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「舞いあがれ!」赤楚衛二インタビュー「貴司が舞ちゃんと離れたことによって思いが変わっていった」2023/02/13

「舞いあがれ!」赤楚衛二インタビュー「貴司が舞ちゃんと離れたことによって思いが変わっていった」

 NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「舞いあがれ!」。本作は、福原遥さん演じるヒロイン・岩倉舞が、ものづくりの町・大阪の東大阪と自然豊かな長崎・五島列島を舞台に、さまざまな人たちと絆を育みながら、困難に翻弄(ほんろう)されつつも空への夢に向かっていく物語です。

 亡き父・浩太(高橋克典)の町工場・IWAKURAを引き継いだ母・めぐみ(永作博美)と共に工場を運営していく舞(福原)は、八木巌(又吉直樹)から古書店「デラシネ」を引き継いだ梅津貴司(赤楚衛二)の元に通うように。デラシネには貴司の短歌のファン・秋月史子(八木莉可子)が出入りするようになり、舞は戸惑い…。

「舞いあがれ!」赤楚衛二インタビュー「貴司が舞ちゃんと離れたことによって思いが変わっていった」

 ここでは、ヒロイン・舞との今後の関係が気になる幼なじみ・貴司を演じる赤楚衛二さんのインタビューをお届け。撮影のエピソードや貴司への思いなどをお聞きしました。

――演じる貴司の成長をどのように感じていますか。

「ちょっと頼もしくなったと思っています。朝陽(又野暁仁)くんへの、“自分から距離を詰めず、隣に座って心の壁を取り除いてから、丁寧に言葉を選んで話しかけている”接し方を見ていると、周りの人への接し方が格段に上手ですてきな寄り添い方になったなと、台本を読んで感じました。各地でいろいろな場所で働いてほかの人とのつながりで成長したのに加えて、短歌を通して自分と向き合い自信がついて、生きる道に迷いがないというのを感じています」

――貴司がメインの話に変わりつつありますが、苦労や難しい部分はありますか。

「演じる上で大変だったことは、相変わらず関西ことばです。貴司の軸としての物語は、歌集を作る段階ですごく苦しんだりしても演じていて無理することはないので、大変なシーンではありましたが、演じやすかったです」

――貴司が八木から「デラシネ」の鍵を受け取るシーンについて、感じたことを教えてください。

「僕自身はうれしかったんですけど、なんで急に消えたんだろうという悲しい気持ちが残っていました。でも、貴司が朝陽くんに接していたように、自身にちゃんと接してくれたのが八木さんであって、心から尊敬していて、うれしさや感謝の気持ちがあふれ出てきたんだと思います」

――高畑淳子さん演じる舞の祖母(ばんば)・才津祥子とのシーンで心に響いた言葉はありましたか。

「ばんばの言葉は真理を突いているんじゃないかと思っています。失敗を恐れることに対して“失敗してもいいじゃん”みたいな、シンプルで、当たり前なことではあるんですけど、その当たり前のことすら大人になるにつれてできなくなっていく。すっと入ってきましたね」

――では、ご自身が誰かに言われて心が軽くなった言葉がありましたら教えてください。

「ある役者さんに『何かを得る時は何かを捨てないといけないよ』って言われた時に、確かにとなりました。二つのことに悩んでいた時、片方を捨てる覚悟もないのに両方やっても中途半端になるし、結局、新しい世界が見られないっていう考えは今も生きています。ほかにも、いとこのおじさんに、昔『“友達”ってなんや』みたいな概念的な質問をされた時があって、その時は『一緒にいて楽しいのが“友達”』と答えたら『そうか』しか返してくれなかったんですが、そのおかげで、“自分で何かを考える”みたいな癖がついてしまったのかなと思います」

「舞いあがれ!」赤楚衛二インタビュー「貴司が舞ちゃんと離れたことによって思いが変わっていった」

――貴司から舞への感情の変化で感じたものはありましたか。

「舞ちゃんは昔からやりたいことに真っすぐで、幼い頃から変わらないなっていう感覚で、貴司の憧れの存在だったというふうに思います。でも貴司は、五島に行くまで自分のことで精いっぱいだったので、意識していないのかなと。それが貴司が舞ちゃんと離れたことによって、思いが変わっていったなと思います」

――幼なじみの舞や望月久留美(山下美月)との関係が変わった部分がありましたら教えてください。

「最近は仲良くなり過ぎて、覚えていないようなくだらない話をしています(笑)。撮影現場でイントネーションの間違いを指摘して、間違えたイントネーションのまま繰り返してみたり、いじり合いをしています。12月にはクリスマス会のシーンもあって、久しぶりに3人がそろったんですけど、サンタの帽子や謎の形をした眼鏡をかけて写真を撮ったり、幼なじみ最高だなと思いながら過ごしていました」

――福原さんや山下さんの成長を感じる部分はありましたか。

「僕に2人が成長している部分が分からず、というのも、2人が成長していないというわけではなく、僕自身が貴司としてしか、2人のことを幼なじみとしてしか見られなくなっていて、いいお芝居だったというより、“舞ちゃんとして悩んでいるんだな”“久留美ちゃんとして悩んでたな”というふうにしか思わなくなっているので。でも、2人はストイックで、舞ちゃんは心の整合性をちゃんと話しに行ったりとか、久留美ちゃんも方言の練習をずっとしていますし、2人とも素晴らしいなと思いながら2人をいじっています(笑)」

――貴司の短歌について感じたことを教えてください。

「奇麗なものを表現しているのが貴司らしいと感じました。短歌にも、面白いものやちょっと悲しいものだったり、どう解釈していいか分からないものだったり、いろんな分野があると思うんですけど、その中でシンプルな言葉を使って、奇麗で優しい表現をされているので、身近にあるようなもので、色鮮やかにいいところを取って表現しているのがいいなと感じました。そんなところを注目して見ているんだと。僕がもし短歌を書くなら、日常のちょっとした非日常を表現したいなと思うんですけど、貴司が詠んでいるものを見ると、根本的な本質は自分と全然違うんだなと思いました」

――最後に視聴者の皆さんに一言お願いいたします。

「貴司が短歌の賞を取って、短歌を作るという段階でクリエーティブな悩みが生まれ、つらいものになっています。そんな中で大切な人たちとの距離が離れて、自分と向き合いながら空っぽになりつつ、新しい人たちとの出会いが渦巻いていて怒濤(どとう)の展開が続いています。ぜひ楽しみにしながら見守っていただけたらと思います」

――ありがとうございました。

第93話あらすじ

「舞いあがれ!」赤楚衛二インタビュー「貴司が舞ちゃんと離れたことによって思いが変わっていった」

 舞は久留美との夕食の席で、史子から言われたことを打ち明けると、貴司に対してできることを探すように、それが舞だと励まされる。一方、貴司は史子が見守る中、出版社の編集者・リュー北條(川島潤哉)に、新たに作った10首の短歌を見せる。しかし、リュー北條から返ってきたのは、これでは駄目だという厳しい批評だった。

【番組情報】

連続テレビ小説「舞いあがれ!」
NHK総合
月曜~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は一週間の振り返り
NHK BSプレミアム・BS4K
月曜~金曜 午前7:30~7:45

NHK担当 S・A



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