ドラマ「軍港の子」、戦争孤児を演じた子どもたちが会見に登場! 主演・小林優仁、母親役の田中麗奈は「トム・クルーズに見えました!」2023/08/09
神奈川・横須賀の実話を参考に作られた戦後孤児たちの物語「軍港の子~横須賀クリーニング1946~」(NHK総合)が、8月10日に放送されます。
放送に先立ち、8月2日に開催されたドラマの試写会&取材会の模様をお届け! 小川今日一役の小林優仁さん、高木誠司役の髙橋來さん、坂井凪子役の村山輝星さん、岡田武弘役の原田琥之佑さん、そして、今日一の母・良枝役の田中麗奈さんと制作統括の桑野智宏さんが登場! 撮影の感想や役作りについて語ってくれました。
――撮影を終えての感想をお願いいたします!
桑野 「このドラマの企画を始めたのは2021年で、“トー横キッズ”など現代の子どもたちの苦しみや悩みが注目されていました。戦争孤児をテーマに描くことで、現在にも伝わるドラマにしていきたいという思いで準備をしていました。22年になって、ロシアとウクライナの問題も発生し、戦争が現在でも起こり得る問題として考えられることも多くなってきました。それと同時に、戦争を経験した方に取材をする上で、『少し前までは元気でいらっしゃったんだけど…』『3年前だったら話を聞けたのに…』ということがたくさんあり、太平洋戦争がどんどん遠くなっていってるんだなと感じました。遠くなっているからこそ、われわれは作り続けないといけないという思いでこの作品を作りました」
小林 「すごいセットの中で撮影できて楽しかったし、うれしかったです。戦争が終わった後の戦後孤児たちの思いが伝わったかなと思います。朝ドラや大河ドラマに出演した経験を生かすことができて、主演として素晴らしい作品の一つになりました」
髙橋 「僕は、仲間の一員としては少ない時間で、途中からの参加でしたが本当に温かい現場でした」
村山 「1946年は、私のおじいちゃんとおばあちゃんが小さかった頃の時代です。私たちのおじいちゃん、おばあちゃんたちが生きていた時代を風化させないようにしないといけないなとあらためて思いました。また、それを今を生きる子どもたちに伝えていかないといけないなと強く感じました。その役目を私が少しでも果たせていたらうれしいです」
原田 「ドラマPRの中に『戦後が孤児たちにとって一番の戦争だった』という言葉があるんですけど、それは『どんな感じだったんだろう』と想像しながら、自分なりに頑張りました」
田中 「今日一くんが、私のセリフである『何があっても強く生きていくんだよ』という言葉をしっかり持って、最後まで力強く走り切ってくれていた姿を見て、本当に感激しました。子どもたちが日々食べるために戦う野生的な力強さや、家族を失った悲しみ、そして、それはもしかしたら自分のせいかもしれないという罪を持った苦しみなど、現代とは違う目の動きや強さを持って演じていた姿は本当に素晴らしかったです。撮影の前に約1カ月の期間、子どもたちは制作や演出のスタッフと戦争について話し合ったり、戦争孤児の人たちの写真を見て感じたことを話し合ったり、カレーを作ったりと、いろいろな準備をしてこの作品に挑んでいるんです。それがきちんと画面に出ていて、説得力がとてもあったと思います」
――事前準備の中で、思い出に残っていることを教えてください!
髙橋 「みんな一人一人が孤児グループの役割、役としての個性を持って交流をしていたのが印象深いです」
原田 「カレー作りをする時にみんなで買い物に行ったんですが、その時に一人一人監督からミッションをもらいました。僕はドラマの中で孤児グループのリーダーなので、先頭に立ってみんなを誘導していきました。一番印象に残っているのは、カレー作りの前に小林くんが水も飲まず何も食べずに来て、役作りとしてすごい努力をしている方だなって思いました」
――カレー作りでの一人一人に与えられたミッションとはどういったものだったんでしょうか?
桑野 「基本的には役柄に沿ったミッションです。例えば、凪子は作中で2人の小さい男の子を弟代わりのようにかわいがっているので、その2人と必ず行動すること。今日一はクリーニングのシーンで主導権を握らないといけないので、どこか1カ所だけ自分が主導で行動することなど、役に沿った内容です」
――同世代が多い現場ということで、刺激を受けたことなどはありますか?
