成田凌が映画「弥生、三月－君を愛した30年－」で熱演！「“心のどこかではずっと好き”という気持ちは、自分も共感できますね」1999/11/03

　運命で結ばれた2人の30年を“3月”のエピソードだけで描く映画「弥生、三月－君を愛した30年－」。本作で、大切な人・弥生（波瑠）を、人生をかけて支える男を演じた成田凌が、撮影裏話や3月の思い出を語る。

── 山田太郎という人物の16歳から50歳までを演じた感想は？

「大変さはありました。物理的な話でいうと、単純に準備する時間がないんです。高校生を演じた同じ日に、40歳を演じることもあって。1日でも間が空けば多少やれることがありますが、そういった役作り的な準備を短時間でやるのが大変でした」

── そういう時は、どう気持ちを切り替えていたんですか？

「やっぱり衣装やメークですね。シワやシミを、ちょっとしたメークでつけたりして。お芝居としては、意識して何かをしようというよりも、画面に映らない何年かの間に何が起きて、どんな環境にいて、どういうことを感じているかが大切だと思っていました。その時その時の気持ちで芝居をやって、山田太郎としてその時の気持ちを生きていく中に、1本の筋道が見えてくるんだろうなと」

── 遊川和彦監督の演出や言葉で、印象に残ったことは？

「山田太郎のことを『恋愛ドラマに出ているなら、3番手の明るいヤツだ』とおっしゃっていて、なるほどと思いました。『格好いいやつが格好いい芝居をするのは好きじゃない』ともおっしゃっていましたね（笑）。すごく気を遣ってくださるんですが、バシッと言っていただけたので分かりやすかったです」

── サッカーバカの太郎という役を演じるうえで、元サッカー部の経験は生かせましたか？

「僕がお芝居の理想だと思うのは、難しそうなことを当たり前にやって、当たり前のように過ぎ去っていくことなんです。サンタ（山田太郎の通称）のサッカーシーンも、見ていてそこまで記憶に残らないと思うんですが、下手だと逆に記憶に残っちゃうと思うんですよね（笑）。そこを何げなくやるのは技術しかないので、サッカーをやっていて良かったと思いました」

── 映画は30年以上に渡る“3月の話だけ”で進む激動のラブストーリーですが、個人的な3月の思い出はありますか？

「高校の卒業式が終わった直後に友達と3人でもう1回卒業式をやったこと。つまらない式だったからみんなが帰った後『もう1回楽しくやろう』って、全く同じように体育館で時間をかけたコントをやりました（笑）」

── サンタと同様、一度好きになった人は忘れないですか？

「彼が30年間、ずっとどこかで弥生（波瑠）のことを好きだったのは間違いではないけど、ずっとMAXの状態ではなかったし、忘れる時間もたくさんあったと思うんです。でもやっぱり顔を見ると好きだと思ってしまう。よく『好きに理由はない』と言うけど理由はあって、でもその理由はちょっとしたことでいいんですよね。笑いのツボが同じとか、趣味が一緒とか…。サンタのように“心のどこかではずっと好き”という気持ちは、自分も共感できますね」

【MY『泣ける！』MOVIE】

　僕、全然泣かないんですよ。卒業式でも泣いたことがないし、映画を見ても泣かない！　でも唯一泣いたのが「さとにきたらええやん」（’16）という映画。大阪の西成にある「こどもの里」という場所についてのドキュメンタリーです。色々な問題を抱えた人たちが、それを克服していくような映画なんですが、すべてが完璧だったので、すごく感動しました。