【映画「ぜんぶ、ボクのせい」インタビュー】白鳥晴都&川島鈴遥が孤独を抱えた少年少女を熱演! 心揺さぶる衝撃作の裏側とは?2022/08/07
白鳥晴都さんが映画初主演を務める「ぜんぶ、ボクのせい」が8月11日に公開されます。
児童養護施設で暮らす13歳の中学生・優太(白鳥)は、施設でも学校でもいじめられ、自分を理解してくれる大人もおらず、いつも独りぼっち。母・梨花(松本まりか)が迎えに来てくれることだけを心の支えに過ごしてきた優太は、母に会いたい一心で施設を抜け出し再会するが、母は優太に施設へ帰ってほしいと頼む。その言葉に絶望した優太は逃げ出した先でホームレスの坂本(オダギリジョー)と、坂本の元を訪れる少女・詩織(川島鈴遥)と出会う。優太は自由気ままに生きる坂本をいつしか会ったことのない父の姿と重ね合わせるようになり、一緒に生活するが、そんな穏やかな日々もある事件によって終わりを告げる…。
公開に先駆け、主人公・優太を演じた白鳥晴都さんとヒロイン・詩織を演じた川島鈴遥さんにお話を伺いました。
――出演が決まった時の感想を教えてください。
白鳥 「オーディションの結果が出た時、ちょうど学校から帰ってきて、お母さんから聞きました。決まった時は飛び跳ねるくらいうれし過ぎて、ずっと家族に話していました。初主演でプレッシャーもありましたし、優太という役が全然分からず、想像だけでは限界があったので、クランクイン前に松本優作監督と話し合いアドバイスをいただいたのでやり切れたのかなと思っています」
川島 「オーディションの時、できる準備をすべて終えて全力で挑みました。1回、2回とオーディションを重ねていくごとに詩織を演じたいという気持ちが強くなりました。詩織をやるのは私しかいないと思うぐらい愛を注いでいたので、自信があり強気ではいましたけど、決まった時は本当によかったと安心する気持ちもありました」
――役作りで難しかったところや努力したところはありますか?
白鳥 「今回の撮影は千葉での泊まり込みでの撮影もありました。長期間親元を離れる経験自体がなく、その経験が一つの役作りにつながったと思います。その中でも松本監督が心配して連絡をしてくださったり、気を使っていただいたのがすごくうれしくて、その優しさをくれる人が優太にはいないんだなと感じました。親とは話せないというのも、優太と比べたら少なく全然違うと思うんですけど、それでも少し近づけたかなと思います」
川島 「私の演じた詩織は優太やおっちゃん(坂本)が抱えているものより、見てくださる方が共感できる部分が一番多いんじゃないかと思っています。その年代の女の子が抱える等身大な悩みのはけ口が自分自身を苦しめる選択になってしまったと思っています。なので、あくまで普通の女の子でいることを意識していた気がします」
――お互いの演技で参考にした部分や話し合って決めたことなどはありますか?
川島 「お芝居の話でお互いに話し合ったり、『こうしよう』みたいなことはありませんでした。最初はお互い緊張してあいさつするところから始まったんですけど、途中から移動時間もずっと一緒だったので、詩織と優太が仲良くなっていくのを実生活でも並行してやっていくような気がしました」
白鳥 「僕も撮影が進んでいくにつれて話すようになっていったように感じて、それと同時に優太と詩織っていう関係も縮まったかなと思っています」
――撮影後に両親や身の回りの方への接し方が変わることはありましたか?
白鳥 「この役を通して、普段のちょっとした生活のありがたみと感謝を感じました。普段自分が軽く感じちゃっているところも優太にとっては幸せなことなので、これからも感謝の気持ちを忘れないようになりたいとあらためて感じました」
川島 「私は独り立ちしているので、家族に対しての感謝の気持ちは変わりませんでした。でも周りの人に対して、周りの人の声ではなく、自分が信じたい人や物、言葉などを大切にして、人生の道筋にしていきたいなというふうに変わった気がします」
――白鳥さんは優太が描いていた絵について感じたことはありますか?
白鳥 「優太が絵を描くことを好きになった理由を監督から聞いていましたが、優太が絵にひかれた理由が心に染みました。僕自身も絵を描くこともあって、優太は周りに人がいなくてもできるからずっとしちゃうんじゃないかなと思い、その絵がうまいからこそ1人でいっぱいやっているんだなと、この子は悲しい人生を送っているんだなとあらためて感じました」
――川島さんは映画の主題歌にもなっている大滝詠一さんの「夢で逢えたら」を歌っていましたが、どう感じましたか?
川島 「オーディションの時に歌うシーンがあるから歌ってほしいと要望があって、初めて聴かせていただきました。台本と合わせてこの曲がこの作品のすべてを表した曲だと感じました。1回目は本当に涙が止まらなくて、それを劇中で歌わせていただくのは本当に光栄なことだと思っています」
――すごく重い内容の映画でしたが、撮影の雰囲気はどうだったのでしょうか?
川島 「作品の内容が重いのに対して、穏やかな感じで進む現場だったので、撮影が終わるとすっと役から抜けていました」
白鳥 「そうですね、オンオフがはっきりとしていました」
川島 「でも、すごい印象に残っているのは、海に優太が入ってそれを引き留める詩織っていうシーンを撮った後、お互いに放心状態でした」
白鳥 「そうでしたね。撮影後に車に乗っての移動だったんですけど、移動中は一言もしゃべらなかったです」
川島 「本当にその現場の雰囲気をそのまま持ってきましたっていう雰囲気で、いつも終わった後、監督や皆さんとお話しするんですけど。その時は誰も話さず、このシーンで映画の命運が変わるみたいな空気を感じました」
――ありがとうございます。最後に映画をご覧になる方に向けて一言お願いいたします。
白鳥 「主人公の優太がさまざまな試練を乗り越えて成長していく物語を通して、家族の在り方や人との絆のありがたさや大切さをあらためて考えていただきたいと思います。優太がどのように変わっていくか、優太の心がどのように変化していくか、詩織や坂本を含め3人がどこに向かっていくのかを見届けていただけたらと思います」
川島 「私は台本を初めて読んだ時、いろいろ考えてしまったので、見てくださった方、これから見てくださる方々が、最後どのように受け取るのか、すごい気になっています。いろんな方々に見ていただいて感想をいただきたいなっていうふうに思います」
【映画情報】
映画「ぜんぶ、ボクのせい」
8月11日(木・祝)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:松本優作
出演:白鳥晴都 川島鈴遥
松本まりか 若葉竜也 仲野太賀 片岡礼子 木竜麻生 駿河太郎 /オダギリジョー
取材・文/S・A
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