注目の20歳、神尾楓珠インタビュー 終始一貫、言葉に迷いなく「常にからっぽな状態でいたい」2019/10/18
今後、達成したいことを聞くと「意識したことがない」
──出演作品も途絶えず、露出も増えて、着実に活躍の幅を広げていらっしゃると感じています。ご自身では今の状況をどのように捉えていますか?
「全然実感ないですね」
──1年前の今頃と比べると、すごく忙しくなったのではと思うのですが…。
「はい、それはそうなんですけど…。でも、なんか…。別にそんなに忙しくないですよ」
──……本当ですか?
「(笑)。はい(笑)。有名な俳優さんの話を聞いたりすると、『あー、俺全然忙しくないなぁ』って思います。そういうことを聞くと、刺激になります」
──先輩や同世代の姿が刺激になる中で、今後達成したいことはありますか?
「達成したいこと…。あんまり意識したことがないですね。今、目の前にあることだけに集中するので、あんまり先のことは考えてないです。『この作品に出たから、次は』とかもあんまり考えてないですね」
──神尾さんと同世代くらいの俳優さんにお話を聞く機会も多いのですが、結構「こうなりたいです!」と目標を掲げる方が多いので、新鮮です。
「(笑)。全然ないです。こうしたいとか、こうなりたいとか、こういうのに出たいとかがないですね」
──日々のモチベーションはどういうところにあるんですか?
「仕事です。仕事がなかったら僕は死んでます。仕事しかないですね」
──……! すごくやりがいがあるんですね。
「そうなんです」
──では、共演してみたい方はいらっしゃいますか?
「(しばらく考えて)難しいですね…。いっぱいいます。絞れないなぁ…。でも、あんまりそれも意識しないかもしれないです」
──たった20分お話を聞いただけで神尾さんのことを分かったような気になってしまうようなことを言いますが、そうお答えになるんじゃないかなと思っていました。
「あはは(笑)。普段、何も考えてないだけですよ(笑)」
──不思議な感覚です。すごくいまどきの若者っぽい一面もあるし、人生を達観した30、40代の方と話しているような気にもなりますし…。
「今日、取材で『本当に20歳ですか?』『話しているとおじいちゃんみたい』と何回も言われました(笑)」
──ほかの人にはない、持ち味ですよね。
「(笑)。1周回ってる感じですかね(笑)」
プライベートなど、神尾さんの素顔に迫るインタビューができればいいなとぼんやり考えながら取材に伺わせていただきましたが、結果として、終始一貫して「仕事」への向き合い方をお聞きするインタビューとなりました。
特に驚かされたのは、「常にからっぽな状態でいたい」という言葉。中身のない、薄っぺらい人になるのを恐れて、何かを吸収したいという思いで本や映画、音楽を詰め込んだり、偉人や著名人の言葉をまるで自分が言ったかのように発言したり。「見たものや聞いたこと、そしてそれらに触れた時の感情を自分の中の引き出しにため込んで、いつでも出せる状態にしておけることが理想」という考えで生きてきた筆者にとって、神尾さんのその発言はすごく鮮やかに映りました。
神尾さんの体当たりでありながらも繊細な演技が光る「左ききのエレン」。美しい映像の中で、さまざまな感情がよどみ、渦巻く作品です。全10話、ぜひ最後までご覧ください。
【プロフィール】
神尾楓珠(かみお ふうじゅ)
1999年1月21日生まれ。東京都出身。みずがめ座。O型。2015年、24時間テレビドラマスペシャル「母さん、俺は大丈夫」(日本テレビ系)で俳優としてデビュー。主な出演作は、映画「うちの執事が言うことには」「HiGH&LOW THE WORST」、ドラマ「恋のツキ」(テレビ東京ほか)、「こんな未来は聞いてない!!」(フジテレビほか)、「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)、「都立水商!~令和~」(TBSほか)、YouTube連続ドラマ「主人公」など。舞台「里見八犬伝」が上演中。20年には映画「転がるビー玉」が公開予定。
【番組情報】
「左ききのエレン」
10月20日スタート
MBS 日曜 深夜0:50~1:20(初回は深夜1:15~1:45)
10月22日スタート
TBS 火曜 深夜1:28~1:58
※放送時間は変更の場合あり
<配信情報>U-NEXTで10月22日深夜2:00から独占配信。TVer、MBS動画イズムで見逃し配信予定。
取材・文/宮下毬菜(TBS・MBS担当) 撮影/蓮尾美智子
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