空気階段初の全国ツアーDVD、パッケージをあのおしゃれ芸人が絶賛!?2022/07/20
鈴木もぐらと水川かたまりからなるお笑いコンビ、空気階段。昨年「キングオブコント2021」で王者に輝いた2人が、今年、目標の一つだったという単独公演の全国ツアーを実現した。そこで、当時の振り返りや「ツアー」ならではの苦労などをインタビュー。“パッケージの楽しみ方”についても語ってもらった。
――お二人にとって全国ツアーは初めての経験とのこと。千秋楽から少したちましたが、ツアーが実現してみての率直な感想をお伺いしたいです。
鈴木 「全国各地から見にきてくれた方がいたので、それだけでも回る意味があったなと思いました」
水川 「もう、単純に楽しかったです。ずっと“やりたい”と目標にしていた全国ツアーだったので。ただ、十何公演もこなすのは初めてのことだったので、本当に大変でした。やればやるほど気になる箇所が出てきて、そのたびに変更したり、ネタを増やしたりしていたんですけど、そんな時期が2カ月も続いたのでとにかくしんどかったんです。やってみないと分からなかったことですね」
――前年の単独ライブ「anna」(全5公演)も、ブラッシュアップしていたのですよね。
水川 「そうですね。ただ、その時は3日間で5公演だったので、どんなに大変でも“3日寝られない”くらいじゃないですか。今回はそれが2カ月間続いたので、しんどさはだいぶ違いますね。特に大変だったのは、東京初日の公演。初お披露目なので、基本的に計画通りには進まないんですよ。結局、ネタを覚えるのも前日の夜中からになってしまって、一睡もせずに初日の幕が上がりました。体力的にも精神的にもきつかったです」
鈴木 「どんなネタもそうですけど、下ろしてから最初の10回ぐらいはお客さんの反応を見ながら細かい部分をめちゃくちゃ変えていくんです。単独の場合は、それが8本分もあるからそりゃあ大変ですよね(笑)」
――変な話、どこかで妥協してもおかしくない気がしますが、お二人はストイックに理想形を追求したんですね。
鈴木 「まあ、思い切ってそのくだりをやめるという選択肢をとることもありましたけどね。かと思えば、“ここはきっと、恥ずかしくて笑っていないだけだな”と分かったら、調整することなくそのままやり続けることもありました。“下ネタだからここは女の人にウケなくてもしょうがねぇか!”って(笑)」
――そうして少しずつ育てていって、特に大きく変わったところというと?
水川 「ネタが1本増えましたね」
――確か、「一子相伝」ですよね。
水川 「はい。尺的にまだ2時間いっていないくらいだったので、もう1本増やしても大丈夫だろうということで。それに、ラストのコントに名前が登場する人物をもう少し膨らませたいと思ったんですよね。なので、福岡公演くらいから新たに加えました」
鈴木 「あと、ネタの順番も全然違います。料理にもおいしく感じる順番があるように、ネタにも最適な順番があると思うので」
水川 「なので、千秋楽までに結構変えています。とにかくいろいろ変わってますね」
鈴木 「あの日が千秋楽だったから、あの形で『fart』は完成しましたけど、あれ以降も続いていたとしたらたぶんもっと変わっていたと思います」
――このやり方こそが、空気階段のスタイルとも言えそうですね。
水川 「ツアー自体が初めてなので、次回以降がどうなるか分からないですけどね。とりあえず、初めてやった感じではそうなのかもしれません」
――今回の単独について「R-15ぐらいになる」といったお話をラジオなどでしていたと思いますが、下ネタについては“この程度の内容にする”“何本までにする”など調整はあるのでしょうか?
鈴木 「そのへんはもう、感覚ですよね」
水川 「うん。自分が面白いと思ったらOKっていうくらいです。今までは、“テレビでできる下ネタ”という基準を自分の中に設けていたんですけど、今回のコントはまずテレビで放送できないなと。それは分かっていたんですけど、面白かったからOKにしました(笑)。下ネタの本数も、単独ライブ3年目ぐらいまでは1公演1本にしようというルールがなんとなくあったんですけど、去年1本増えたので、今は上限2本です」
――今回のタイトル「fart」は、“おなら”“くだらないやつ”という意味ですが、これもネタから影響を受けているのでしょうか?
