの恋人〜付き合ってはいけない職業男子との恋遊戯〜」「ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情」「奇跡のバックホーム」「今夜、わたしはカラダで恋をする。」「彼女、お借りします」「アカイリンゴ」など。

【番組情報】

ドラマL「around1/4(アラウンドクォーター)」
テレビ朝日
土曜 深夜2:30〜3:00
ABCテレビ
日曜 午後11:55〜深夜0:25
※ABCテレビでの放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当)

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