落語家・桂宮治が街を歩いて、飲んで食べて、笑って、最後に涙する!? 今までにない街ブラ番組の魅力2022/11/23
落語家・桂宮治が、日本全国に数ある城下町を訪ね、地元の人々が紹介する行きつけの場所を巡る「~日本全国~桂宮治の街ノミネート」(BSフジ)。宮治は、2008年に桂伸治に入門し、12年には二ツ目に、21年には落語芸術協会会長・春風亭昇太以来29年ぶりとなる5人抜き(抜てき)で真打に昇進した。今年1月には、人気長寿番組「笑点」(日本テレビ系)のメンバー入りするなど、今最も勢いのある落語家の1人と言われる“令和の爆笑王”が、西へ東へ飛び回り、その土地の歴史や魅力を堪能するとともに、自分の暮らす街を愛する粋な人々との触れ合いを楽しんでいる。
番組の見どころは「街を好きになるのと同時に、そこに暮らす人を好きになっています」と宮治も語る、人とつながることの大切さ。街を歩いて、飲んで食べて、笑って、そして最後には涙する──。今までにない街ブラ番組の魅力を、宮治師匠に聞いた。
── 10月のスタートから、おおよそ2カ月が経ちました。周りの反響はいかがですか?
「一般の方や落語家ファンの方から『見てるよ』と声をかけていただいたり、反響には驚いていますね。『笑点』メンバーの師匠方もよく見てくれていて、(林家)木久扇師匠と(三遊亭)好楽師匠はかかさず見てくれているようです。特に木久扇師匠は『宮治くんに合ってるよ。最初パアパアやって、皆さんのいい話を引き出して、最後は泣いて。なんかいいよね~』と、すごく褒めてくださって。『街ノミネート』の話だけで20分以上も立ち話をしました(笑)」
── 初冠番組です。最初に「城下町を訪ね、地元の人々が紹介する行きつけの場所を巡る番組」と聞いて、どう思われましたか?
「自分の名前がタイトルに付くことなんて一生ないと思っていたので、素直にうれしかったですね。ただ、こう見えてあまり人付き合いが得意な方ではないので、全国のいろんな人と出会って、話を聞いて…という企画はどうかな、自分にできるのかな…と、最初は不安に思っていて。でも、やっていくうちに、自分も人として成長できてるということを実感できていますから、やらせていただいてよかったなと思っています」
──「笑点」メンバーになり、お顔も広く知られるようになりました。
「それには感謝していますね。『笑点』に出る前と後では、180°違いますし、ロケに出ると皆さんの方からどんどん話しかけてきてくださって。こうした街ブラものの番組って、まず『あなた誰?』というところから始まると思うんですけど、そこがないというのは、人付き合いが得意でない僕には本当にありがたかったです。落語を好きな方以外には知らない、こんな46歳のおじさんに『会えてよかった』と言っていただけるなんて1年前には考えもしなかったので、『ただのおじさんだよ? こんなので大丈夫?』って、今も正直、心の整理はついていないのですが(笑)、『よかった』と言っていただけるのであれば、よかったなと」
── これまで石川・金沢、愛知・名古屋、埼玉・秩父を回られた感想はいかがですか?
「人と人が触れ合うことでいろんな発見があったり、刺激を受けたり。こうして触れ合わないと出会わなかったであろう人たちの人生を体験する…。そこまではできないけれど、少し触れさせていただくことで、自分にはないものを得ることができるんだなと、40も半ばにして学ばせてもらっているところです。人と触れ合うことって怖くないんだよ、楽しいんだよ、ということが伝わればいいなと思い、やらせていただいています」
── ロケで心がけていることは何でしょう?
「僕の座右の銘で、色紙に一筆求められた時に『明るい所に花は咲く』と書くんですけど、これですね。基本、人嫌いで人付き合いが苦手でも、誰かといる時は常に笑顔でいようと。カメラが回っていないところでも機嫌よく笑顔で接していれば、周りの方々も自然と明るくなるんじゃないかなと思い、番組をやらせていただいています。そうすることで自分も変われたらいいなと。あとは、決して有名な観光地でなくても、その土地土地のいいところを紹介する。自分の直感みたいなものも大事にしたいです」
── 番組を見ている通り、宮治さんの気が赴くままに街歩きされているのですか?
