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上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー2023/03/02

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

 小説投稿サイト「エブリスタ」で人気を博し、「めちゃコミック」でコミカライズされ累計100万DLを突破した話題作を、吉谷彩子さん&石井杏奈さんのダブル主演でドラマ化したオリジナルドラマ「悪魔はそこに居る」が、動画配信サービス・Paraviで独占配信中。

 主人公は、子どもの頃から一緒に育ってきた、いとこ同士の今西詩(吉谷)と九条美園(石井)の2人。意地っ張りで素直に感情を表すことが苦手な詩と、誰からも愛されるキュートで甘え上手な美園という対照的な2人は、都内のマンションで同居していて、家族でもあり親友のような存在です。しかし、悪魔のような冷徹な心を秘めた美園の裏の顔を知らずに同居生活を送る詩は、徐々に破滅へと追い込まれ、美園の裏切りに気付いて絶望した詩は、復讐(ふくしゅう)を誓って反撃に。女性同士のコンプレックスやゆがんだ競争心や承認欲求が生み出す、ドロッとしていてヒリヒリ感のある愛憎サスペンスストーリーは、良くも悪くも幅広い女性が共感するドラマとなっています。

 この愛憎劇で、詩のアルバイト仲間で実家の小料理店を継ぐために修行中の伊崎紘を演じているのが、俳優のみならず、モデル、アーティストとして幅広く活動する上杉柊平さんです。ここでは、詩に思いを寄せ、彼女を守る男らしさを見せる伊崎に扮する上杉さんにインタビュー。出演への思いから、自らに潜む悪魔的な部分まで語っていただきました。

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー
上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

――最初に台本を読んだ時の感想をお聞かせください。

「一つ一つのシーンが長いなというのが、初めて台本を読んだ時の感想でした。ある程度、信頼していただいていないと任せていただけないことだと思うので、役者としてとてもうれしかったです。大変だろうなとも思いましたが、大きなモチベーションにもなりました」

――伊崎を演じる上で大切にしていたことは何ですか?

「伊崎の目的は、詩を守ることと幸せにすること。とにかく詩を幸せにしたいという思いで演じていました。ただ“上杉柊平”個人の意見としては、詩と美園はどっちもどっちで、2人ともムカつくなと思いました(笑)。一見、美園だけが悪いように見える設定ですが、詩にもムカつくところがありますし、『だからそうなるんだよ!』と思う部分もあったりするんです」

――ぶつかり合う2人の物語の中で、伊崎の真っすぐな人柄が中和している部分もありますよね。

「伊崎に焦点が当たるシーンもありましたが、その場面でも“詩のため”というのを念頭に置いていました。監督とも意見交換をして、詩のことをどうやったら安心させてあげられるかを一番に考えていました」

――監督とは具体的にどのような会話をされましたか?

「疑問に思った行動については、その都度相談させていただきました。例えば、『ここでボディータッチをすることには、どういう意味があると思いますか?』と投げかけてみたり。そうすると、『今は詩がこういう状況だから、安心させるためだよ』などと答えてくださるのですが、『ここ触るのはむしろ逆効果だと思う』など僕からも意見を言わせていただきながら、細かく相談して伊崎という役柄を作り上げました」

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

――原作には伊崎目線の表現はありませんが、読んでみて取り入れたことなどはあるのでしょうか。

「僕はどの作品でも原作は読まない派なんです。小説や歴史ものを除いて、基本的に現代漫画をやる時はあえて読まないようにしています」

――事前に原作を読まれる方が多いイメージがあったので意外です!

「そうなんですね! もしかして『読みました』って言った方がいいかな(笑)。でも、読まないのには理由があって、それは原作にお芝居を持っていかれてしまうから。漫画の代表的なシーンで、原作に忠実に撮影するなどの目的がない限りは読まないようにしています」

――キャラクターの表情をまねすることもないのでしょうか?

「個人的には、それだと“表現のまね”になってしまう気がしているんです。読んでしまうと『ここでああしなきゃ』って思ってしまったり、台本を読んだ感覚と全然変わってしまって、ドラマに合わせたお芝居ではなくなってしまうんじゃないかなと。読む、読まないに正解はないと思いますが、原作リスペクトを目的とした作品や、1コマを忠実に再現する時にはしっかりと読ませていただいています!」

――なるほど。伊崎は包容力があって、視聴者票ではダントツ1位のキャラクターになることが予想されますが、役柄との共通点はありますか?

