Feature 特集

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】2022/04/25

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

 3歳からの幼なじみ。重度の遅刻癖により謹慎処分。賞レースを新型コロナウイルスの濃厚接触者に該当する疑いにより「棄権」。元漫画家。Podcastの対決コーナーがきっかけで、罰ゲームとして自ら公式ホームページを作成し、運営。ラジオ制作費を捻出するためにビキニ写真集を発売。そのビキニ写真集は重版を重ね、2700部を突破――。

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

 吉本興業に所属するお笑いコンビ・マユリカ。先ほど挙げたトピックスはすべて彼らのことを指している。彼らの一挙一動に注目が集まっており、勢いを感じずにはいられない状況だが、当の2人は「(手応えは)全然ない」「もっと頑張らないと」と自身の立ち位置を冷静に見詰めている。

 多くの人が「マユリカワールド」に魅了される理由はどこにあるのか。そんなありそうでなさそうな答えを探すべく、阪本匠伍さん、中谷祐太さんのお二人に、話を聞いた。

「ふた開けてみたら、『マユリカ』で良かった」

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

――「マユリカ」というコンビ名の由来は、阪本さんの妹「マユ」さんと、中谷さんの妹「ユリカ」さんの名前を組み合わせたとのことですが、ほかに案として挙がっていたものはあったのでしょうか。

阪本 「なんやったかな~」

中谷 「阪本が持ってきてくれた中で覚えてるのは、『かさぶたネットワーク』と『まくら少年』ですね」

阪本 「うわ~、なんとなく覚えてますね。ぼんやりですけど。でも絶対『マユリカ』ですね」

中谷 「今考えるとな(笑)。『マユリカ』以外は、当時も『うーん…』って感じやったかも。2人で『なんか共通点ないかな?』って話してたところに、『2人とも妹おるな』って。で、合わせてみたら語感が良くて『マユリカ』になりました」

阪本 「『マユリカ』って出た瞬間に、『マユリカええやん!』ってなったん覚えてます」

中谷 「『それやな!』って。それが車の中やったよな? 確か」

阪本 「うん、中谷の車の中やった」

中谷 「夜、なんかドライブというか。車止めてしゃべってる時に、いろいろ案が出てきたんですよね」

――「これだ!」とお二人の意見が一致したんですね。

阪本 「そうですね。ふた開けてみたら、『マユリカ』で良かったなって。ただ、コンビ名の由来をよく聞かれるんですけど、結構『気持ち悪い』って言われるんですよ。自分らからしたら、『そんな気持ち悪いんや…?』って感じなんですけど…」

中谷 「そうやな(笑)。あとは結果論ですけど、造語やから検索しやすいとか。そんなんも良かったですね」

――今、お二人のお名前をいろんなところで聞く機会が増えていますが、ご自身としては手応えを感じることはありますか?

阪本・中谷 「(声をそろえて)全然…」

阪本 「ないですね…」

中谷 「別に何が変わったとかもないというか。ちょこちょこ番組に呼んでいただけてるだけで、周りの反応が変わったとかも本当にないですし。見取り図さんみたいに大量に差し入れが届くわけでもないし、実感するところが特にないかなって感じですね」

――関西ローカルだけでなく、「ラヴィット!」「ザ・ベストワン」(ともにTBS系)など、全国ネットの番組への出演も増えていらっしゃいます。

中谷 「何年か前に比べたらそら増えてはいるんですけど、見取り図さんとか見たらとんでもない数出てますから。そこと比べたら全然やなって」

阪本 「そうですね。全然そんな………」

中谷 「(にっこりと阪本さんを見る中谷さん)」

――…?

阪本 「………(6秒間、沈黙する阪本さん)」

中谷 「え? 電源切った!? 『全然そんな…』で止まった!? なんやねん!(笑)」

阪本 「言っていただけるほど別にそこまでテレビとかも出れてないので、もっと頑張らないとなと思います」

中谷 「一般の、お笑い好きじゃない方は全っっっ然知らないですから、僕らのこと。お笑い好きな人の中では、昔よりは多少知っていただけてきたのかなって思うんですけど、お茶の間の方には全然知られてないと思うので、そこは頑張らないとなって思います」

――写真集「Perfect!!」が重版を重ね、2700部を突破したと聞くと、お茶の間の方にお二人の存在が知られるのももうすぐなのではないかと思います。

中谷 「写真集も、2700人の特殊な方々がすごい熱量で買ってくださったというか。すごくありがたいんですけど、だいぶ偏ってるとは思います」

阪本 「こんな売れるとはホンマに夢にも思ってなかったです」

中谷 「300部売れたらいいくらいの話やったからな。2700部はびっくりしましたね」

芸歴12年目「数字重ねたくないなって思います」

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

――結成は2011年。芸歴12年目となりますが、今はどのような思いですか?

