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太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】2022/08/08

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

 8月19日に公開する映画「バイオレンスアクション」に出演する太田夢莉さん。橋本環奈さん演じる主人公・菊野ケイのアルバイト仲間のすご腕スナイパー・だりあを演じている。

 NMB48卒業時に発売されたフォトエッセー「青」(幻冬舎)では、19歳の時、初めて足を踏み入れた芝居の世界に魅了された当時の心境をこうつづっている。

「2019年の1月に、初めてお芝居をさせていただきました。そうしたら、お芝居をめちゃくちゃ好きになってしまいました」。

「もちろん、ステージに立つのは大好きなんですけど、自分が次にしたいことはお芝居だと分かってしまったから、ファンの方にうそをついているような気になってしまったんです。ライブのリハーサルの時などに、『お芝居したいな』と、ふと思ってしまったりして。そうすると、こうやって見に来ていただいているのに、ファンの方に対して、すごく失礼なんじゃないかと思いました」。

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

 自分の気持ちを、うそ偽りなく語る。インタビュー後編では、NMB48卒業後の自身の歩みや、今抱いている思いについて聞いた。(インタビュー前編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1689155/)

「このまま何もせずに20歳が終わっていくのか」

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

――2019年11月30日にNMB48を卒業。先ほど卒業後すぐにコロナ禍に突入したというお話もありましたが、ご自身の活動をどのように捉えていますか?

「卒業して1年目は、本当に時間がありすぎる1年でした。今までお仕事があったことへのありがたさを、さらに実感したのがその頃です。やっぱりグループの頃って、グループのお仕事もあるし、ありがたいことに個人のお仕事もあったので、休みもたまにあるかないかくらいだったんですけど、それってありがたいことだったんだなって…。仕事がないことに焦ってばかりの1年目でした。その時20歳だったんですけど、『このまま何もせずに20歳が終わっていくのか』って」

――せっかく踏み出したのに、と。

「そうなんですよ。同世代の役者さんと自分を比べて、何もできないなとか、とにかく焦ってばっかりで。結構落ち込んでいました。卒業して2年目に入って、この『バイオレンスアクション』のお仕事や、少しずつ舞台のお仕事をさせていただけるようになってきて。そして今年に入ってからはやっと、すごく時間が空く!みたいなこともなく、お仕事をさせていただけていて。舞台も3本連続で出演ができたり、やっとこうやってたくさんお仕事が決まるようになってきたので、今は『やっとだな』という思いです」

――卒業して2年目、21年にはドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系)へのレギュラー出演もありました。大きな反響があったのではないでしょうか。

「うーん…。ファンの方からは『地上波で夢莉ちゃんが出てるのがうれしい!』『友達に自慢したよ』などの言葉をいただいたのですが、うれしい気持ちはありつつ、同時に『もっともっと大きい役で出れるようにならないと』と感じていました。偉大な方々のお芝居を目の前で拝見して、学ばせていただいたという感覚が強いです。上白石萌音さんがあんなに多忙なスケジュールの中で、絶対に疲れているのにそんな姿を一切見せずに振る舞っていらっしゃるのに感銘を受けたり。なんというか、自分がそういう空間にいるということに、全然実感がなかったんです。“勉強しに来た”と思わされるばかりでした」

――今年に入ってからは、「陰陽師 生成り姫」「フラガール – dance for smile -」「『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』THE STAGE」と舞台作品への出演が続いています。息つく暇もないのではないかと思うのですが…。

「いえいえいえ! やっとなんです。こうやってお仕事をいただけるようになったのは。でもやっぱり、人気な役者さんは2年後、3年後のスケジュールが決まっていたりするじゃないですか。私、2年後、3年後なんて全然決まってないです。だからこういうふうにお仕事をいただけるようになっても、焦りは消えてないんです。生き急いでいるのかもしれないんですけど、ずっとあって…。『今年、あといくつ仕事あるだろう?』って考えちゃったりとか。ずっと焦り続けていますね」

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】
太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

――2020年はコロナ禍で自粛期間に入ってしまったことも大きいですよね。

「そうですね…。自宅で過ごすことしかできなかったので、映画などの作品を見ていました。でも、卒業して1年目の頃を振り返ってみると、お芝居がしたい気持ちがすごく強かったかと言われると正直そうじゃない気がしていて。“やりたい”という気持ちより、どうしても“不安”が勝っていたなと思うんです。舞台のお仕事が決まっても、まず思うのは『できるかな?』って。前向きな気持ちで『よし、頑張ろう!』とはすぐにはなれなくて、やってみても『全然うまくいかなかったな』って思ったり、達成感もなかったり。お芝居をしたくてグループを卒業したのに、お芝居に対して“怖い”って思いがすごく強かった。やっと最近、経験を重ねてきて、“怖い”という思いはなくなりました。すごく前向きですし、『頑張ろう!』っていうマインドに変わったので、卒業してすぐと今とでは、全然考え方が違うと思います」

――監督や共演者の方々など、新しい出会いに期待もあったと思います。すてきな出会いはありましたか?

