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「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>2023/09/22

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

 EXILE/FANTASTICSの佐藤大樹さんが地上波連続ドラマ単独初主演を務めるドラマ「around1/4(アラウンドクォーター)」。かつてのアルバイト仲間だった新田康祐(佐藤)、平田早苗(美山加恋)、橋本明日美(工藤遥)、横山直己(松岡広大)、宮下一真(曽田陵介)ら5人が、アラサー前の25歳=アラクオを迎える中、それぞれが直面する“25歳の壁”、そして“恋の分岐点”にフォーカスを当て、人生と恋に悩み傷つき過ちを繰り返しながらも、自分なりの乗り越え方を見つけていく物語は、いよいよクライマックスへ。

 正(平岡祐太)と別れた明日美は洋一(吉澤要人)とどう向き合うのか、そしてお互いの気持ちがすれ違ったままの康祐と早苗は向き合うことができるのか。気になる最終話を前に、TVガイドwebでは本作でプロデューサーを務める矢内達也さんを直撃。そのインタビューを前・後編にわたってお届けする。前編では、「アラクオ」(「around1/4(アラウンドクォーター)」)制作のきっかけや、5人のメインキャラクターのキャスティング秘話を語ってくれた。

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

――ドラマも残すは最終話のみとなりました。ABEMAのドラマランキングは常に上位、初回の見逃し配信は、ABCテレビドラマの中では歴代最高再生数を記録していますが、反響などはいかがですか?

「事務所の方や制作会社の方、仕事で会う方から『アラクオ見てますよ!』と直接聞くことが多いですね。結果がついてきてくれたのはうれしいですし、第1話を放送した時はまだ第2話以降の編集中だったので、『いいものができたんだな』と監督も含めてみんなの士気も上がってより結束力も固まりました。数字というのは魔力があるんだなと思いました」

――今回、短期間で全10話を撮影されたとのことですが、大変なこともありましたか?

「ドラマの設定として、早苗は池尻あたりに住んでいる設定なのですが、最終話では康祐と早苗が渋谷から歩いて早苗の家まで康祐が送るシーンがあって、そのシーンは夜から朝にかけて、実際に渋谷から池尻まで歩いてもらったんです。夜7時に渋谷に集まって、ちょっとずつ歩いて移動しながら撮影するみたいな。その時期は寝れないこともありましたね。ABCテレビのドラマL枠は全体で20日から25日で撮っていくので、時代には合っていないのかもしれないのですが(笑)、5人が集まるバーのシーンは全話を通して多く出てきたので、一気に撮影できたことはとても大きかったと思います。実は、今回全10話を約19日で撮り切ったんです。あっという間に終わって、これも最短記録ですね」

――NONKIの舞台となった渋谷のdiningbar KITSUNEもかなり盛り上がりを見せているようですね。

「ちょうど先日ロケで行ったのですが、ドラマとのコラボ企画をご提案したところ、オーナーの方にご快諾いただきました。演者のサイン入りTシャツを飾ってくれたり、ポスターを置いてくれたり、PRを店内で流してくださったりと、めちゃくちゃ協力していただいて。この間、FANTASTICSのライブ終わりも満員になったり、海外からもサインを見に来るために旅行で来てくれているみたいです。今までもこういったことは“やってはみたけど話題にならなかった”ことは多かったのですが、今回はいろいろやってみたことが結果に出ている感じがします」

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

――あらためて、この「アラクオ」実写ドラマ化きっかけを教えてください。

「僕が原作を読んでいたというよりは、プロデューサーの箱森菜々花さんから教えてもらって、そこから読んでみた時に『すごい分かる!』と思えたんです。僕は今35歳ですが、作品自体が7年前のものだったので、自分が25歳の時のことが書いてあるようで、純粋に自分自身が共感できたことが大きいですね。もう一つ、これは打算的なのですが、今まで自分がドラマでやってきた要素がすべて入っているといいますか。“不倫”、“浮気”、“カラダで恋をする”と、僕が今まで手掛けてきた作品のいろいろな要素が入っていながら、まだトライしたことのない“BL”の要素もあったので、『これをうまいことやったらすごいものが出来上がるんじゃないか』と思ったんです。自分が経験した要素もありつつ、トライしたい要素もあったから挑戦してみたかったという感じですね」

――確かに、直己は“BL要素”、明日美は“不倫要素”と裏テーマのようなものが織り込まれていますね。ドラマを作る上でこだわったポイントはありますか?

