29歳の若手テレビマンが初めて生み出したのは、一流の“たった一つの質問”を追究する番組!? 佐藤智洋チーフディレクターが明かす「究極の一問」制作秘話2019/06/26
未熟で不器用な思いかもしれないけれど、まだ“見たことないもの”を見てみたい
──今回初めて“総合演出”という立場で手掛けられた「“あの人”が知りたい超質問バラエティ 究極の一問」という番組について伺いたいのですが、どのような思いから企画が実現したのでしょうか。
「まだまだ20代のペーペーなので、とても生意気に聞こえてしまうと思うのですが、これだけテレビやネットがある中、“見たことないもの”や”聞いたことないもの”、いわゆる初出しの情報を番組で提示することは本当に難しいなと常日頃思っています。そのもどかしさや歯がゆさが、今回の企画の原動力でした。一流の人の頭の中をのぞき見したら、何か新しい世界が広がっているのではないかと。“まだ見たことない”を”見てみたい”という、なんか新入社員が言いそうな、未熟で不器用な思いかもしれませんが、そこを、直球で攻めたい、突き詰めたいと思いました」
──番組は、北川さん、原監督、滝沢さんといった方々が絞り出した“究極の一問”を回答者にぶつけながら、質問者の人間性や知られざる舞台裏を掘り下げる形式で進行していきます。先日収録を終えられましたが、手応えはありますか?
「北川さんも、原監督も、滝沢さんも、企画書の段階ではまったく想定していない結果になりました。もちろん事前にすごくリサーチして、いろんな想定をして打ち合わせに臨んだんですけど、打ち合わせに行って初めて知ることばかりだったんです。”究極の一問”はその人の頭の中にしかないし、目に見えない。打ち合わせをしながらその一流の人の頭の中をのぞき見している感覚は、とてもワクワクしました。何かを極めた人って、私みたいな凡人には思いつかないようなことを考えているんだなと、改めて確信しましたし、そこをお伝えできればと思って頑張りました」
──番組を作る上でこだわった部分はどのようなところでしょうか。
「ご出演いただく方がその一問を“本当に知りたいかどうか”、その熱を大切にしました。北川さんの究極の一問は死生観に関するものだったのですが、正直バラエティー番組で扱うテーマとしてはとても難しいなと思いました。これまで、見たこともありませんでしたし…。ただ、北川さんが本当に知りたいというその思いをお聞きし、その難しいテーマに答えを導けるかどうかよりも、北川さんにとって大切な一問と誠実に向き合いたいと思いました。これもまた生意気になっちゃうんですけど、テレビは人の心を動かすものであってほしいと思っています。それが笑いでも感動でも涙でも驚きでも、人の記憶に残る、心に刺さるものを作りたいという思いがあります。もちろん自己満足は良くないんですけど、そういう思いを形にしたい一心ですし、そういうテレビマンを目指したいなと思っています」
──今回この番組を作る上で、最も苦戦したのはどのようなことですか?
「全てに苦戦しまくりました(汗)。もちろん、いちディレクターとして、取材相手の過去の雑誌や本を何十年分読んで、とにかく調べて…。いわゆるVTRを作る準備ももちろん大変だったんですけど、一番感じたのは、1時間の番組を作ることがどれだけ難しいかということです。曲がりなりにも、今回初めて総合演出という立場をさせていただいて、出演者ゲストのブッキングから、番組のタイトル、ネタ、VTRの編集方針、ロゴからセットのデザインまで…あらゆることを“決める”のが自分。その全ての責任を負うのも自分。『これでいきましょう!』って言うのは簡単なんですけど、これで大丈夫かな、という不安はずっと残っていて。責任を負うことの怖さを学べました。何度も夜中に目覚める日々が続きました。ただ、それは同時に最高のやりがいでもありました。そして、さまざまな重圧を背負いながら、日々、演出を手掛けられている先輩方へのリスペクトの気持ちが強まりました。私もそこを目指して、これからも頑張っていきたいです」
──現在29歳ということで、年齢的にも若い中、総合演出という立場で引っ張っていかなければいけないという難しさもあったのでしょうか。
「スタッフの皆さんは、こんな若造の僕を、とても温かい目で助けてくださいました。今の自分には実績はないですし、引っ張っていくスキルもないので、とにかく思いを伝え続けて、“自分が一番汗をかく”という姿勢は大切にしなきゃと思っていました。人に力を借りないと僕一人では何もできないので。『自分が、一番頑張るので、助けてください』という思いで、とにかく動いて。動いて、動きまくりました」
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