テレビ草創期に奮闘する制作者たちの熱い姿を描く「NHKスペシャル テレビとはあついものなり 〜放送70年 TV創世記〜」2023/03/21
NHK総合で3月21日に放送される「NHKスペシャル テレビとはあついものなり 〜放送70年 TV創世記〜」。テレビ本放送開始から70年を迎えた今、テレビ草創期の知られざる挑戦の物語を描いたドラマとドキュメンタリー、スタジオトークの三つで当時の状況をひもとき、テレビの未来に向けた姿のヒントを探ります。
70年前のテレビ放送開始。創世記の現場では強力な照明で出演者の衣装や髪が燃え、「テレビ行きは左遷」と避けられていました。そんな中、後に「昭和のテレビの顔」となる宮田輝アナウンサー(三浦貴大)や高橋圭三アナウンサー(塚本高史)は、いち早くテレビの世界に飛び込みます。「テレビって何なのか」「何をどう映せばよいか」、正解のないその問いに、経験も知識もゼロで挑む日々。今から見ると冗談のような抱腹絶倒の失敗を繰り返しながら、新しいメディアの形を少しずつ探っていきます。
放送に先駆け行われた会見に、宮田アナを演じた三浦貴大さんと新人の後藤美代子アナを演じた藤野涼子さんが登壇。ドラマへの思いや見どころをお聞きしました。
――初めに、ドラマパートへの出演が決まった時の感想を教えてください。
三浦 「宮田さんのことは実際に番組を拝見したことはないんですけれども、名前を知っているぐらい有名な方なので、その人を演じるというのに『大丈夫かな』というのが第一でした。『三つの歌』など宮田さんが番組に出演している姿を知っている方がたくさんいらして、その姿をどういうふうに演じていけばいいのだろうという不安ばかりでした」
藤野 「テレビ放送70周年という記念のドラマにまさか自分が出演させていただける、さらには語りもやらせていただけるなんてことを予想もしていなかったので、とてもびっくりしました。私はモデルの宮田さんや高橋さんのことを知らなかったのですが、資料をいただいた時、2人の語りやテレビで映った観客の方の熱量を見て、2人のことや当時のことを勉強したいという思いがどんどん湧いてきました」
――ドラマに出演して、何か新たな発見はありましたか?
三浦 「当時は本当に試行錯誤していたんだなというのを感じました。僕がこの業界に入った時にテレビというものが出来上がっていて、現場に入ったらすでにセットが組まれていて、皆の役割がきちんと決まっているという状況でした。しかし当時は、各部署で役割をまたいでアイデアを出し合って番組を作っていくものだったんだなと。今はそれぞれが専門家だから、そのことに専念すればいいといういい形で完成されているんですけど、さらに部署を飛び越えて意見交換ができるようにして作品を作れたらと思いました」
藤野 「ウグイスのふんを顔に塗るというのは、脚本を読んで思わず『えぇ!』と声を出してしまうぐらい驚きました。ほかにも今はテレビの情報がとても早いので、当時のニュースは映画館が1週間のニュースをまとめて放送して、それをテレビが借りてきて放送するというのがとても衝撃的でした。今回は紹介されませんでしたけど、映画館で上映したニュースも気になっています」
――それぞれ役を演じた感想をお聞かせください。
三浦 「本当にプレッシャーがありまして、どういうふうに演じたらいいのかいろいろ考えました。撮影に入る前に宮田さんの映像と音声をいただいて、何度も繰り返し聞いて、寝ている時も宮田さんみたいに話せるかなと思いずっと聞いていました。宮田さんのしゃべり方に近づけていくのは本当に難しかったです」
藤野 「今回の作品の俳優陣の中で私が最年少で唯一の女性だったので、後藤さんと境遇が一緒で心境もリンクするところがたくさんありましたが、役と語りの両方をやるというのが初めてだったので難しかったです。後藤さんの気持ちを優先する部分と語りとしてきちんと話すというのは声の出し方の技術が違うので、切り替えていくのに苦労しました」
――今作に出演して今後の仕事の助けになったことや印象に残ったことを教えてください。
三浦 「技術面ではアナウンサーのしゃべり方を学べたというのは今後の役に立てるなと思います。アナウンサーがしゃべる時に『必要な情報を正確に伝える』というのを演技にどんどん取り入れていっていい気がしていて、とても勉強になりました。あとは、テレビを作った熱さを身をもって感じられたので、やっぱり作品一つ一つにこういう気持ちで向かっていかなきゃいけないんだっていうのをあらためて感じられたのは非常に大きかったです」
藤野 「ドラマパートの最後の方に『人が信じていなければ、実現することはない』というセリフがあるんですけど、それは本当にそうだなと思いました。生きていく中、人生の分岐点で片方の道を選んでいったけども、不安に感じたり悩んだりして自分の心が揺れ動いてしまうこともあると思うんですけど、結局は自分で信じないと目標や思いは実現しないというふうに思ったので、このセリフはずっと自分の心に書き留めておきたいなと思います」
――当時の様子で驚いたことはありましたか?
三浦 「冒頭から出てきた照明の熱さは本当に火が付くほどだったというのは想像していなかったので、当時の人は苦労したんだなと感じました。今でもLEDライトを使わないと熱いと感じるので、それ以上だとすごかったんだなと思います。あとは、当時の青い光が出るよく分からない機械を見て肌が良くなるわけないと思いました(笑)」
藤野 「鍋の中の白菜の中にドラマのセリフが書いてあったのはびっくりしました。調理が完了してしまったら見えなくなるのではとも思っていました。セリフを覚えるのが少々苦手なので、うらやましいなと思って見ていました(笑)」
――最後にドラマの見どころを教えてください。
三浦 「今、テレビが難しい時代といわれています。ドキュメンタリーパートに『多メディア時代』という言葉が出てきましたが、本当にその通りだと思います。テレビを最初に作った人が、こんなにいろいろなことを考えて試行錯誤して熱い思いでテレビを作っていたんだというのを感じていただきたいですし、今のテレビ業界も裏ではテレビ草創期に負けないぐらい熱い思いがあるからこそ、このドラマが出来上がったのだと思います。この作品を見てその熱さを感じていただければと思います」
藤野 「私も作品を見た時に高揚感や胸の高鳴りみたいなものがありました。この時期は新しい環境や場所で新たな挑戦をしなきゃいけない方もたくさんいると思うんですけど、その人たちを後押ししてくれるような作品になっています。ぜひこの作品を見て、熱い思いで自分のやりたいことに挑戦していってほしいと思います」
――ありがとうございました。
【番組情報】
NHKスペシャル「テレビとはあついものなり 〜放送70年 TV創世記〜」
NHK総合
3月21日 午後9:30~10:43
NHK担当 S・A
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