中谷 「あっという間やなって。ちょっと前には『もう3年目なんやー』とか言ってた気がするのに、12年目ってなると引きますね。どんどん後輩も増えるし、『やばいなぁ』って。焦りだけです。数字重ねたくないなって思います」

阪本 「そうですね…」

中谷 「いいことないですしね、数字重ねて」

阪本 「同期が強すぎるんで。でも、同期に対して『悔しい』って思いは全くないんですよ。強い同期に囲まれて、恵まれてるなと思います」

中谷 「うんうん。同期には多種多様な活躍してる人がいっぱいいるんで、なんかあった時に、いろんなところに呼んでもらえそうやなって。後々、いい関係性でいろんなことできそうやなって思いますね」

――霜降り明星さん、コロコロチキチキペッパーズさん、ZAZYさん、男性ブランコさん、ビスケットブラザーズさんなど、NSC33期の皆さんは仲の良い期だという印象があります。

阪本 「中でもビスブラ(ビスケットブラザーズ)とはずっと仲良しでやってますね」

中谷 「ビスブラとは、距離感は一番近いかもしれないですね。あとはkento fukayaとか」

阪本 「今井らいぱちも。そのあたりのメンバーは同期でも特に仲良いのかなって思います」

中谷 「大阪でずっと一緒にやってきたから、距離感が一番近いんですよね。あと、ニッポンの社長のケツも」

阪本 「ケツに何かを相談することはないけどな…」

中谷 「まぁまぁ(笑)。距離感の話やん!」

――賞レースの期間など、同期の方と相談し合うこともあるのでしょうか?

阪本 「勝手にですけど、33期はネタを同期に相談する人ってあんまりいなさそう…」

中谷 「うん。そんなイメージありますね」

阪本 「『このネタどうかな』とか、あんまり聞いたりしないかも。みんなはしてるんかもしれないですけど、僕らはしないかな」

マユリカ流・単独ライブの作り方

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

――5月8日には、約3年ぶりに東京での単独ライブを開催されますね。単独ライブ前は、どういうふうに準備を進めていくのですか?

阪本 「ひと月前くらいになったらVTRの案を考えて、V→コント→漫才の順番で片付けていく感じですね。締め切りが早い順です。Vは撮って、編集していただかないといけないので、締め切りが早いんです」

中谷 「で、コントはきっかけ台本があるもんな」

阪本 「そうですね。コントは小道具の関係で早めに台本がいるので、Vの次に用意して」

中谷 「漫才は、極論当日に変えることもできるんで、一番最後って感じです」

――基本、ネタは阪本さんが作っていらっしゃるんですよね。

阪本 「そうです!」

中谷 「僕はその場にいるだけなんですけど(笑)。阪本の言ったことに『それおもろいなー!』とか言いながら、リアクションしてますね」

――ネタを作るのに、時間がかかる方だと思いますか?

阪本 「どうなんですかね? でもホンマにそんなん言ってられへんくらい、ギリギリまでなんもしないんで…」

中谷 「はっはっはっ! 確かに!!(笑)」

阪本 「『出ないな~』とかじゃなくて、とにかくやらんと、あと1時間後には新ネタいるぞっていう状態やのにできてないとかありますね。当日に作ったりすることもありましたし…」

中谷 「本番始まってまう(笑)。『どーもー!』で出て行かんとあかんから、『ヤバい!』ってバタバタして」

阪本 「単独で、6本とも当日作るっていうのはさすがにないですけど、1、2本当日にできたとかはありますね。それくらい、いつもギリギリになってしまいますね…」

中谷 「それで僕がネタ飛ばしてしまったりとか。全然、僕が大丈夫じゃない時もあるんですよ。良くないですけど…」

――もっと時間をかけて作り込んでいくのかと思っていました…!

中谷 「人によるんかなって思いますね」

阪本 「それこそ、男ブラ(男性ブランコ)の平井(まさあき)は昔からむっちゃ早いよな」

中谷 「そうやな~」

阪本 「平井は真面目やから、新ネタライブの1週間前にもう台本上がってるとかそんなんで。でも、基本はみんなわりとギリギリになる傾向にあると思ってます。僕らはギリギリすぎるかもしれないですけど…」

――5月8日の単独ライブは「ベストネタ」を披露するということですが、どういうライブにしたいですか?

中谷 「東京でやることがあんまりないんで、『楽しかった』って思えるライブになったらいいなって思います。新ネタばっかりをやるわけでもないので、たぶんお客さんも『あっ、新しいやつや』って不安を感じることもないと思うんですよ。楽しんで帰ってもらえたらうれしいですね」

阪本 「うん。何かを下ろさなきゃいけないってことでもないんで、まだ気は楽です(笑)」

 インタビュー後編では、3年前に東京で単独ライブを開催した時のほろ苦い思い出や、新生活にまつわるエピソードについてお聞きした模様を。読者の皆さまへプレゼントもいただきましたので、ぜひ後編もご覧ください。(後編はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1510212/

マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】
マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】
マユリカ、強い同期に囲まれ「恵まれてる」。「マユリカワールド」が心をつかむ理由【ロングインタビュー前編】

【プロフィール】

マユリカ
3歳からの幼なじみである、阪本匠伍(1990年1月7日生まれ、兵庫県神戸市出身)と、中谷祐太(1989年10月23日生まれ、兵庫県神戸市出身)が、ともに大学を中退し、大阪NSC33期生として入学。2011年、コンビ結成。「M-1グランプリ2021」敗者復活戦6位。毎週土曜、Podcastで「マユリカのうなげろりん!!」が配信中。番組グッズとして発売されたビキニ写真集「Perfect!!」が累計2700部以上を売り上げ、話題に。5月8日、マユリカベストネタ単独ライブ「立つのよ! マユリカ!! 湧き出るパワーの化学式!!!」を東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで開催予定。会場チケットは完売となり、オンライン視聴チケットがFANYオンラインチケットにて発売中(見逃し配信視聴は、5月10日午後1:00まで)。

取材・文・撮影/宮下毬菜



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.