「ここにタイトルを入力」第4回は“予算額”に焦点を当て、視聴者を“世にも奇妙な”世界へ…【ネタバレあり】2022/05/03
ここ最近、独自開発したC×M(シーバイエム)を使ってテレビの中身を変えることができる番組「なんかいみちゃうTV」や、全編生放送でおくるドラマ「生ドラ!東京は24時」など挑戦的な番組にチャレンジしてきたフジテレビが、また新たなぶっ飛んだバラエティー番組を作り上げた。それは月曜深夜に新設した“月曜PLUS”枠(深夜0:25)にて、4月11日から6週連続で放送される「ここにタイトルを入力」だ。深夜だからこそできる挑戦と斬新さ、笑いとばかばかしさがうまく融合されている番組である。
第1回の放送(4月11日)では、小峠英二が右半身はトーク番組、左半身はクイズ番組を同時収録、第2回(4月18日)は、フワちゃんの東京・浅草ロケのデータが全部なくなり防犯カメラなどの映像をつなげて放送、第3回の放送(4月25日)では、披露する予定だったマジックがコンプライアンスに引っかかるものばかりのため、一つのネタをオーバーなパフォーマンスを盛り込んで披露しゲストを困惑させるという、視聴者もびっくりな企画が繰り広げられた。
折り返しにかかる第4回(5月2日放送)では、どんなシチュエーションでくるのか楽しみだった筆者。なにせ、公式ホームページでは水谷果穂が出演すること以外の情報がなかったからだ。さあ、どんなバラエティー番組がやってくるのか…。
ワクワクしながら放送を見るとあらびっくり。ここに来てドラマ仕立てで挑戦してきた。ただ、これまでぶっ飛んだ企画ばかりを放送してきた同番組が、ドラマの中でどれだけ奇天烈なストーリーを展開していくのか…想像もつかないまま一度目の視聴を開始。
第一印象は「ん? 普通だな…?」
画面左上に表示されるバーに違和感を感じるも、冒頭は本当に普通のドラマ。主人公(水谷果穂)は目の前の仕事に一生懸命向き合う、いわゆる普通の社員。と、彼女を見下しているような態度を取る資産家の娘(工藤美桜)。運転手付き高級車で出社&星付きレストランでしか食事をしないという女性だ。そこに、主人公らがいる営業部に赴任してきた会社のエース社員(稲葉友)。この三角関係(?)をドロドロと描いていくのかと思ったら…。
「あ、やっぱりぶっ飛んでる企画だわ!」に行きつく
物語が進むにつれて減っていく画面左上のバー表示(携帯の充電残量表示を思い浮かべるとぴったりかも)。表示が半分ほどになった時、エース社員の歓迎会と称し3人で高級レストランへ。…と、ここから「ここにタイトルを入力」らしさが満載の、ワクワクの展開が始まった!
3人の前に並んだ “イマジナリー料理”、「どれだけ節水してるん!? シャンプー、全然落ちてませんやん!」とツッコみたくなるほどちょろーっとしか出ないシャワー。運転手付き自転車(!)&ビニール袋のバッグ、型落ちの携帯で出社してきた資産家の娘にタンクトップ姿の上司。「せめてTシャツ着んかい!」と、ツッコまずにはいられない。
ここまでで放送の半分くらいなのだが、物語の内容よりも次はどんな“攻め”を入れてくのかが気になってしまって内容が入ってこないのが正直なところ。合間のコマーシャルに助けられる。
一気にバー表示が減る物語後半に出てくる田中要次の無駄遣いも面白い。あの「あるよ」並みに短いセリフ「若けえなあ」のみ…。美川憲一といい、ぜいたくな出演オファーの仕方だ。この田中の出演をきっかけに、学芸会並みのチープな演出が登場する。雨と称したシャワーも、明らかに横からホースで出してます!感たっぷり。雨上がりの虹はビニール傘にマジックペンで書いているかのような小道具。そして、ついに稲葉の役衣装がはぎ取られる!
画面左上のバーの正体は…本作の予算額!
冒頭でおいしそうに食べていた食事も気づけば雑草のようなものだし、シャワーの水はもう出てこないし、居酒屋の客は人型のパネルだし…。衣装をはぎ取られパンツ一丁になった稲葉もパネル…。主人公の所属部署の荷物は消え去り、同僚も消える&パネルへ。冒頭で高級車、中盤で自転車だった資産家の娘の移動手段はバイクの持ち手だけ&歩きに…。最終的には、出演者すべてパネル…もうカオスだ。
画面左上のバーの表示がゼロになった時、映像の中に生身の人間はいなくなり、番組スタッフにより明かされる「撮影は順調。見積もりはOAで分かるようにしておく」――。
あれ…、もしかしてあれは“世にも奇妙な”世界だった…?
フジテレビの名物番組の一つともいえる「世にも奇妙な物語」をほうふつとさせるような、ドラマに近い長尺のコントを見せられているような…そんなストーリー展開だった。 全部の展開が分かった上で2度目の視聴へ。ネタは分かり切っているが、間違い探しのようにくまなく映像をチェックしてしまう。冒頭と変わったところがないのかと…。
出演者を左右で別の番組に出演させ、いろんな映像をつなぎあわせ、もはやマジックなのか何なのか分からないバラエティー番組を作ってきた若手ディレクターが、予算額に焦点を当てドラマ仕立てで視聴者に勝負をしてきた。確かにいろいろな引き出しがないと務まらないのだろうが、筆者には到底浮かばない、というより浮かんでも「面白そうだけど、これはなし!」と最初に消すようなところに焦点を当てて膨らませるセンスに脱帽だ。
残り2回。もうすでに中毒になっている視聴者もいると思うが、あと2回でどんな番組が見られるのか楽しみである。昨日の放送はTVerなどで見逃し配信中!
【番組情報】
「ここにタイトルを入力」
フジテレビ
4月11日~6週連続
5月9日、16日 深夜0:25~0:55
フジテレビ担当 Y・O
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