奥平大兼が「大人の人に見てほしい」と語る、映画「君は放課後インソムニア」の魅力とは【インタビュー前編】2023/06/24
6月23日に公開された映画「君は放課後インソムニア」。森七菜さん、奥平大兼さんのダブル主演で描く、眠れない高校生を満天の星が優しく包む青春物語だ。
物語では、不眠症という共通の悩みを持つ、森さん演じる曲伊咲と奥平さん扮(ふん)する中見丸太(がんた)が、休部中の天文部を復活させるため、周りの人たちの温かいサポートを受けながら一歩ずつ歩みを進め、次第に絆を深めていく。原作の舞台でもある石川県七尾市を中心に撮影が行われ、美しい山や海の景色、自然豊かな街並みの中、細かく揺れ動く心情を丁寧に紡いでいる。
今回、中見丸太を演じた奥平さんに、本作の魅力やお気に入りのシーンなどをたっぷりと伺った。
――中見丸太を演じる上で大切にしたことを伺えますでしょうか。
「劇中の丸太の考え方は、原作の丸太を参考にさせていただきました。でも、細かい気持ちの変化や、森さん、ほかのキャストのみんなと一緒にやる時のお芝居に関しては、相手のお芝居によって変わるなと思ったので、ちょっと自分の感覚も交ぜながら演じました。原作の丸太を意識しながらも、忠実に細かく漫画っぽく…という演じ方はしなかったです」
――その中で、原作をより意識した方がいいと思ったシーンはありましたか。
「画を見た時に、キャラクターだけが見える作品と、キャラクター以外の場所も見える作品があると思うんです。この作品は、原作の舞台である石川県七尾市で撮影させていただいたというのもあると思うんですけど、2人(伊咲、丸太)で話している時の時間の流れがすごく見えるなと思ったんです。最初に原作を読んだ時にそこに魅力を感じたので、より意識したし、大事にした方がいいなと思いましたね」
――演じる前と後で、役に対する意識の変化などはあったのでしょうか。
「もちろん原作ありきの作品なので根底のところは無理ですけど、実際に生きている(演じている)のは僕たちで。その人たちから出る言葉や熱量はむげにしたくないなと思っていたので、原作とそこに対してのリアクションが多少変わったとしても、自分の思った感覚を貫き通すべきかなと思っていました。演じていく中で『あ、こういう感じでやった方がいいんだ』と分かっていったかなと思います」
――森さんとは役について話し合いはされましたか。
「なかったですね(笑)。『お芝居、こうしよう』とかはなくて、すごく自由にやらせてくれました。もちろん台本があるので、そこに沿ってはいるんですけど、なんというか…ちょっと即興に近い感じでお芝居が進んでいった気がします。(森さんが)台本に書かれている情報とは違うこともやってくるんですけど、そこが面白かったんです。そういうのって、打ち合わせてやるんじゃなくて、アドリブでやった方がこっちもナチュラルにリアクションができるので、役のこととかについて話し合うことはなかったです」
――森さんのアドリブに対して素で応じていく感じだったのですね。
「そうですね。こんなことしていくんだ!みたいな(笑)。それが森さんが演じる伊咲として納得できるんですよね。それはすごいなと思いましたし、僕も丸太として反応できたので、よかったなと思います」
――アドリブに驚いたシーンをネタバレにならない程度に教えていただくことは可能でしょうか…?
「驚いたと言っていいか分かんないんですけど、森さん、ちょくちょく作品の中でダジャレ言っていたんです(笑)。(伊咲と丸太たちが)おばあちゃんちに行くシーンがあるんですけど、行きの車の中で、森さんがダジャレ言っていて! 2テークぐらい撮影したんですけど、1テーク目では言ってなくて、オッケーが出たテークの方で言ってきて。普通に笑っちゃいました(笑)」
――丸太というより、素の奥平さんが出ちゃったんですね(笑)。
「ここでダジャレ言うんか!と思って(笑)。森さんぽいなって思ったけど、やっぱり伊咲っぽくもあって。なんか面白かったです(笑)」
――たくさんあることは承知の上で…一番気に入っているシーンがあれば教えてください。
「一番気に入っているのは、伊咲のお姉ちゃんと話している時に『伊咲さん、格好いいです』っていうシーン。そこがすごい好きで。僕が台本を読んだ時に想像したのとはちょっと違ったお芝居になったので、『こんな感じになるんだ!』って。やっていた時も楽しかったし、(完成した映像を)見ても、『なんか素直に言っていていいな』って思いました。花火のシーンだったり、おばあちゃんちに行く時の撮影だったり…本当に全部の撮影が楽しかったです!」
――では注目ポイントはここ!というシーンは…?
「森さんと僕のシーンだけじゃなくて、ほかのキャストの子たちといるシーンは結構見てほしいというか。もちろん、丸太と伊咲の2人のシーンのよさもあるから好きなんですけど、みんなでいるシーンを見ていると、とっても高校時代のことを思い出すんですよね。僕、ずっと東京なので、学校の放課後とかこの映画の通りに過ごしていたわけでもないし、別に男女で仲良かったわけでもないのに、すごく懐かしい気分にさせられるのがめちゃくちゃいいなと思っていて。それがこの作品の魅力の一つでもあるんですよね。自分も高校時代に戻ったような感覚にもなれるので、大人の人には特に見てほしいかもしれないです」
――歩道橋で名前を呼んで手を振るシーンなど、体験していないのにどこか懐かしさを感じました。
「言葉で表せない気持ちになりますよね。こういう時代が自分にもあったし、なんなら最近のはずなのに、なんかいいなって思っちゃうんですよね(笑)。絵に描いたような青春で、自分の生活とかけ離れていないからどこかリアルで…本当に今この瞬間、こういうことをしている高校生が日本のどこかにいてもおかしくないなって。自分が体験したことないのに、なんか思い出させられるシーンが多かったです。不思議な感覚でした」
明日6月25日午前10:00に公開予定のインタビュー後編は、撮影地・石川県七尾市の魅力や、最近ときめいてシャッターを押したものなど、たっぷりと紹介! お楽しみに。
【プロフィール】
奥平大兼(おくだいら だいけん)
2003年9月20日生まれ。東京都出身。20年に公開した映画「MOTHER マザー」で俳優としてのキャリアをスタートさせた後、同年放送のドラマ「恋する母たち」(TBS系)で連続ドラマデビューを果たす。その後、ドラマ「レンアイ漫画家」(フジテレビ系)、「ネメシス」(日本テレビ系)、「早朝始発の殺風景」(WOWOW)、映画「ネメシス 黄金螺旋の謎」「ヴィレッジ」などに出演。今後、7月15日(土)よりスタートのドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)に出演するほか、23年冬にDisney+で「ワンダーハッチ ‐空飛ぶ竜の島‐」の配信が控えている。
【作品情報】
映画「君は放課後インソムニア」
6月23日より全国にて公開中
取材・文/Y・O(フジテレビ担当)
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