柄本時生、初めての現場は14歳で経験「何も知らなくて現場をウロウロしていました(笑)」――「差出人は、誰ですか?」インタビュー2022/12/09
TBSでは、よるおびドラマ「差出人は、誰ですか?」が放送中。本作は、多くの話題作を世に送り出し続ける秋元康さんが企画・原案を手掛ける、完全オリジナルの“青春ヒューマンミステリー”です。
テーマは「SNS社会に生きる若者たち」。情報収集や連絡手段だけでなく、人と人との大事な感情のやりとりすらSNSを通じて行われることが当然になった社会に警鐘を鳴らし、若者たちに向けて「本音で人と向き合うこと」「匿名を使わずに相手に気持ちを伝えること」の大切さを、「手紙」というアナログなツールを使って描いていきます。
今回は、主人公・桑鶴美月(幸澤沙良)の担任である立花純太を演じる柄本時生さんにインタビュー。本作の見どころはもちろん、謎めいた立花の役どころや現場でのエピソードについて語っていただきました。
――立花を演じるにあたって、台本を読んだ時の印象を教えてください。
「謎がある感じのお芝居になるなと思っていました。実はあまりやったことがない役柄なので、楽しくやらせていただいています。ちょうどいいあんばいで謎を含みながら演じられたらいいなと思っていました」
――12月8日の放送では立花が亡くなることが明かされました。この展開をどう思われましたか?
「その展開を知って、どこまで嫌な人を演じるか迷いました。最後まで隠し通して秘めた思いがあったことを明かすのか、それとも少しずつ優しさを出すのかなどを考えました」
――幸澤さんは初ドラマで初主演でしたが、そばで見ていていかがでしたか。
「幸澤さんはとても素直な子でした。彼女だけではなく、生徒役の方々は皆さん素直ですね。お芝居というものに対してとてもピュアで、僕を見る所作を一つとってもそうなんですけど、すごく素直に物事を見ています。それは経験を積むといつの間にかなくなっていくものなので、今の彼女たちと共演できてうれしかったです!」
――ご自身が演技を始めた頃と比べてどうですか?
「皆さんとてもお上手だなと思います!」
――柄本さんの初めての現場はどんな感じでしたか?
「僕が初めて現場に行った時は14歳で、何も知らなくて現場をとにかくウロウロしていました(笑)。学生役ではありましたが、同級生役が1人ぐらいしかいないような現場でした」
――今回、先生役として学園ドラマに参加していかがでしたか?
「面白かったです。教壇からの景色を見ることってなかなかないのですが、それが結構面白くて。疲れてるのだろうなっていう子もいれば、すごく元気な子もいて本当にさまざまなんです」
――先生の位置ってそこまで見えるんですね!
「見えますね! 教壇ってすごいなと感じました」
――幸澤さんをはじめ、今回初めて連ドラに出演される方たちも多いと思います。柄本さんが教壇から見ていた現場の雰囲気を教えてください。
「僕はあまり学園ドラマに出演してこなかったので、見ていて『こんな感じなんだ!』と新鮮な気持ちになりました。想像以上に一人一人がいろいろなことを考えてやっていて、偉いなと思いながら見守っていました」
――若いキャストがたくさんいる中で、ジェネレーションギャップを感じたことはありますか?
「あまりないですね。現場ではそんなに皆さんと話していないんです。役柄で控えていた部分もありますし、普段から現場で話す方ではないので。話すとしても、年が近い櫻井海音くん、駒木根葵汰くん、三浦獠太くんたちとの交流が多かったです」
――どんなお話をされたんですか?
「今回共演して櫻井くんが高校の後輩と初めて知ったのですが、彼がバンドでドラムやっていることもあって、僕の同級生がサポートで1回呼んだことがあるという話で盛り上がりました」
ネット社会より、肉眼で見る世界の方がすてきだということが伝わる作品に
――本作は手紙ゲームを起点に展開していきますが、どのように見ていらっしゃいますか?
「もし手紙ゲームが現実に起こったとしたら、とてつもなく嫌ですね…(笑)」
――実際に学生が抱えている問題が題材になっている部分もあるかと思うのですが、そういったものに触れてみてどう思われましたか?
「僕らが学生時代の頃もさまざまな問題や悩みがありましたし、僕もいじめられていた側だったんです。そういう意味でも簡単には言葉にできませんが、ある種、救いの作品になるんだろうなと思います。作中でも許すという行為が取り上げられますが、許すことの大切さや、そこにある救いが伝わるといいなと」
――SNSが普及しているこの時代で、手紙を扱った本作についてどう思われますか?
「気持ちを手紙に書いて伝えるのと、SNSを通して伝えるのには違いがあると思います。手紙では、筆圧の違いや、疲れて字が汚くなった様子が垣間見えるのがいいなと。それぞれの良さがあるので優劣はつけ難いですが、気持ちの読み取りやすさは手紙が勝るのだろうなと思います。SNSと手紙、どちらも上手に使い分けられるといいですよね」
――これまでもらった手紙で印象に残っているものはありますか?
「24歳くらいの頃にもらったファンレターがすごく印象に残っています。障害を抱えた息子さんの代わりにお母さんが書いてくださった手紙だったのですが、その子が僕を見た時に笑ってくれたというエピソードを手紙に書いて送ってくださいました。それはとてもうれしかったです!」
――本作はYouTubeやParaviでも全話配信されていますが、お薦めのシーンがあれば教えてください。
「馬場浩人(窪塚愛流)が怒るシーンです。『お前に俺らの何が分かるんだよ!』と言い放つシーンなのですが、本当に愛流くんがよかったです。うまく言葉にできないのですが、感動したシーンの一つです」
――シーンの状況や演技も相まってということでしょうか?
「そうですね。(窪塚の)お父さんである窪塚洋介さんに怒り方がそっくりだったことにも驚きましたし、目の前で愛流くんのお芝居を見ることができてすごくうれしくなりました」
――では、あらためて本作の魅力はどういったところにあると思いますか?
「生の良さが伝えられる作品なのではないかなと思います。ネット社会で見る世界より、私たちが肉眼で見る世界の方がもっとすてきだということ。楽しいとかつらいとか、喜怒哀楽の感情が詰まっているのは、リアルの世界の方なのだと分かるのが本作の魅力ではないかなと思います」
――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします!
「最後まで見ていただければ、立花が手紙ゲームを始めた理由が本当によく分かると思うので、ぜひ引き続き楽しんで見ていただけたらなと思います!」
【プロフィール】
柄本時生(えもと ときお)
1989年、東京都生まれ。2003年、ショートフィルムオムニバス「Jam Films S」の「すべり台」(05年公開/主演)のオーディションに合格しデビュー。「きみの友だち」「ホームレス中学生」など08年の出演作品により、第2回松本CINEMAセレクト・アワード最優秀俳優賞を受賞。主な出演作品は、「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)、「泣くな研修医」(フジテレビ系)、「新聞記者」「全裸監督」シリーズ(ともにNetflix)。23年には、映画「イチケイのカラス」、兄・柄本佑が監督を務める「ippo」への出演も控えている。
【番組情報】
「差出人は、誰ですか?」
TBSほか
月〜木曜 深夜0:40〜0:55(一部地域を除く)
取材・文/TBS担当A・M
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