「最近やっと、役者の友達ができてきました! 私、中学校も高校も友達がいなくて、メンバーが唯一の友達だったんです。メンバー兼友達、みたいな感じだったんですけど、数日前まで上演していた舞台で、2度目の共演の子がいて。それまで2度目の共演というのは経験がなかったんですけど、そういうことも起こってきて、『2度目の共演だとこんなに安心感があるんだ』って感じたし、稽古をしていく中で悩んだことがあると『ここ、どうしたらいいかな』って相談できるようになったんです。同世代ですけど、私よりお芝居の経験も豊富なので、分からないことは素直に聞かせてもらっています。役者の知り合いが増えたというのは、自分にとってすごく大きなことだなと感じています」

「バイオレンスアクション」への出演は「私の人生の中で、本当に重大なこと」

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

――「ずっと焦り続けている」というお話もありましたが、この「バイオレンスアクション」への出演は大きな起爆剤になるのではないかと思います。今後の展望を聞かせていただけますか。

「私の人生の中で、この作品に出演したことは本当に重大なことになるんだろうなって。お話をいただいた時からそう感じていました。情報解禁されるのが楽しみで仕方なかったですし、今は公開が待ち遠しいです。だりあを演じた経験を、きっとこれからいろんな役につなげていけると思っています。最近は舞台へ出演させていただくことが多くて、やっぱり一番安心できるのは舞台なんですけど、もっと映像にも慣れていきたい。緊張してしまう気持ちがまだ強いのですが、周りの方からも『いろんな映画に出られるように頑張ってね』と言ってもらえることが多いので、挑戦していきたいです。もっと全国的に、いろんな方に見てもらえるように頑張ります!!!!!」

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】

――力強い言葉をありがとうございます! 最後に、忙しい日々を乗り越えるためのリフレッシュ法についてもお伺いできたらと思います。

「やっぱり、お酒は飲みますね! いろんなところで言っちゃってるんですけど(笑)。家で1人で飲んでます。稽古をしていると切り替えたくなっちゃうので、“家に帰ったら休む”と決めていて。台本を読む時も、『これが終わったら飲める!』と自分で決めて、終わったら缶チューハイを飲みます。そうすることで、『今日1日頑張った、明日も頑張ろう』って気持ちが切り替えられるんです。これ、私の人生の中で結構大事な瞬間です」

――結構前になるのですが、ラジオで「きのこ帝国さんの『クロノスタシス』という曲が好きで、20歳になったら『コンビニエンスストアで350mlの缶ビール買って』という歌詞と同じことをしたいんです。20歳になってお酒を飲めるようになるのが楽しみ」というようなことを話していたと思うのですが、そのエピソードがすごく好きで。

「めっちゃ前のエピソードなのにそんなこと知ってくださってるんですか!」

――夜の散歩、実行できましたか?

「しました!! でも、その時思ったんです。夢って、実行できたうれしさよりも、かなっちゃうと切ないもんなんだなって…。これって20歳になるまでは絶対にかなえられない夢じゃないですか。でも20歳になったらすぐかなえられてしまって。なんだか、『儚いなぁ…』って思ったんですよね(笑)」

――そんなふうに捉えているとは思いもしませんでした(笑)。

「たぶん、考え方が消極的なんです。幸せというよりも、『はー、かなっちゃった…』『大人になっちゃったな…』って。切ない記憶です(笑)」

太田夢莉が語る、NMB48卒業後の歩み「ずっと焦り続けています」【ロングインタビュー後編】
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【プロフィール】

太田夢莉(おおた ゆうり)
1999年12月1日生まれ。奈良県出身。AB型。2011年、NMB48 第3期生オーディションに合格し、デビュー。19年、22ndシングル「初恋至上主義」でセンターを務める。19年11月25日、兵庫・神戸ワールド記念ホールにて「太田夢莉 卒業コンサート ~I wanna keep loving you!~」を開催し、11月30日、NMB48を卒業。主な出演作は、映画「せみのこえ」、ドラマ「ミナミの帝王ZERO」(関西テレビ)、「ランチ合コン探偵 ~恋とグルメと謎解きと~」(日本テレビ系)、「日暮里チャーリーズ」(テレビ朝日系)、「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系)、舞台「Cheer up act -vol.1-『裏方の女』~ハロー野菜祭り大きなカブ~」「This is a お感情博士!」「トキワ荘のアオハル」「AI懲戒師・クシナダ」「陰陽師 生成り姫」「フラガール – dance for smile -」「『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』THE STAGE」など。9月3・4日、埼玉・ところざわサクラタウンにて上演される朗読劇「アルバート家の令嬢は没落をご所望です」に出演。9月17日、東京・YMCAアジア青少年センターにて開催される「『coemiru』vol.3 会話劇『眠れない眠りたくない feat.太田夢莉』」に出演する。

【作品情報】

「バイオレンスアクション」
8月19日(金)、全国の映画館で公開
原作:浅井蓮次・沢田新「バイオレンスアクション」(小学館「やわらかスピリッツ」連載中)
監督:瑠東東一郎
脚本:江良至、瑠東東一郎
出演:橋本環奈、杉野遥亮、鈴鹿央士、馬場ふみか、森崎ウィン、大東駿介、太田夢莉
   佐藤二朗、城田優、高橋克典/岡村隆史 ほか
製作:「バイオレンスアクション」製作委員会
制作プロダクション:ファインエンターテイメント
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©浅井蓮次・沢田 新・小学館/『バイオレンスアクション』製作委員会

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取材・文/宮下毬菜 撮影/尾崎篤志

<参考文献>太田夢莉『青』(幻冬舎、2019)



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