「まず、約7年前の原作だったので、一度2023年の設定に置き換えて、原作の読み切りオムニバス形式からいい具合に分解して、すべての話が並行して進んでいくようにしました。本づくりの段階で監督、脚本家が入った時に、実は一度第8話まで作っていたのですが、そこで一度立ち止まるタイミングがありました。会議室の壁に付箋を貼っていったんです。『7月◯日、この時に早苗と康祐は出会いました』と書いて、『じゃあ明日美はこの頃には正と出会っていないといけないか』と、カレンダーを作り直したんです。時系列をすべて表にして『この日は早苗はこうしている』『康祐はこんなことをしている』と全部書いていったんです。全部作り直して、『この日のことは、この話』と細かく組んでいったので、そこの矛盾はきっとないはずです」

――ドラマの演出でも7月7日から4月23日に戻るような演出がありましたが、その作業があったから、同じ25歳という時期でも変化を生み出せたということでしょうか?

「監督はそこを本当に大事にしていたので、実際にカレンダーにしてみると、例えば康祐と早苗のすれ違いでいえば、実際は3日ぐらいしかたっていないから『次の日に普通にしゃべれますかね?』と、そういう心情みたいなところは台本の部分でかなり大事に拾っていたところかもしれないです。本来なら、早苗と康祐の話ってそこだけ描けば4話分ぐらいだと思うのですが、それを全10話にちょっとずつ散りばめていったので、そこに対する理解は、佐藤くんも美山さんも一生懸命やってくれたと感じています。本読みの後に作ったカレンダーをお渡しして、『あなたの役の時系列はこうなっています』とお伝えして『なるほど!』と言っていただけました。カレンダーを作る作業はとても大切でしたね。このドラマのすべてだったかもしれないです」

「アラクオ」最終回直前! 矢内達也プロデューサーが明かす裏話とともに、作品を振り返る<インタビュー前編>

――打ち合わせの中でキャスティングも決まっていったと思いますが、メインキャスト5人の起用理由を1人ずつ教えてください。まずは康祐役の佐藤さん。

「佐藤さんは、作品を問わずに一緒にやってみたいとずっと思っていたんです。『恐怖新聞』(フジテレビ系)や『Sister』(日本テレビ系)と、彼が出ている作品が注目を浴びているのはなんでだろうと思いながら、LDHさんがやっているライブを見に行った時に、メンバーの中でもすごくタレント性があるなと思って。MCをやって、踊って、演技もできる、だから一緒にお仕事をやりたいと思っていたところがあります。今回の企画をやるにあたって、康祐という人間が『チャラく見えるけど何か隠している』という、そこに対してのビジュアルの説得力が結構いると思うんですね。なんというか、『チャラそうって思うけど、その裏には実はこういう理由があって』と、見た目だけでは図りきれない根が真面目な人じゃないと演じ切れないと思っていて。それでマネジャーさんに『どんな方ですか?』と聞いた時に、『めちゃくちゃストイックなやつです。これをやると決めたらできるまで絶対にやる。人としては人懐っこいやつで、おっしゃっているキャラクターにピッタリだと思います』と言っていただいて、『康祐やん!』と思って、すぐマネジャーさんに『1回読んでみてください』と原作をお送りしました。そこからご本人も読んでくれて、実は企画が通る前から佐藤さんは『ぜひやりたいです』と言ってくれていました」

――番組SNSで上がっていたオフショットで、佐藤さんが筋トレしているお写真があったことをふと思い出しました。ああいう場面からもストイックさは伝わってきそうですよね。

「体を見せないといけない撮影の日は、前の日から水を抜いてサウナに行って、直前にトレーニングをやると体に張りが出るらしいです(笑)。あれ、初日だけじゃなくてこの撮影期間中は基本的にずっとやっていたみたいで、痩せすぎないぐらいには食べるけど、基本的にはあまり水とかも取りすぎずということをやり続けて、それでライブにも出ているから本当にすごいですよね。生まれ持ったものもあると思いますが、ちゃんと努力されている。彼の努力の結果がドラマにも出ていると思います」

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