奥野壮が映画初主演で新境地に挑む! 「この役を演じたことによって、新たな道が開かれている気がします」――映画「灰色の壁―大宮ノトーリアス―」インタビュー2022/02/25
2月25日から公開される「灰色の壁-大宮ノトーリアス―」。本作は、元暴走族の総長が、ある一言をきっかけに少年刑務所に収監され、人生を懸けたリベンジに挑むという実話をもとにした物語。
主演を務めるのは、ドラマ「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系)で主役の仮面ライダージオウ/常磐ソウゴを演じた奥野壮さん。これまでとはガラッと雰囲気が変わった役柄に挑戦した奥野さんに、作品への思いや、自身の“リベンジ”したいことについて伺いました!
──新型コロナウイルスの影響で公開延期となっていた本作がやっと公開となりました。今の率直な心境をお聞かせください。
「撮影したのはもう1年半ほど前なので、コロナ禍の中で公開ができるのかずっと不安だったんです。ようやく公開できることとなって本当にうれしいですし、何より一生懸命撮った映画なので、多くの方に見ていただきたいですね」
──実話をもとにした物語ですが、最初に脚本を読んだ時の感想を教えてください。
「なかなかパンチが効いてる作品だなと。本当にこんなことをする人がいるの?って(笑)。(主人公の)吉田正樹役が僕で大丈夫なのかな…?という、不安やプレッシャーがあったのと同時に、これは絶対に面白い作品になるから、ぜひこの役をやりたい!と思いました」
──これまで演じられた役とはイメージが全く異なりますよね。正樹という人物にどんな印象を受けて、どう演じようと思いましたか?
「正樹は一本筋の通っている、一貫性のある人物だと思います。仲間や家族を思う気持ちもブレないですし。撮影中は、実際の吉田正樹さんご本人に直接お話を伺って、それを自分の中に落とし込んで理解するという作業をずっと繰り返していました」
──実際の吉田正樹さんにお会いしてみていかがでしたか? 先ほども奥野さんにあいさつしにいらっしゃってましたね。
「あんなにソフトで甘い顔のイケてるおじさまが、『本当にこんなことしてたの?』って驚きますよね。ご本人に聞いたら、『こういう顔だから、なめられてすぐケンカ売られたんだよね』とおっしゃっていました(笑)。大変な目にあった吉田さんが、今も奥さんと娘さんたちと一緒に生きていらっしゃるというのは、本当にすてきなことだなと思います」
──本作は奥野さんにとって“新境地開拓”となる役柄でしたが、演じてみて得たことはありますか?
「少しヤンチャな役をちょこちょことやらせていただくようになりましたね。まだ本作が公開されてないので、この役の影響なのかどうかは分からないですが(笑)。でも、この役を演じたことによって、新たな道が開かれている気はします」
──劇中でのリーゼントや坊主頭も新鮮でした!
「リーゼントにすると気が強くなるような感じがしますし、逆に坊主だと『しっかりしなきゃ』というような、髪形や服装で気持ち的にも影響される部分が大きかったのかもしれませんね。まずはビジュアルから入ることで、しっかりと役作りができたかなと思います」
──外見を変えることで気持ちの部分も変化したとのことですが、私生活に影響は出ませんでしたか?
「出てます!(笑)。今回は結構大変でした…。正樹という役が“憑依している”とまでは言わないですが、少し顔がこわばっていたり、緊張感のあるいでたちになるということがありましたね。例えば、こういった取材の時に笑顔が難しくなっていたりするんです。自分では笑っているつもりでも『もっと笑ってください』と言われたこともありますし、無意識にどこかで影響されてるんでしょうね」
──元々、役柄が私生活に影響を受けやすいタイプなのでしょうか?
「そうだと思います。僕は大阪出身なんですが、普段はあまり関西弁は出ないんです。それが関西弁を話す役を演じると、普段も出てしまうんですよね。どんな役でも、撮影が始まったら多少なり、役の影響を受けますね」
──劇中では衝撃的なシーンもたくさんあって大変だったと思いますが、特に印象に残っているシーンはありますか?
「刑務所の中で、家族の写真を見るシーンですね。『なんでこうなってしまったんだ』とか、『自分のせいで、家族は苦しい思いをしているんだな』とか、正樹は走馬灯のようにバーっと思い浮かべながら写真を見るんです。そこは思い入れのあるシーンになりました。あとは、やはりケンカのシーンですね。泥臭い、リアルなケンカのアクションが今まで経験がなかったので、すごく新鮮でした」
──「仮面ライダー」のアクションとは全く違うものですね。
「そうですね。今までは、敵をスパーン!と倒すような格好良く“魅せるアクション”というのを意識していたので、同じアクションでも全く違いました。今回のケンカのシーンでは“リアルさ”を意識しています」
──正樹をサポートしてくれる看守役の陣内孝則さんと共演されていかがでしたか?
