比嘉愛未が“夜ドラ”ヒロインに!「じゅわ…っとお互いが近づく感覚を楽しんでいただければ」──「作りたい女と食べたい女」インタビュー2022/11/26
11月29日から、夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(NHK総合)がスタートします。ゆざきさかおみさんの同名漫画を原作に、料理を“作る”ことが好きな女性と“食べる”ことが好きな女性の日常や交流を通して、女性を取り巻く現実や女性同士の連帯、そして2人の間で育まれる恋愛を描いていきます。
“作りたい女”野本さん(野本ユキ)役を務めるのは、2007年の“朝ドラ”「どんど晴れ」でヒロインを演じた比嘉愛未さん。“食べたい女”春日さん(春日十々子)には、オーディションで選ばれた西野恵未さんが扮(ふん)します。
今回は、30代の等身大の女性を演じる比嘉さんにインタビュー! 作品の見どころや役に対する思い、食事にまつわるエピソードなどを伺いました。
──まずは、原作を読んだ感想を教えてください。
「最初のインスピレーションは、すごく静かで穏やかな物語だなと。野本さんと春日さん2人の関係性を描く模様がとても心地よく感じたのですが、読み進めていくとテーマの深さに驚かされました。レズビアンや性的マイノリティーを扱う作品でもありますし、私が演じる野本さんを通じて“自分らしさとは何か?”という問いを投げかけている物語でもあると感じました」
──原作がある作品ならではの難しさやプレッシャーはありましたか?
「こんなにすてきな作品をやるからには、しっかりと覚悟を持って、原作のファンの方を裏切らないように演じたいと思っています。私が作品を読んで感じた、穏やかで心地よくて平和な世界観を表現できたらいいなと」
──実写化だからこそ、“ここを見てほしい!”という部分はありますか?
「映像の醍醐味(だいごみ)は、やはり“ご飯をおいしそうに見せられる”ところではないでしょうか。現場では“しずる感”というのを意識しているので、見ている方に『食べたい!』と思っていただけると思います」
──実写化決定の際に公開されたメインビジュアルでは、野本さんと春日さんが原作漫画の見た目とそっくりだと話題になりました!
「見た目はできるだけ忠実に寄せられるように気を付けています。中でも衣装は、『よくこんなにぴったりのものを見つけてきたね』というくらい、野本さんらしい衣装を用意してくださって(笑)」
──野本さんも春日さんも再現率が高すぎて驚きました! あらためて、野本さんはどんなキャラクターでしょうか?
「野本さんはとてもピュアな人だと思います。周りの友達が大人になって恋愛をしたり変わっていくことに対して、“自分はどうなのか?”と葛藤する部分があるんです。自分のセクシュアリティーに関して世間一般の当たり前との違いを感じた時に、“普通って何?”という違和感にちゃんと向き合える人なんです。“みんながこうだから”ではなく、“自分はどうなんだろう?”と模索してきた彼女にすごく人間味を感じました」
──そこが野本さんの魅力でしょうか?
「そうですね。ピュアであり、頼もしくもあり、自分にうそをつかないところが魅力だと思います。野本さんが『春日さんを好きでいていいんだ』と自信を持って言うセリフがあるんですけど、『これでいいんだ』と言い切れるのはすごいことだと思いました。自分がレズビアンであるということに気付いた時、すぐに自分を肯定できる強さがあるんですよね。野本さんって、ふわっとしているように見えてとても心(しん)が強いんです。ピュアだからこそ、誰にも止められない強さがあります」
──女性同士の恋愛を含めて、これまでのドラマではあまり描かれなかった女性の新しい姿が描かれています。特に印象深いシーンはありますか?
「明確に“ここのシーン”というわけではないのですが、ご飯を食べる回数が増えるとともに、少しずつ2人の距離が縮まっていくんですよ。じゅわ…っとお互いが近づく感覚を楽しんでいただきたいですね」
──オーディションで春日さん役に選ばれた西野さんの印象はいかがでしょうか?
「素晴らしい人です! きっと放送が始まったら、『この役者は誰だ!?』と話題になると思いますよ(笑)。普段はピアニストとして活躍されていて、お芝居の経験が全くない方なのですが、一緒にいると安心感があって、どんな私でも受け入れてくれるような器の大きさを感じさせてくれます」
──一緒にお芝居をしてみていかがでしたか?
「私が西野さんの立場だったら絶対に緊張してしまうと思うのですが、西野さんは初日から『楽しい~!』って言っていましたね(笑)。ドラマの現場で飛び交う業界用語とかすべてが新鮮だったみたいで、『これ何ですか?』『どういう意味ですか?』って(笑)。終始キラキラした顔で真っすぐ私にぶつかってきてくれるんです」
──そんな西野さんの豪快な食べっぷりも見どころの一つですが、近くでご覧になっていかがでしたか?
