町田樹独占インタビュー「髙橋大輔選手が起爆剤になって、“アイスダンス・ルネサンス時代”が訪れてほしい」2020/03/01
1月10~12日にKOSÉ新横浜スケートセンターで行われた、新アイスショー「アイスエクスプロージョン2020」。座長の髙橋大輔選手をはじめとした世界のトップスケーターたちが、“エクスプロージョン=爆発”の名の通り、エネルギッシュで唯一無二のショーを作り上げ、満員の観客を沸かせました。
BSテレ東/BSテレ東4Kで3月8日(午後2:00)にオンエアされる「フィギュアスケート ICE EXPLOSION 2020【ノーカット完全版】」では、そのすべてが町田樹さんによるスペシャル解説付きで放送されます。
解説の収録を終えた町田さんに「アイスエクスプロージョン2020」の見どころについて、たっぷりとお話を伺いました!
── 新アイスショー「アイスエクスプロージョン2020」の注目ポイントを教えてください。
「今回は髙橋選手の“シングル競技引退”と“アイスダンス競技への門出”、この二つに対するセレブレーション(祝福)がコンセプトになっているという印象を受けました。髙橋選手を中心にアイスショーがどう展開されていくのか、というところが見どころの一つだと思います。また、このショーではカップルスケーターが出演者の50%以上を占めています。これまで日本国内のアイスショーではシングルスケーターを基盤にショーが形成されていましたが、今回はある意味、カップルがメインのショーになっていますので、そこも『アイスエクスプロージョン2020』ならではのユニークな部分です。ぜひこの機会にシングル競技とカップル競技の違いに着目していただければ、よりショーをご堪能いただけると思います」
── 1部では、髙橋選手のシングル競技最後のプログラムとなった「The Phoenix」が、髙橋選手、エラッジ・バルデさん、小林宏一さん、小沼祐太さん、ミーシャ・ジーさんによるコラボナンバーとしてよみがえりました。
「出演者の皆さんが『The Phoenix』を踊りたくて堪らない、うずうずしているような感じが見ている側にもひしひしと伝わってきました。そういう意味でもセレブレーションとしてのパーティーになったのではないかと思います。非常にアットホームでハートフルなアイスショーになりましたね」
── コラボナンバーとしての見どころはどこでしょうか?
「まず髙橋選手と、シェリル・ムラカミさんの陸上の振り付けを氷上に落とし込んだミーシャさんのコラボレーションが見られる、振付師とスケーターが2人で滑るということは非常に意味があったことではないかと思います。それに加え、バルデさん、小林さん、小沼さんが共に踊る。3人は本当に踊り心と活気にあふれている“ザ・ショーマン”と言える方々なので、そのようなスケーターたちと一緒に『The Phoenix』を踊れるというのは、髙橋選手にとっても至福のひと時だったのではないかと思いますし、観客もやはり興奮しますよね」
── 2部では、「映画『美女と野獣』メドレー」でメリル・デイヴィスさん&チャーリー・ホワイトさん、タニス・ベルビン&ベン・アゴストさん、そして村元哉中選手&髙橋選手のアイスダンスカップル3組が共演しました。
「1部の最後の演目が『The Phoenix』で“シングル最後の瞬間”だったとしたら、2部からは“アイスダンスの世界にやって来た髙橋選手”というような演出になっていました。『映画「美女と野獣」メドレー』では、メリルさん&チャーリーさんとタニスさん&ベンさんの2組が、村元選手と髙橋選手のカップルを温かく迎え入れていたのが印象的でした。村元・髙橋組はアイスダンスの世界で戦ってきた経験者たちから見ても、楽しみなカップルなのだと思います。村元・髙橋組だけではなく、日本でもめきめきと若手が実力をつけてきています。アイスダンス文化が盛り上がりつつある今、村元・髙橋組がどうそこに食い込んでいくのか、非常に楽しみですね」
──「映画『美女と野獣』メドレー」の見どころはどこでしょうか?
