Feature 特集

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!2022/02/25

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

 池松壮亮さんが主演を務める「横溝正史短編集Ⅲ 金田一耕助×池松壮亮3~金田一耕助 惑う」(NHK BSプレミアム)が2月26日に放送されます。横溝正史の短編ミステリ―を“ほぼ原作に忠実に映像化”する人気シリーズの第3弾で、名探偵・金田一耕助を演じる池松さんのほか、世界的バレエダンサーの首藤康之さんや実力派女優の板谷由夏さん、モデルとしても活躍する菊池亜希子さんなど、多彩なキャストが集結。

 今回は、金田一が招かれた送別パーティーで毒殺未遂事件が起こり、人気作家と前妻、後妻の愛憎が交差する「女の決闘」、金田一を毛嫌いする男が書いた小説の見立て殺人が発生する「蝙蝠(こうもり)と蛞蝓(なめくじ)」、 銀座の美貌のマダムの周りで続く不審死と金田一の失恋を描く「女怪」の3本が映像化されます。

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

 放送に先駆け、主演の池松壮亮さんに撮影でのエピソードなどを伺いました。

――第3弾が決まった時はどのようなお気持ちだったのでしょうか。

「このシリーズがとても好評をいただいているようで、第2弾の反響も大きかったと聞いていました。第3弾も時が来ればやるものだと思っていました。ただ、これまでと同じキャラクターの金田一をお見せするのもつまらないと思っていたので、今やるとしたらどんなテーマでどんな金田一がいいのだろうと考えました。今作で特に意識したのは、コロナ禍によって世界がまだまだ混乱と苦悩を強いられるさなかで、多くの人が諦めたり、気力を失ったりしている。その中で、金田一が平静を装うとしながらも“惑っている”姿を見せられたらなと思いました。戦後にふらっと舞い降りた金田一耕助が、ひた隠しにしていた苦難をコロナ禍にもう一度体現してみたいと思いました」

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

――役者はもちろん、ダンサーやコメディアンなど、さまざまな分野の共演者がいらっしゃいますが、思い出に残っていることはありますか?

「実は『女怪』の台本を読んだ時、語り手である“先生(=横溝正史)”役は間違いなく男性の俳優さんだと思っていたので、清水ミチコさんが演じられると聞いて、驚き、やられたな思いました。あの先生は、金田一をも包みこむ大きな包容力が必要な人物でした。清水さんはそういう部分を見事に体現してくださっていましたし、撮影をとても楽しんでくださっていて、僕自身もとても楽しかったです」

――三つの話はそれぞれ趣向の違うものだと伺いました。撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか。

「非常に難しいセリフを原作通り、一言一句変えないというテーマのもとやっている作品なので、出演者の方たち皆さん、ヘロヘロになって帰られるんです。だからこそ、なるべくいい雰囲気で楽しんで帰ってもらえるように臨んでいます。『女の決闘』に関しては、皆さん和気あいあいと、とても楽しんでくださって『あれ? このドラマの現場こんなに楽しいんだっけ?』と思うくらいでした。各分野において素晴らしい表現者、人格者たちが集まってくれたことにすごく助けられました。そういう空気感の中で作られた、シックで大人っぽく、エレガントな雰囲気を持った回になっていると思います。『蝙蝠と蛞蝓』は3本の中でも個性的なメンバーが集まっており、渋江(修平)監督ならではの仕掛けも相まって、ポップでダークで面白い仕上がりになっていると思います。『女怪』は、恋に迷った金田一の奇行を即興も含めて楽しく演じました。それを清水さんが盛り上げて、一緒になって遊んでくださった様子を撮ってもらいました。旅館のシーンに関しては佐藤佐吉監督の遊び心ある演出の力も大きいです」

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

――演じる上で気を付けたことや意識したことはありますか?

「今見てもらうことについて、時代が大きく変わっていく中、どう金田一耕助というキャラクターをアップデートできるのか、再解釈できるのかと考えた時に、戦後の混乱の中で人々の憎悪や混乱をひょうひょうと引き受けるような印象の金田一が、すごくかわいそうな気がしてきたんです。(金田一の映画シリーズの監督)市川崑さんは、金田一を“戦後に舞い降りた天使”と言いました。僕もそれと同じような解釈で演じていたんですが、今回は金田一という人が創造した架空のキャラクターであれど、1人の人であるものを演じる俳優の責任として、“天使”や“探偵”というキャラクター重視ではなく、1人の人間として表現したいという思いで演じました」

――あらためて、今回の放送の見どころを教えてください。

「『女の決闘』は、戦後、女性が生きづらさを感じる時代に初めて『婦人公論』に書き下ろされた作品が原作で、ジェンダーに関する問題をはらんでいます。バラエティー豊かなキャストの方々の、そのインテリジェンスなグルーブ感がすごく作品に反映されたと思います。『蝙蝠と蛞蝓』は、1作目の『百日紅の下にて』や2作目の『犬神家の一族』の渋江さんが監督を務めているんですけど、金田一が嫌われ者の役を引き受けながらも人々を見守りつつ事件を解決していくという、一風変わった面白い作品になっていると思います。そして『女怪』に関しては、これまでの作風とは違って、恋に惑いながら、人の死を受け入れながらも自分の仕事を全うしなければならないという人間味あふれる金田一の葛藤が描かれます。葛藤を抱えながら1人の女性に恋をして、青春と決別する。そんな金田一の人間くささを見ていただけるような作品になっています」

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

――ありがとうございます! 最後に視聴者の皆さんへのコメントをお願いします!

「細々とやっている番組ですが、中身はぎゅうぎゅうに詰まった面白い作品になっています。第3弾ということでますますパワーアップしていますので、初めてシリーズに触れる方も、これまでの放送を楽しんでくださった方にも、ぜひ見てもらいたいと思っています。よろしくお願いします」

 撮影中のエピソードや役のこだわりを熱く、そして詳細に語る池松さんからは、作品への並々ならぬ思いと深い愛情がひしひしと伝わってきました。これまでとはひと味違った金田一を堪能できる「横溝正史短編集Ⅲ 金田一耕助×池松壮亮3~金田一耕助 惑う」をぜひご覧ください。

池松壮亮がこれまで見たことのない“惑う”金田一耕助を熱演! 「シリーズ横溝正史短編集」第3弾が登場!!

【番組情報】

「横溝正史短編集Ⅲ 金田一耕助×池松壮亮3~金田一耕助 惑う」
NHK BSプレミアム NHK BS4K
2月26日 午後11:00~深夜0:30

NHK担当 S・A



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.