「素晴らしかったです。注目してほしいのは、頬張る時の音が『ハフッ』『カプッ』って言うんですよ(笑)。食べ方もすごく奇麗ですし、口を一生懸命大きく開けておいしそうに食べている姿がとてもいとおしかったです」
──おいしそうに食べる春日さんを見つめる野本さんの姿も印象的でした。
「私自身も料理をするのは好きなのですが、普段は自分のために作っているので、誰かに無我夢中で食べてもらえるのは幸せだなと、野本さんにすごく共感しましたね」
──比嘉さんご自身は、どんなことに一番幸せを感じますか?
「今回のように、いいチームと意義のある作品を作って、全部やり遂げた後の『お疲れ、自分!』と言って飲む生ビールが最高ですね。あとは、家族とか仲間など大事な人たちとおいしいご飯を食べる時間は本当に幸せです」
──お料理で最近作っておいしかったものや、「誰かに食べてもらいたい!」と思ったものはありますか?
「最近だと、鶏の照り焼きですね。たれの中にたたいた梅を入れて、鶏肉につけて焼いたんですけど、これがすごくおいしかったんです! 自画自賛で感動しました(笑)」
──劇中でもおいしそうな料理がたくさん出てきますが、特に印象に残っているものがあれば教えてください。
「私の中で一番印象に残っているのは『はらこ飯』です。人生で初めて食べたのですが、すごくおいしくて衝撃を受けました! さすが、サケとイクラの親子共演だなって(笑)。今のところ、比嘉史上3位以内に入っています」
──野本さんは職場でのストレスから大量の料理を作ってしまいますが、比嘉さんのストレス発散法はありますか?
「私も料理で発散することはあります。この前なんて、ストレスがたまっている感覚はなかったのに、無性に何かを刻みたくなって(笑)。気付いたら副菜を10品ぐらい作っていました(笑)。それを1人で1週間ぐらいかけて食べた時は、さすがに作りすぎた…と反省しましたね」
──野本さんとストレス発散法が同じなんですね!
「そうです、だからすごく共感できるんです。あと、最近は絵を描くことですね。元々趣味ではあったのですが、大人になってから全然描いてないな…とふと思って始めたら、そこからハマってしまって。毎回4、5時間くらい、食事するのも忘れて無我夢中で描いています。終わるとすごくスッキリするんです」
──本作が2022年締めくくりの“夜ドラ”になりますが、今年はどんな年でしたか?
「今年は特にあっという間に感じましたね。舞台から始まり、映画、単発ドラマ、連続ドラマと、幅広くいろんな役にも挑戦できました。だから、自分の中では役者として充実した日々を過ごせて、かつ、プライベートでも一人旅ができたりと、きちんとオンオフを切り替えられたと思います。うまくバランスの取れた1年でした」
──では、来年はどんな年にしたいですか?
「最近はストレス発散で絵を描いたり、仕事に集中したらその後は思いっきり休むなど、自分なりのバランスの取り方が分かってきたので、とても心地いい状態なんです。その生活を続けつつ、新たな作品や人との出会いも楽しんでいけたらなと思います。そのためにまずは健康第一です!」
──最後に、ドラマの見どころや視聴者の皆さんへメッセージをお願いします!
「自分らしさを見つけることがテーマとなっていて、優しい教科書のように思えるドラマです。見てくださる方たちの共感する場所もそれぞれ違うと思いますので、それぞれの受け取り方で楽しんでいただきたいです。私たちは全身全霊で優しい空間づくりをしたので、たくさんの人に受け取っていただけたらうれしいです」
──ありがとうございました!
第1週あらすじ(11月29日~12月1日)
料理が大好きだが、1人暮らしで少食のため、もっとたくさん作りたいと日頃から感じていた野本さん。ある日、職場でのストレスから、とても食べきれない料理をつい作ってしまう。思い浮かんだのは、同じマンションに住んでいる女性・春日さん。思い切って声をかけてみると、豪快な食べっぷりで平らげてくれた。「食事」がつなぐ2人の関係は、生理の時に助けてもらったり、自然と深まっていく。春日さんと心地よく過ごす一方、野本さんは、自分たちの関係を定義できず思い悩む。
【番組情報】
夜ドラ「作りたい女と食べたい女」
11月29日スタート
NHK総合
月~木曜 午後10:45~11:00 ※第1週は火~木曜、第2週は月~木曜、第3週は月~水曜
NHK担当・M
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