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井上祐貴、YU＆濱正悟のひたむきな姿勢に「努力は裏切らないと感じました」――「何曜日に生まれたの」インタビュー2023/08/13

　ABCテレビが4月から新設した、日曜午後10時の全国ネット連続ドラマ枠の第2弾として放送中のドラマ「何曜日に生まれたの」。脚本家・野島伸司さんが手掛けるオリジナル作品がいよいよスタートし、先の読めない展開が見る人を魅了している。

　コモリビト（引きこもり）となってしまった主人公・黒目すい（飯豊まりえ）の現在と、引きこもりの原因となったバイク事故が起きた過去。現在と過去が入り乱れる中、物語のキーパーソンとなるのが、すいの高校時代の同級生だ。サッカー部のムードメーカーの江田悠馬（井上祐貴）、エースの雨宮純平（YU）、マネジャーの早瀬瑞貴（若月佑美）と橋爪リリ子（片山友希）、補欠のキャプテン・城崎健人（濱正悟）、現在明かされているこの5人の存在がこれからどう関わっていくのかは本作の注目ポイントの一つだ。

　TVガイドWebでは、そんな5人のキャストを直撃取材。今週は江田悠馬を演じる井上祐貴さんのインタビューをお届けする。初挑戦となった“野島脚本”の魅力や撮影の裏側、さらにクランクイン前に行ったYUさん、濱さんとの“秘密特訓”についてのエピソードを明かしてくれた。

――今回、オーディションを経て悠馬を演じることになったと伺いました。オーディションを振り返るとどうでしたか？

「空気は異様でした（笑）。少し狭い部屋に、プロデューサーも監督も、もちろん野島さんもいらっしゃる中で1時間ぐらいやったんですけど、そこで僕は野島さんの声は1回も聞いていなくて。クランクイン前の本読みの時に初めて野島さんの声を聞きました（笑）。野島さん自身も不思議な方だなという印象です。だからこそ脚本のイメージとも合っていて、すごく納得したというか。僕としてはそれを感じることができてうれしかったオーディションでしたね」

――オーディションが終わった後は、手応えはありましたか？

「いや、正直なかったです。オーディション用の台本を事前にいただいて、その中にある役をいろいろな人と入れ替わりながら演じたのですが、オーディションで僕は悠馬を1回しか演じませんでした。それこそ演じた回数で言えば、純平を演じた方が多かったんです。ほかの方が演じている間、後ろからずっと見ていたので、『もし自分が決まるとしたら純平だな。悠馬は…自分ではないな。回数的に純平しかない』と思いましたね」

――その1回で悠馬としての適性を見抜かれた可能性もありそうですが…（笑）。

「そうだとしたら、本当にオーディションって分からないです！（笑）。（可能性が）分かったら面白くないですけど、もう全然分からないです」

――野島伸司さんが手掛ける脚本にはどんな印象を持たれましたか？

「全く先が読めないというのが、野島さんの脚本の魅力の一つでもあるのかなとすごく感じました。展開が読めない作品ってもちろんあると思うのですが、野島さんの脚本はその先が分かった時に『えっ、そっち？』となる方向に行くんですよね。不思議な方向に行って、それがまたどうなるのか、どんどん気になっていく脚本だと思います」

――読んだ時の衝撃も強かったですか？

「強かったです。最初に4話分くらいをまとめていただいたのですが、何度読んでみても分からないことがたくさんあって。だから、その先が早く知りたくなりました。それも野島さんの脚本の魅力の一つなのかなと思いますね」

――では、今回演じられる江田悠馬という役をどのように捉えているか教えてください。

「今回の作品は、高校時代と27歳の現代の両方の時代が描かれているのですが、10年前の悠馬はサッカーの実力も人気もあるという、スポーツをやっている人なら一度は味わってみたいと思うような役で。僕も学生時代にサッカーをやっていた時、そんな状況に少し憧れたこともあったので、作品を読んで悠馬を知っていくうちに演じるのが楽しみになりました」

――“エースストライカー”という役は、なかなかできる役ではないですよね。

「そうなんですよ。ちゃんと結果を残してチームを引っ張っているところとか、やっぱりただ者ではないので、そういうのってみんな一度は憧れると思うんです。男女関係なくいろんな人から好かれる魅力がある人間だとも思うので、そこもうれしかったですね」

――話が進むにつれて、だんだんとエースという外見だけでは分からないような部分も見えてくるとのことですが、悠馬の内面についてはどのように捉えていますか？

「学生の頃の悠馬はある程度、何でもうまくできる人なんです。だから純平がいなくなった時の挫折みたいなものの衝撃が大きくて、そこが悠馬の人生の転機というか。そのことがあったからこそ、大人になって営業マンとして生きている悠馬がいるのではとすごく感じます」

――すいが10年間引きこもっていた中で、高校時代から現代にかけての悠馬の10年間は空白の部分だと思います。その10年間はどんな期間だったと思いますか？

「正直、すいがどう思っているかは分からないんですけど、悠馬としては何回も勝手に駆け引きしていたと思います。『もし次、会ったら何話そうか』とか『今日会ったらこれを言おう』と考えている日もずっとあったんだと思います。1日たりともすいにぶつけてしまった言葉を忘れたことはなかったと思うし、10年って長いようで、過ぎてみればすごくあっという間だったのかなと思いますね」

