【今月のSPOTLIGHT】Vol.4 オースティン・バトラー2024/02/25
パイロット姿もりりしい頼られる少佐役
スティーヴン・スピルバーグやトム・ハンクスが製作総指揮を務める戦争ドラマ「マスターズ・オブ・ザ・エアー」で、ナチス・ドイツに立ち向かう空軍兵を演じているオースティン・バトラー。第二次世界大戦下を舞台にした本作では、上空での危険な任務に就いた兵士たちの死闘が展開する。1秒先には死が待っているかもしれない状況がリアルに描かれる中、オースティン演じるゲイル・クレヴェン少佐、通称“バック”も過酷な運命に身を投じていく。
このバックという人は少佐の立場だけあり、部下たちに頼られる存在。そんな彼の信念や高潔さをオースティンがパイロット姿もりりしく表現しているものの、エピソードが進むにつれ戦況はさらに厳しくなっていき…。同じくスピルバーグやトム・ハンクスが製作総指揮を務めた「バンド・オブ・ブラザース」や「ザ・パシフィック」をあらためて挙げるまでもなく、劇中における戦闘シーンの描写はかなり凄惨(せいさん)で迫力あるもの。実際の撮影でのオースティンは、肋骨にヒビが入る(!)事態にも見舞われたという。
もちろん、あくまでも描かれるのはシビアな状況を生きる登場人物たちの心のドラマで、バックと彼の親友であるバッキーことジョン・イーガン少佐(カラム・ターナー)の友情も見どころ。同じ空軍に所属し、学友同士でもあったバックとバッキーはタイプこそ違えども、互いを尊敬し、理解し合い、ともに生還を目指す唯一無二の仲間同士。演じるオースティンとカラムの相性も抜群で、2人の勇姿とやりとりをずっと見ていたい気にすらさせられる。ただし、厳しい戦況は彼らの友情すら丸のみにしていくのだが…。
この「マスターズ・オブ・ザ・エアー」だけでなく、映画「デューン 砂の惑星PART2」に出演するなど、2024年も既に大活躍を見せているオースティン。しかも、「デューン 砂の惑星PART2」ではツルツルのスキンヘッドに禍々(まがまが)しい目つきが恐ろしい“狂気の悪役”を演じていて、りりしいバックはどこへやら。話し方も歩き方も異なり、俳優オースティン・バトラーの幅を見せつけている。
ちなみに、「マスターズ・オブ・ザ・エアー」の製作総指揮者であるトム・ハンクスは、オースティンがエルヴィス・プレスリーを演じて高い評価を受けた映画「エルヴィス」に出演。その縁で、自身が製作するこのドラマにオースティンを誘ったそう。共演者にも愛され、出演作ごとに必ず爪痕を残し、着実にステップアップしていくオースティン。そんな彼のフィルモグラフィーを語る上で、「マスターズ・オブ・ザ・エアー」も外せない1本になりそうだ。
【プロフィール】
オースティン・バトラー Austin Butler
1991年8月17日生まれ。米・カリフォルニア州出身。「マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~」(2013~14年)や「シャナラ・クロニクルズ」(16~17年)などに出演した後、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19年)で注目を集める。22年、「エルヴィス」でタイトルロールを演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。
【番組情報】
「マスターズ・オブ・ザ・エアー」(全9話)
Apple TV+で独占配信中
文/渡邉ひかる
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