稲川淳二「ファンの思いが決断の大きなきっかけ」――「稲川淳二の黒呪夜話」2022/07/29

　CSチャンネルのホームドラマチャンネルが、8月から2カ月にわたって「真夏のホラー特集」を企画。暑い夏をゾクッと冷やす…！　怪談界のレジェンド･稲川淳二による珠玉の怪談、計4作品を放送する。2022年に節目の年を迎える稲川が明かす、“怪談”への情熱とは？

　稲川が、毎年欠かさず行っている「MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト」。1993年から続くこのライブも、今年で30周年を迎える。

　「怪談を始めたのはラジオ収録の合間でスタッフさんに披露していたのがきっかけ。その評判が広まり、テレビでも語るようなりました。その中でライブのオファーをいただいたんです」

　長く日本の怪談界をけん引してきた稲川。怪談に対しては、並々ならぬ思いを抱いている。

　「55歳の時、“怪談に全力で取り組みたい”とタレント業をやめる決意をしたんです。そもそも仕事が減ってきたからやろうか…じゃ、ファンの方に失礼ですからね。当時から、熱量の高い手紙をたくさんいただいていて。それが決断の大きなきっかけになりました。この決断は間違っていなかったと思います」

　稲川の心を動かしたファンレターの数々。したためられる思いは、今も原動力になっている。

　「やっぱりうれしいのは、ファンの方から手紙をいただくこと。ある時、男の子から『まだ小さいから行けないけど、いつかお父さんとライブに行きたい！』と手紙をもらって。そこに『よかったら使ってください』と、怪談話が書かれていたんです。でもそれ、私がライブで語った話で（笑）。ただ、それが本当にうれしかった。おそらくお父さんから聞いた話を覚えてくれたわけですから。だとしたら、私がいつか“向こう”にいっても話は残る。それが一番うれしいんです」