水川 「いえ、これは催促されたからネタが固まる前に決めたんです。何もできていないにもかかわらず『もう決めないと駄目です』と言われて。昨年末くらいかな」
鈴木 「いろいろ案は挙がっていてどれに決めるかという段階の時に、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトさんと対談をしたんです。ヒロトさん、僕が千葉出身だと知って『今度、千葉に行くよ』という話をしてくれたんですけど、『何をしに行かれるんですか?』と聞いたら、『屁こき虫を探しに行くんだ』とおっしゃっていて。そこで屁の話が出たから『もうfartだな』という感じで、決まりましたね」
――そんな裏話が…(笑)。ちなみに、今回からは「単独ライブ」ではなく「単独公演」にされたそうですが、その理由というと?
水川 「なんか、高級に感じるじゃないですか? 『単独ライブ6500円』というより、『単独公演6500円』と言う方がお得に感じる気がするんです。演劇っぽい雰囲気もあるし。なので『公演』にしましたね。東京公演1カ所目のスペース・ゼロではついつい『単独ライブ』と言ってしまったんですけど、福岡あたりからは慣れてきたので。来年以降はたぶん大丈夫です」
――じゃあ、今後も空気階段さんの単独は「単独公演」になるのですね。
水川 「そうですね。そのつもりです」
鈴木 「僕的にはどっちでもいいんですけどね(笑)」
――あとは、単独DVD発売のタイミングということで、DVDならではの楽しみ方を伺いたいです。
水川 「気になるところは巻き戻して見られるし、何回でも見返せるところがDVDのいいところだと思うので、何度でも見てほしいです。ただ、一番の理想は通して見てほしいですね。とりあえず2時間、時間を空けてもらって、最初から最後まで一気に見てほしいです」
鈴木 「あとはまあ…本当に困った時には、100円とか200円くらいで売れると思うんですよ。だから、貯蓄という意味でも1枚持っていてほしいですね。なんとか100円は切らないように、僕らも頑張りますので。どうしても困った時は役立ててください」
水川 「パッケージを見たおぎやはぎさんが、デザインを絶賛していたらしいんです。おしゃれなおぎやはぎさんが褒めてくださったので、おしゃれなはずなんですよ。最悪見なくても、インテリアとしてぜひお部屋に置いてください!」
――では気が早いですが、次回のツアーでやってみたいことも教えてください。
鈴木 「僕のド地元で開催できないかなとは思っています。千葉県の旭市というところなんですけど、市内にある公園とかでできたら理想的ですね。たぶん、一番お客さんが入らないと思うので、狙い目です(笑)」
――ファンの皆さんは、もぐらさんの生まれ育った街をそのまま聖地巡礼できますね。
鈴木 「いやいや! 聖地もクソもないですよ、何にもない街なんで。あ、でも岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』のロケ地なんです。なので、そっちの聖地巡礼を目的にしていただいたらいいと思います」
水川 「僕は、ツアーで47都道府県に行きたいんです。で、次の日を絶対にオフにしてもらって、現地で遊ぶ。それを繰り返したいですね。行ったことのない場所もそうですけど、(地元の)岡山にももちろん行きたいです」
――ツアーの醍醐味(だいごみ)ってそういうところにもありますよね。
水川 「そうですね。今回はコロナ禍だったので打ち上げもなかなかできなかったですけど、次のツアーではもう少し打ち上げもやりやすい環境になっていたらうれしいです」
――そしてもう一つ。DVDリリースの数日後の8月2日には、TBSラジオ「空気階段の踊り場」の公式本も発売されます。こちらの見どころも最後に聞かせてください。
鈴木 「それはやっぱり、水川のマル秘写真じゃないですか? 袋とじになるんですよ」
水川 「急きょ袋とじにすることが決まって、200円値上がりしましたからね」
鈴木 「そこまでやっているから…もしかしたら見えてはいけないものが見えている可能性があります! はみ出している可能性あるんで! 皆さんにはそれを確認していただきたいですね」
水川 「出てはないけどね」
鈴木 「刮目(かつもく)せよ! という感じですね!」
【プロフィール】
空気階段(くうきかいだん)
2012年にコンビ結成。「キングオブコント2021」チャンピオン。「空気階段の空気観察」(テレビ朝日系)、「空気階段の〇山」(BSよしもと)などにレギュラー出演中。「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)番組初の公式本「TBSラジオ『空気階段の踊り場』公式本2017-2021」が8月2日に発売。
【リリース情報】
DVD 「空気階段 単独公演 『fart』」
発売中 ¥3,850
「キングオブコント2021」チャンピオン・空気階段の第5回単独公演「fart」から、全国ツアーファイナルとなった2022年3月31日東京公演の模様をDVD化。特典映像として、冠ラジオ「空気階段の踊り場」記録映像集を収録。
取材・文/松本まゆげ 撮影/武石早代
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