髙橋 「僕は今日一といるシーンが多かったんですけど、小林くんは真っすぐな目で見てくれるのですごいなと思いました。本当に芝居ができる人にしかできない目をしているので、尊敬しています」
村山 「先ほど田中さんもおっしゃっていましたが、撮影が始まる前に、チームビルディングとしてカレー作りをしたのがすごく楽しかったです。撮影の間もみんな仲良くしてくださって、いい現場でした。孤児グループの中でバチバチするシーンもあったんですが、撮影の合間に仲を深めたからこそ、本気でぶつかり合えたかなと感じました」
――小林さんと田中さんに質問です。親子役として共演された感想をお聞かせください!
小林 「空襲のシーンが、一番お母さんだなと感じたところです。セットはCGで付け足されているところもあるけど、本当に煙が出たり、火が付いていたりする中で撮影していたので、守ってもらっている感じがして、お母さんがトム・クルーズに見えました」
田中 「最高(笑)」
田中 「えー、トム・クルーズです(笑)。現場での小林くんは、カメラマンさんや美術さん、みんなと話していて、スタッフさんたちに心を開いて現場にいる姿が、生き生きとしていてすてきでした。そして、撮影ではアドリブを挟んでくるんですよね。自然にその場で感じたことなどを挟んでくるので、すごいなと思いました。お芝居に対しての気持ちのフットワークや積極性に驚かされました。空襲のシーンも緊張感があるところでしたが、しっかりと現場の動きを見ながら落ち着いていたと思います!」
――小林さんは初めての主演ということですが、決まった時や撮影に挑んだ時の気持ちはいかがでしたか?
小林 「主演と決まった時はもちろんすごくうれしかったです。でも、役として小川今日一を演じることに変わりはないと思いました」
――桑野さんから見た、小林さんの魅力を聞かせてください。
桑野 「彼は、“こういうお芝居をやる”という全体像は決まっているんですけど、テークのたびにお芝居を変えるタイプだとオーディションで思っていたんです。つまりは、心を動かして演技をしている子だなと。そのすごみが、誠司役の(髙橋)來くんも言っていましたけど、真っすぐな目に出ています。涙を浮かべるシーンはすごいです」
――演出ではなく、自然に泣かれるんですか?
桑野 「もちろん、泣いてくださいとは絶対に言わないですね。僕らが状況を用意して、彼らは感じたまま演技をしてくれていました」
――実際に出来上がった映像をご覧になった感想を教えていただけますか?
小林 「一度お客さん目線で見たんですけど、『君たちはどう?』って問いかけられているような気持ちになりました」
村山 「普通はドラマを見ていてもにおいは伝わらないけれど、孤児たちが暮らしているアジトの中の異臭、ちょっと酸っぱいにおいまで伝わってくるような感じや、闇市でヘビやカエルを焼いているようなにおいまで画面越しに伝わってくるような気がしました」
田中 「子どもたちのすごみも感じましたし、大人の役者さんたちが表現していらっしゃる、戦争で失った心の豊かさ、もの悲しさ、人に優しくする余裕がなく心の飢えも感じました。『戦争っていかんよな』と再認識させられました。コロナが終わって旅行に行けるようになったり、世間は少し楽しい方向に動いていますが、戦争について家族で話し合ってみたり、同じ映像を見て心を痛めたりすることが大切なんじゃないかなと思います」
――この作品を通して、子どもたちや家族で見る方にどういうメッセージを受け取ってもらいたいですか?
桑野 「受け取ってくれる方々がいろんなことを感じていただければ本当にそれでいいですし、僕たちから限定したいっていう思いはあまりないんです。作っている過程で、脚本家の大森(寿美男)さんと、今の子どもたちは集団の中に入ると自分や欲を抑えるというか、思っていることを言わないとか、周りの空気を読むことが比較的多いのかなとよく話していて。でも、本当は言っていいはずだし、言わないと分からない部分もあるし、そういう自由が僕たちにはあるはずなので。そこは一番描きたかったことです。だから、一概にとは言えないんですけど、子どもたちは思っていることを口にして言っていいし、大人たちはそういう環境を作らなきゃいけないと思います」
――特に力を入れた撮影シーンはどこでしょうか?
桑野 「子どもたちがクリーニングをやっている描写がありますけど、子どもたちの笑顔は本当にいい顔しているなと思っていますね。あのシーンは、撮影の仕方としてワンカットずつ撮るんじゃなくて、子どもたちが洗濯しているのをひたすらカメラで追いかけている形で撮りました。決め過ぎるとお芝居が固まってしまうので、子どもたちには伸び伸びとやってもらったので、本当に自然な笑顔が撮れていると思います」
――ありがとうございました!
【番組情報】
特集ドラマ「軍港の子〜よこすかクリーニング1946〜」
NHK総合
8月10日 午後10:00〜11:13
NHK担当/Kizuka
関連リンク
この記事をシェアする