――第1話のラストではすいと再会するシーンもありましたが、悠馬のソワソワするような感じも意識されましたか？

「意識しました。それが伝わるとうれしいんですけど（笑）、普通に10年ぶりに友達に会うだけでもソワソワするのに、“ただの友達”ではなく“いろいろあった友達”というのは、ソワソワするだけではなく計り知れないくらいいろいろな感情が乗っかっていると思います。僕なりに『悠馬だったらどんな感じなのかな？』と考えながら演じたので、すごく楽しかったです」

――飯豊さんも含めて高校時代の同級生5人とのシーンも多いと思います。同級生キャストの皆さんの印象はいかがですか？

「皆さんしゃべりやすくて、お話をたくさんしてくださる方ばかりなので現場での会話も絶えないですし、楽しい雰囲気で撮影ができていると思います。特にYUくんと正悟くんとは、劇中のサッカーのシーンのために、クランクイン前にサッカーの練習を一緒にしたんですよ。何日か練習日を設けて、コーチの方にも来ていただいて結構がっつりと練習しました。台本がある程度、出来上がっていたので、サッカーのシーンもどういう演出で撮るのか決まっていて、それを想定した練習を何回かやらせていただいたので、その時間は大きかったですね。練習としてもそうですし、それ以上にクランクイン前にコミュニケーションを取れたこともよかったです」

――お二人の印象も変わりましたか？

「2人とも運動神経がいいですね…！　YUくんは野球部、正悟くんはバスケットボール部だったみたいで、サッカーは部活としては未経験のはずなんです。でも、取り組む姿勢がもちろん全力ですし、短期間で日に日にどんどんうまくなっていくんですよ！　裏で練習とかしてたのかな…？って（笑）。コーチとも『え、この前よりめっちゃうまくなってません？』と話していたくらい、すごくうまくなってて。僕はサッカーをずっとやっていたので、最初からパスとか基本的なことはある程度できたんですけど、2人は最初、そこから練習を始めていたはずなのに、誰が見ても分かるぐらいどんどんうまくなっていくので、それを見て僕も『頑張らないとな』と少し焦ったりしつつ、クランクインがすごく楽しみになっていましたね」

――初めてサッカーをする人は、止めて蹴るというだけでも難しいといいますよね。

「ちょっと蹴っただけでも、やっていたかどうかって分かるじゃないですか。僕も急に『バスケをやれ』と言われてやったとしても、やっぱり素人感が出てしまうと思うので。でも今回、2人を見ていて努力は裏切らないということを感じましたね」

――実は取材前にマネジャーさんから、濱さんとは別のフットサルの現場でもお会いしたと伺いました。

「そうなんですよ！（笑）。役者仲間が作ったフットサルのチームがあって、行ける時は行っているんですけど、僕がそこに正悟くんを紹介できたらと思っていたら…気づいたらもういて（笑）。正悟くんがチームの人とつながっていて『あ、正悟くんは昨日行ってたんですね』みたいなやりとりが1回ありました（笑）」

――そこでの活動もあったから、濱さんの成長スピードも早かったのかもしれないですね（笑）。

「いろいろ話したいことはあるんですけど、（濱演じる健人が）補欠のキャプテンなので。練習は一緒にしていますが、撮影中にボールに触っているところはまだ見ていません。現代のフットサルのシーンではボールに触るかもしれないですが、まだ撮っていないので。だから、撮影の合間に触るのが楽しいみたいで（笑）。撮影以外のところでの正悟くんは、『今日めっちゃボールに触ってる！』って楽しそうです。リフティングとかもめちゃくちゃ練習していて、どんどんうまくなっていますよ。公式SNSとかでオフショット動画とか、その姿を見せられるといいんですけど…」

――今回、作品を通じてサッカーができるというのは、井上さんにとっても喜びが大きいことなのではないでしょうか？

「本当にうれしいですし、楽しいです。ですが、脚本には詳しくは書かれていない、僕が今までに決めたことのないような難易度のシュートの演出があって。監督と『格好よくシュートを決めたいね』と話していたんですけど、それがめちゃくちゃ難しい！　猛暑の中で何回もやらせていただいたんですけど、そういうシーンの撮影では普通にサッカーしているだけでは味わえないような感覚を経験させてもらっていますね」

――“エースの宿命”という感じがしますね。

「そうですね。やっぱり強豪校のエースって決めるところを決め切るので、それをイメージして演じさせていただきました」

――長年ずっとやられてきたサッカーはどんな存在ですか？

「（かなり悩んだ末に）僕にとって夢中になれることかもしれないです。うまいとかうまくないとか関係なく、昔からサッカー自体が好きなんだと思います。見ることもプレーすることも全部好きなんですよ。それこそ、ワールドカップとかで日本全体がすごく盛り上がっている時に（試合を）見ていると勝手にアドレナリンも出ますし、プレーしている時はそれ以上に出ているので、夢中になれることの一つなのかなと思います」

――試合を見ている時はメンタル的にもリラックスできることは多いですか？

「そうですね。FCバルセロナが好きなんですけど、試合がある日は『今日試合だ』と思って楽しみにしながら帰る日もあるので、それぐらい好きですね。ちょっと仕事で疲れたり嫌なことがあったとしても、ボーッとサッカーを見るだけでも忘れられます」

――最後に、今後のドラマの見どころを教えてください。

「見どころとしては、毎週何かが起きて、真実がどんどん明らかになっていって、そういうところを毎話期待していただけたらと思います。見ていただいて間違いないと言える作品になっているので。悠馬としては、やっぱりサッカーのシーンは頑張っている姿を見ていただきたいです（笑）。あとは、“ある事故”が起きたことで、それを経て悠馬も含めてみんながどう変わっているのかというのは、ぜひ注目して見ていただきたいです」

取材・文／平川秋胡（ABCテレビ担当）

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