日本プロ麻雀連盟会長・森山茂和インタビュー!「名人戦で麻雀の魅力を知ってほしい」2023/08/29
MONDO TVで放送中の「モンド麻雀(マージャン)プロリーグ」は1年間を通じて行われる老舗のテレビ対局放送番組。「モンド王座」を頂点として、「女流モンド杯」「モンド杯」「名人戦」で麻雀プロが熾烈(しれつ)な対局を繰り広げている。その中でも、麻雀のレジェンドともいえるプロたちが出場しているのが「名人戦」だ。この「名人戦」で常に大きな存在感を表している日本プロ麻雀連盟の会長・森山茂和プロにインタビュー。現在の麻雀界について、そして麻雀の魅力などを語ってもらった。
── まずはご自身にとって、「モンド麻雀プロリーグ」の「名人戦」は、どのような麻雀対局番組といえますでしょうか?
「現在、数多くの雀士の方たちが対局番組に出演しています。その中でも『名人戦』は、若い雀士の方たちにはできない麻雀、見せられない打ち筋をお見せできる番組。質が高く、奥の深い麻雀を打つには、やはり年輪が必要だと思っています。勝ち負けだけではない“見せる麻雀”を意識して、僕は打っています。例えば、高い手役を目指す、魅力的な手役を作るのも一つ。逆に『えっ、こんなところで降りちゃうの?』という時、しっかり当たり牌を止めていたり。攻守のバランスをどれだけしっかり見せられるかが、僕は大事だと思っていて。そういう高いレベルの麻雀を見せられるのが『名人戦』です」
── 最近では女性や若い方の間でも麻雀人気が高まっています。
「確かに新しく麻雀を始められる方が、結構増えています。麻雀プロとも対局可能なネット麻雀ゲームだったり、配信番組も増えてきて。麻雀の楽しみ方が増えている現状はとてもうれしく思いますが、僕は麻雀はもっと奥が深いんだ!ということを伝えたいんです。それが、僕らプロ雀士としての役割。ただの絵合わせにはしてほしくないんです。ただ、麻雀は覚えたての人でも勝ててしまうゲーム。でも、真っすぐに打つだけだと、勝つことはできても、どうしても負けることの方が多くなってしまう。それにあがるためだけに打つと、場を壊してしまうこともあります。最初は仕方ないと思いますが、いろいろなことを考えていただきたいですし、考えれば考えるほど面白くなるのが、麻雀。そのためにも『名人戦』ではほかのプロ雀士の方たちと共に、最高峰の麻雀をお見せしたいと思っています」
── ちなみに年を重ねたことで、ご自身の打ち筋は変わってきたと思いますか?
「僕はあまり変わっていないですね(笑)。攻める時は攻める。今でもその気持ちは忘れないようにしています。たまに、エンターテインメントとして麻雀を打っているんじゃないか、勝とうとはしてないんじゃないか、と言われてしまうこともあります。そうではなく、あくまで勝つために打っているんです。横綱相撲ってあるじゃないですか。そのように、相手の攻めに受けて立つ、そのうえで勝つというのが、僕の麻雀です」
── 森山プロといえば、大物手…というイメージがあります。
「馬場(裕一)くんは“メンチンのバビィ”と呼ばれていますが、僕の方がMONDO TVさんでよくメンチン(面前でそろえた清一色)であがっているんじゃないかなぁ(笑)。2001年からMONDO TVの麻雀対局番組には出させていただいていますが、なぜかメンタンピン(リーチ・タンヤオ・平和)がこないんです。たまにいい手がきても伸びないとか(笑)。だから仕方なしに難しい手を狙うことが多くなる。結局、苦しい手から大きく狙うから純チャンとかメンチンとかになってしまうんですかね。手作りくらいは魅せたいじゃないですか。でも、ずっとMONDO TVさんに出させていただいているのは、結果だけじゃなく、内容も評価してもらっているからだと思っています。凡ミスをやったこともありますが、長い目で見て、面白い麻雀を打つキャラとして使っていただけているのではないかと思います」
── 森山プロは日本プロ麻雀連盟の会長としても活躍されています。
「いかに競技人口を増やして、麻雀界を発展させるか。いろいろ考えてやってきました。MONDO TVさんでもかつて放送していただいている『世界選手権』もその一つ。昨年はウイーンでやりましたが、2025年には東京で開催します。MONDO TVさんでも、きっと放送してくれると思っています(笑)」
── 麻雀界の表だけでなく、裏方でも活躍されてきて、今思うことは?
「僕はね、東場一局で満貫をあがっても、決して勝ちではないと思っているんです。東場一局がどうあれ、徐々に形を作って、オーラスにあがりきり、トップにいられるかどうかが麻雀。僕の人生も一緒で、日本プロ麻雀連盟で何かを成功しても、まだまだ東場の一局だぞ、と。もっともっと麻雀界を盛り上げていこうという麻雀的な考え方を持っています。2巡目に白をポンして、目先の1000点、2000点をとってどうするんだ、と。最終的に一番になればいいだろう、と。ただ僕ももう70歳を過ぎています。若いプレーヤーの方もたくさん育ってきましたが、どうしても対局が忙しくて、僕の代わりをやってくれそうな後進が育っていないのが実情です。二代目会長の灘(麻太郎)さんから『あと10年はやってよ!』と言われましたが、『そんなにできませんよ!』と話しました(笑)。まだまだ現役で頑張りますが、ぜひ経営サイドの育成もしていきたいと思います」
── 最後に次の「名人戦」への意気込みをお願いします。
「もう、言うことはこれしかありません。内容のいい麻雀をしっかり打つ! ぜひ、ご覧になって、ベテラン雀士たちの打ち筋をご覧になり、麻雀の魅力を知っていただきたい」
【プロフィール】
森山茂和(もりやま しげかず)
1951年生まれ。山口県出身。日本プロ麻雀連盟第三代会長。九段。著書に「麻雀プロはこう読む」ほか。
【番組情報】
「モンド麻雀プロリーグ22/23 第17回名人戦」#1~#3
MONDO TV
9月12日スタート(全16話)
火曜 午後11:00~深夜0:30
百戦練磨のベテラン男性雀士10人による円熟の技と巧みな心理戦による対局シリーズ。予選は各雀士が4戦を戦い、予選全10戦で、総合点の上位8人が準決勝進出、下位2人は予選敗退。準決勝は点数を持ち越し各雀士2戦・準決勝全4戦、総合点の上位4人が決勝進出。決勝は予選の点数を持ち越さずにリセット。2戦を戦い、優勝者が決定する。出場雀士は森山会長のほか、前回優勝の瀬戸熊直樹、荒正義、河野高志、近藤誠一、沢崎誠、新津潔、藤崎智、前田直哉、山井弘の10人の猛者たち。
取材/塚崎雄也 構成/今井敏行 撮影/尾崎篤志
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