「メリルさんとタニスさんが髙橋選手の身だしなみを整えて、チャーリーさんとベンさんが村元選手をエスコートして、『2人とも、これから頑張りなさい』というふうに2人を引き合わせているというシーンです。非常に印象的でしたね」
── 髙橋選手は新プログラム「9000 Days」でトリを飾りました。
「髙橋選手のスケーターとしてのキャリア25年が『9000日』ということなのですが、滑っている彼もいろいろな思い出がふつふつとよみがえってきているのだろうなという感じがしましたし、見ているわれわれも髙橋選手のさまざまな功績が思い返されましたね。フィナーレの実況・解説では、私と板垣さん(実況:板垣龍佑アナウンサー)の2人で『これまで髙橋選手が滑ってきたプログラムの中でどれが一番好きか』ということを語り合ったり、『あんなことあったね、こんなことあったね』と思い出話をしていますので、そのあたりも楽しんでいただければと思います」
── そのほかに町田さんのおすすめの演目を教えてください。
「すべて素晴らしかったですが、強いて挙げるとすれば、私のおすすめはケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組の『Crazy Little Thing Called Love』です。物語性があって、アメリカの爽やかな青春ラブコメディーを見ているような気持ちにさせてくれました。まず、彼らの良さを最大限に引き出しているカート・ブラウニングさんの振り付けが実に巧みです。そして、その振り付けを表現する2人の実演力もすさまじい。非常に素晴らしい演目だと思います」
──「涙のリクエスト~ダンシングヒーロー」や「Roundtable Rival」など、グループナンバーも充実していました。
「グループナンバーにおいて、プリンスアイスワールドチームのメンバー(小林さん、小沼さん、瀬尾茜さん、中西樹希さん)が出演していたというのは、非常に大きかったと思います。カップルないしシングルスケーターたちが群舞を滑る際に、彼らが一体感を作り出す潤滑剤のような絶妙な仕事をしていたと思います。彼らの強みというのは、主役と脇役を瞬時に切り替えて、時と場にふさわしい振る舞いや表現ができることだと私は考えているのですが、今回もそのプロスケーターとしての技術がきらめいていました」
── 今回は、髙橋選手の初の座長公演でもありました。座長としての髙橋選手はいかがでしたか?
「座長・髙橋大輔の一番の強みというのは、おそらく“誰からも愛される人間性”なのかな、と。やはり粒ぞろいのスケーターたちはそれぞれいろいろな考えを持っていると思うのですが、その上で『この人となら一つの大きなものを作れる』というような気にさせるのは、やはり髙橋選手のお人柄なのかなという感じがしますね」
── アイスダンスの選手としての髙橋選手に期待することは何でしょうか?
「髙橋選手がアイスダンスに転向したことで、国内におけるアイスダンスのメディアバリューが高まってきていることは確かです。今、若手のアイスダンサーも育ってきていますし、本当にこれからさらに面白くなってくると思います。アイスダンスは国内でも長い歴史があり、先人たちが日本のアイスダンス文化を開拓してきました。髙橋選手のアイスダンス転向が起爆剤となってアイスダンス文化が花開けば、こんなに素晴らしいことはありません。先人たちがまいた種を花開かせる、“アイスダンス・ルネサンス時代”みたいなものが起こってくれたらといいな、と切に願っています」
── 最後の質問です。今回は新しいアイスショーの解説でしたが、名コンビである板垣アナウンサーとのコンビネーションに進化はありましたか?
「2人のコンビネーションはより自然体かつ、より強固なものになっていると思います。今回はたくさんのカップルスケーターが出演していますので、視聴者の方への“カップル競技入門”となる番組にしたいと考え、ペアとアイスダンス競技のイントロダクションにあたるような実況・解説に新たに挑戦しています。ぜひ視聴者の皆さまにもわれわれと共にアイスダンスやペアのことを学んでいただき、今後、カップル競技にも注目していただきたいと思います」
町田さんの解説とともに「アイスエクスプロージョン2020」の魅力を堪能できる、「フィギュアスケート ICE EXPLOSION 2020【ノーカット完全版】」は3月8日午後2時から放送です。ぜひ、ご覧ください!
【放送情報】
フィギュアスケート ICE EXPLOSION 2020【ノーカット完全版】
BSテレ東/BSテレ東4K
3月8日(日) 午後2:00~4:30
【解説】町田樹
【実況】板垣龍佑(テレビ東京アナウンサー)
【インタビュー】竹﨑由佳(テレビ東京アナウンサー)
【雑誌情報】
発売中!
「KISS&CRY SPECIAL BOOK 髙橋大輔 終わらない物語」
https://honto.jp/netstore/pd-book_30107311.html
【関連情報】
アイスエクスプロージョン2020
https://www.ice-explosion.com/
「KISS&CRY」とは?
「KISS&CRY」シリーズは、日本のフィギュアスケーターの皆さんをフィーチャーし、その「戦う」姿、「演じる」姿を合計50ページ超のグラビアでお届けしています。つま先から指先・その表情まで、彼らの魅力を存分に伝えます。また、関連番組テレビオンエアスケジュールも掲載。テレビの前で、そして現地で応援するフィギュアスケートファン必携のビジュアルブックです。
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