倉悠貴が物語のキーパーソン！神尾楓珠とは「僕たちどこか似ているらしいんです」――「階段下のゴッホ」インタビュー2022/11/02

　TBSの深夜ドラマ枠ドラマストリームでは、4作目となる「階段下のゴッホ」を放送中。主人公は、大手化粧品メーカーに勤め人望厚き働き盛りの30歳、年収1000万円超えの“高収入バリキャリ女子”の鏑木都（SUMIRE）。都は、ある絵画に出合ったことで一念発起し、画家になるという夢をかなえるべく東京藝術大学を目指します。

　美術の道を志すことと、勤めている化粧品メーカーでの勤務を両立するという無謀にも見える挑戦を試みる都が美術予備校で出会ったのは、“ザ・才能の塊”である6歳下の青年・平真太郎（神尾楓珠）。自分らしく生きるために邁進し、強くたくましく夢にも仕事にも向き合い進んでいく都を通して、夢を諦めない現代人に“それでも前に進め”と背中を押すヒューマンラブストーリーです。

　今回は、第6話から登場した真太郎の兄・光也を演じる、注目俳優の倉悠貴さんにインタビュー。物語のキーパーソンとなる役を演じた感想や、神尾さんとの交流などたっぷり語っていただきました。

――まずは、台本を読んだ時の感想を教えてください。

「真太郎というキャラクターのもととなる人物ですし、物語にとって大切な役なので丁寧に演じようと思っていました。最後にクランクアップした際にスタッフの皆さんからアルバムをいただいたのですが、小牧（桜）監督が光也のことを“3人目の主人公”と書いてくださっていて、本当にその通りだったなと」

――光也とご自身の共通点はありますか？

「何かに焦っていることですかね。光也の場合は弟だったり、周りの予備校生だったり、家族からの目線だったり。ジェラシーを感じる瞬間は人間として当たり前にあることだと思うのですが、光也はそれを顕著に感じなければいけなかった環境だったと思います。そういう部分はずっと共通していました」

――小牧監督から役作りで言われたことはありますか？

「特に細かい要望は言われていなくて、役として見て感じたことをやらせてもらえる現場でした」

――撮影中にはどのような会話がありましたか？

「監督とはかなり話したと思います。演じてみて、『今のどうだったんだろう？』と思うシーンがあったのですが、そういう時は小牧監督とアイコンタクトを取って確認する場面もありました。目指しているところは共有できていたので、そういうあうんの呼吸ができていた部分もあります」

――第7話のショウガ焼きを食べるシーンでは、真太郎と同じタイミングで口に運んでいましたが、あれは意識されていたのでしょうか？

「無意識だったと思います。少なくとも作為的ではないですね。兄弟役ということもあり、真太郎のことをよく見ていたので自然とそうなったのかもしれません」

――では、そんな真太郎を演じる神尾さんから刺激を受けたことはありますか？

「神尾さんはものすごくフラットな方で、感覚で演じているのではと思うところが多いです。一方で、僕はたくさん考えてお芝居するタイプなので、そういう部分は光也と真太郎の関係に近いなと思っていました。神尾さんが、第1話から真太郎を作り上げてきていたので、何もしなくても彼こそが真太郎という状況で現場に入らせてもらえて、とてもやりやすかったです」

――神尾さんとはプライベートでも交流があると伺いました。距離が縮まるに至ったエピソードはありますか？

「以前に映画で共演してから仲良くさせていただいているのですが、最初の印象はクールな感じを醸し出していて、なかなかつかめない人でした。でも、共演後に遊びに誘ってもらって会いに行ったら急にハグされたことがあって（笑）。ほかにも何人かいる前で『俺こいつのことめっちゃ好きなんだよね！』みたいなことを言っていて、その時にかわいいやつだなって思いました。そこからあらためて仲良くなったような気がします」