「そうですね。書いてくれた方には申し訳ないですけど、台本もほとんど見ていません(笑)。カンペも大して出ないですし、その場の流れに任せて動いています。でも、そうすることでキャラの立った方に出会ったり、いろんなエピソードを聞けたりするから不思議なもんですね。今度、金沢に行ったらあのおでん屋さんに行こう、名古屋に行ったら大須の古着屋さんに寄ってみよう。全国に自分の行けるお店がだんだん増えていくのもうれしいです。街を好きになるのと同時に、そこに暮らす人を好きになっていますね」
── 街歩きをして、最後は地元の人たちがおすすめする店で一杯。実においしそうにお酒を飲まれますね。
「お酒を飲むために仕事をしているようなところがあるくらい酒好きなのですが(笑)、実は普段、部屋飲みばかりなんですよ。それが今は全国に行きつけのお店が増えつつあるので、落語でいろんな場所を訪れるのが楽しみで、楽しみで。いいお店にはいいお客さんが付いているから、お話を聞いていても楽しいですし、本当にお酒がおいしい。大げさですけど、この番組をやってから人生観が変わりました。番組に人生や性格が変えられることがあるんだなと思うと、少し怖くもありますね(笑)」
── 訪れたお店では、店主の話に思わず涙…というのが、今ではお約束(?)になってきましたが(笑)、もともと涙もろい方なんですか?
「めちゃくちゃ涙もろくて、CMを見ても泣くことがあるので、子どもたちには『ハイ、また泣いた~』って、ばかにされていて(笑)。ただ本当に、出会った方々が壁を作らずに人生の喜びや悲しみを素直に表現してくださるので、その場にいると番組を忘れて、心がギュッとなるというか。それがテレビの前の皆さんにも伝わればいいなと思います」
── ナイツ・土屋伸之さんのナレーションも、ツッコミのようでいい味を出しています。
「『宮治くん、何やってるんだよ~』みたいな、ゆる~く軽いあの感じがいいですよね。ナイツさんは、前座、二ツ目の時分から寄席などで大変お世話になってきて。この番組が始まってから土屋兄さんにはまだ会えていないので、早くお礼を言いたいです」
── まだまだ旅は続きます。番組をご覧になっている視聴者に、メッセージをお願いします。
「最初からそう思っていたわけではありませんが、やってくうちに、ただ街を歩いて、おいしいのを食べて飲んで…というだけではなく、そこに暮らす意味や、そこに暮らす人たちの人生を紹介する番組になってきたと思います。人生いろいろあるけど、前向きに一歩一歩、真面目にやっていこう。そうしたことを何か感じていただければ幸いです。毎週木曜夜10時は、ぜひ『~日本全国~桂宮治の街ノミネート』ご覧ください!」
【プロフィール】
桂宮治(かつら みやじ)
1976年10月7日生まれ。東京都出身。2008年2月、31歳で桂伸治に入門。2012年3月、二ツ目昇進。同年10月、NHK新人演芸大賞受賞。2021年、5人抜きで真打昇進。2022年から「笑点」(日本テレビ系)の新メンバーに就任。
【番組情報】
「~日本全国~桂宮治の街ノミネート」
BSフジ
木曜 午後10:00~10:55
11月24日の放送は、神保町編・前編(後編は12月8日)。本の街として有名な東京・神保町で、3年ぶりに開催された古本まつりを巡って掘り出し物を探す。そして、カレーの街でもある神保町。南インドで修業した店主が作る絶品のビリヤニを紹介。さらに、母から娘へ受け継がれる喫茶店のグラタントーストや、本棚を借りて1棚だけの店がもてるシェア型書店など、街の魅力を存分に味わう。
取材・文/橋本達典
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