「伊崎と僕は真逆のタイプかもしれません。僕は自分のためにしか動いていない気がします(笑)。結果的にそれが誰かのためになっていればいいなという気持ちはあるのですが、まずは自分を幸せにすることも大事だと思うんです。自分が幸せじゃない人間が他人を幸せになんかできないんじゃないかなと」

――確かにそうですね。

「僕はまだ自分の幸せをつかんでいないと思いますし、やりたいこともゴールもいっぱいある。一つ達成したと思ったら新しい目標もできますしね。僕は何事も本気でやりたい性格なので、うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えた方がいいなという思考タイプです」

――心(しん)が通っているという意味では、伊崎とちょっと似ているかもしれませんね。

「そうかもしれません。もちろん伊崎とは全くベクトルが違いますが、自分の信念は大切にしています」

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー
上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

もし相手の女性が悪魔だったら?「悪魔だと分かった上でコロっといくことはあるかも…」

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

――相手の女性が悪魔だったら見抜けると思いますか?

「う〜ん…(と数秒考えて)コロっといっちゃうのかなぁ…(笑)」

――(一同爆笑)。

「答える直前まで『見抜ける』と言おうと思ったのですが、やっぱりだまされちゃうかもしれないなと思い直しました。でも、僕は気づいた時点でズバッと言うタイプです。(和田雅成演じる)新谷貴人ほどばかじゃないかな(笑)」

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

――確かに新谷は人を純粋に信じるタイプですよね。

「はい。僕は割と警戒心が強い方ですし、1人でいる方が好きだからバリアを張って生きている部分が多いと思います。ただ、相手が悪魔だと分かった上でコロっといくことはあるかもしれません…」

――それはそれでまた勇気が必要な感じが…(笑)。逆にご自身の中に悪魔を感じることはありますか?

「めちゃくちゃあります。『人のことより自分のことを考えてしまう』っていうのは、いい面でもあり、悪魔的な一面でもあると思います。口ではいいように言っているけど、自分のことしか考えていないということをよく分かっているから余計にそう感じるのかも。そうやって一人一人小さな悪魔を抱えているから、完全なる平和が訪れないのかもしれませんね」

――きっとそれぞれが悪魔を宿して生きていますよね。

「お金でしか人間の価値が測れない社会になっているから争いが消えないわけで、人間全員が天使だったらお金なんてものは必要なくて、物々交換で済むと思うんです。でもそういうわけにはいかない世の中ですし、結局みんな自分のことが大好きなんだろうなと。全員に悪魔が潜んでいるんだと思います」

――では、最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

「男女問わず、見る人によって詩派か美園派かで意見が分かれると思います。2人は極端に異なるように描かれていますが、本当は表裏一体で似たような部分がたくさんあるので、視聴者の皆さんも『詩の気質もあるけど、美園の気質もある』と思うような場面があると思います。両方併せ持って生きていく中で、自分の性格や周りにどう思われているかを知っているのと知らないのでは全然違う。本作はそれを知るきっかけにもなると思うし、単純に自分じゃない側が成敗される姿ってスッキリすると思います。まずは、エンタメの一つとして楽しんでいただいて、その後に自分と向き合うきっかけにしていただけたらなと。そして、僕の役がとことんいい人なのが一番大事なところ!(笑)。何にも悪いところがないので安心して見守っていてください!」

 写真撮影では、クールな表情で次々とポーズを決めていた上杉さん。取材では、時々笑いを交えながらオープンにさまざまな話をしてくださり、ツッコミどころのあるエピソードでスタッフ全員を爆笑の渦へ巻き込んでくれました。一方で真面目なトピックになると、一層強いまなざしで熱く語る姿が印象的。ご自身や周囲の出来事を俯瞰(ふかん)し、冷静に分析するすてきな一面が伝わるインタビューとなりました。

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー
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上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー
上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー
上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

【プロフィール】

上杉柊平「うそをついて人のためにやるより、100%愛せる自分のことを考えたい」――「悪魔はそこに居る」インタビュー

上杉柊平(うえすぎ しゅうへい)
1992年5月18日生まれ。東京都出身。ドラマ「ホテルコンシェルジュ」で俳優デビュー。主な出演ドラマは、「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系)、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、Huluオリジナルドラマ「あなたに聴かせたい歌があるんだ」など。映画は「サヨナラまでの30分」(2020年)、「モエカレはオレンジ色」(22年)などに出演。さらに、ヒップホップクルー・KANDYTOWNではHOLLY Q名義でMCを担当。23年12月には、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」への出演も控えている。

【番組情報】

Paraviオリジナルドラマ「悪魔はそこに居る」
木曜 午後7:00配信

【プレゼント】

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【締切】2023年3月29日(水)正午

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取材・文/松村有咲(TBS担当) 撮影/尾崎篤志



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