――神尾さんにそんなかわいらしい一面が！　今回で2回目の共演かと思いますが、いかがでしたか？

「2回目だからというのもありましたし、元々の関係性があった分、短いシーンの中でも光也と真太郎の関係性を表現しやすかったのかなと思います。クランクインする前に共演者の皆さんと絵の練習をした時も、僕たちだけは面識があったのでいい雰囲気でやれた感覚はありました。周りの皆さんの意見によると、僕たちどこか似ているらしいんです（笑）」

――本作の登場人物は絵を描くことを生きがいにしていますが、倉さんにとってそのような趣味などはありますか？

「僕は基本無趣味です。フィルムカメラは2台持っていて、たまに撮ったりはします。ほかには料理したり、銭湯に行ったりもしますが…（と、思案）。仕事でいろいろなことをやらせてもらえるので、むしろそれが楽しみになっているんですよね」

――魅力的な人が友達に多いと思われますか？

「多いと思います！」

――その方たちからは、倉さんは魅力的だと言われたりしないですか？

「言われることもありますが、そういうのって本音で言っているかどうか分からないじゃないですか（笑）。取材の撮影では、カメラマンさんがたくさんお褒めの言葉をくださいますが、いつも半信半疑で聞いています（笑）。別にネガティブではないんですよ！　あれ、でもネガティブといえばネガティブなのかな…。（同席していた小牧監督に）どう思いますか？」

海外での撮影で得たこととは？

――光也は弟にコンプレックスを感じているキャラクターですが、倉さんが憧れる人物像はありますか？

「昔から、好きに生きていろいろなものに飛び込める人は憧れです」

――今は俳優という仕事に飛び込んでいる状態かと思いますが、ご自身の現状に関してどのように思われていますか？

「まだまだです！　体と心を大事にしながらもっと頑張りたいなと思っています」

――では、俳優としての目標は何でしょうか？

「今は、海外で仕事をすることに興味があります。今年の5月くらいまで、『将軍（Shōgun）』という作品の撮影でバンクーバーで生活をしていたんです。海外の作品では、ちゃんと時間をかけて一つの作品に向き合うのが主流で、それを実際に体感してやっぱりいいことだなと思わされました」

――その現場から持って帰ってきて、本作で試したことはありましたか？

「こだわることですね。最近お仕事をしている中でずっと意識しているのですが、なんとなくやってみて、『オッケーが出たからオッケーでいいじゃん！』ではなく、自分の中で役としての行動に目的意識があって、サブストーリーが行間全部にあることを意識しています」

――光也を演じてみて、演じ切れた感覚はありますか？

「撮影時に僕がやれたことはできたと思っています！　後悔ってどうしても残るものだと思うのですが、その時にしかできなかったものって絶対あると思っていて。後悔はつきものですが、毎回その時の自分のベストは出せたと考えています」

――では最後に、最終回に向けての見どころを教えてください！

「最終回は、それぞれのキャラクターがどこに向かっていくのかが見どころだと思います。個人的にも第7話は印象的な回ですが、それを経て都と真太郎の中にある葛藤や、モヤモヤがどういう終着を迎えるのかにも注目してほしいです」

　倉さんの「僕ってネガティブですか？」の問いに小牧監督は、「そんなことないですよ！（笑）。言われたことをただ吸収するのではなく、よく考えるタイプだからじゃないですかね？」と返答。その言葉通り、どんな質問もしっかりとご自身の中でそしゃくしてから答えていらっしゃったのが印象的なインタビューとなりました。

【プロフィール】

倉悠貴（くらゆうき）
1999年12月19日生まれ。大阪府出身。NHK連続テレビ小説「おちょやん」では、ヒロイン・千代の弟ヨシヲ役を務めた。ドラマ「トレース～科捜研の男～」（フジテレビ系）、「生き残った6人によると」（TBSほか）に出演するほか、映画「夏、至るころ」「街の上で」にも出演。カナダ・バンクーバーで撮影が行われた「将軍（Shōgun）」への出演が控えている。