「こちらが納得させられるような芝居といいますか、説得力があるんです。僕が同じセリフを言っても全然違うんですよね。陣内さんの芝居には重みがあります」
──他に印象的な共演者の方がいらっしゃったら教えてください。
「新羅(慎二)さんはインパクトが強かったですね。暴力団の若頭役なんですけど、もう見た目が『本職じゃん』って(笑)。すごく似合っていましたね。あと、ラッパーのIDさんとSAMさんと共演したシーンでは、僕が2人に対してにらむような描写があったんですけど、内心びくびくしながら『いや、これ無理~(笑)』と思いながら演じていました。絶対に負けてはいけないんですけど、怖かったですね(笑)」
──正樹は刑務所に入ったものの、そこからリベンジしようと動きだしますが、奥野さんは失敗したり挫折した経験を糧に成長できた体験はありますか?
「クラシックバレエを11年間していましたが、挫折して辞めたということを糧に、今の仕事を頑張れているという部分はあります。役者という仕事も、いろんな作品に出合っていろんな役柄を演じることで、その経験を自分の武器として、また新たな作品に挑戦するということの繰り返しなのかなと思います」
──では、リベンジしたいことは?
「学生時代をもっと楽しんでいたら良かったなと思います。大人になってから学生の子たちを見ていると、すごく楽しそうに見えるんですよね。学生“役”ではなく、リアルな青春時代を過ごしたいです」
──学生時代に戻れるなら、具体的にどんなことをしたいですか?
「僕はクラシックバレエをずっとやっていたので、部活動ができてなかったんですよ。だから部活動をやりたいですね。…何部がモテますかね?(笑)」
──サッカー部とかバスケ部ですかね…?(笑)。
「じゃあ、バスケかサッカーにします! 動機が不純だけど、モテる部活に入りたいです(笑)」
──物語の舞台は平成初期ですが、演じてみてどう感じられましたか?
「今の時代では考えられないことがたくさんあるので、逆に新鮮ですよね。もちろん、当時のことを知っている方たちには見ていただきたいですし、僕みたいな若い世代の方たちが見ても、全く新しいものだと思うから面白いだろうなと思います。新鮮でリアルなストーリーを楽しんでいただきたいです」
──今後、どんな作品に挑戦してみたいですか?
「今まで精神的に強い役をやらせていただくことが多かったので、逆にナイーブな、心に闇を抱えているような役をやりたいですね。本作みたいな、実在の人物の半生が描かれているような作品にもまた出たいです。あと、LGBTQ+やコロナ禍を取り上げるような、社会的な問題に取り組む作品にも興味があります。あまりジャンルにとらわれず、いろんな作品に貪欲に挑戦したいですね」
──最後に、公開を楽しみにしている方にメッセージをお願いします!
「実話をもとにしているので、リアリティーのある映画になっています。ヤンキー映画はこれまでにもたくさんありますが、本作は芯のついた、とても深い部分が描かれている映画だと思うので、どの世代の人にも楽しんでいただけると思います。吉田正樹という人物がどういう人物で、人間的にどう変化していくのか、そういった部分を見てくださる方には注目していただきたいです」
──ありがとうございました!
【プロフィール】
奥野壮(おくの そう)
2000年8月21日生まれ。大阪府出身。A型。17年11月、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて「フォトジェニック」賞、「明色美顔ボーイ」賞をダブル受賞。18年からはオスカープロモーションに所属し、同年7月に同事務所の男劇団 青山表参道Xのメンバーになる。同年9月からは特撮テレビドラマ「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系)にて主役の仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ役で俳優としてデビュー。主な出演作は、映画「私がモテてどうすんだ」「劇場版ポルノグラファー~プレイバック~」、Huluオリジナル配信ドラマ「悪魔とラブソング」、「超速パラヒーローガンディーン」「風の向こうへ駆け抜けろ」(NHK総合ほか)などに出演。
【作品情報】
「灰色の壁-大宮ノトーリアス―」
2月25日 全国公開
1996年の埼玉。暴走族を率いる吉田正樹(奥野)は、周辺を支配する暴力団と敵対する暴走族のたくらみで、少年刑務所に収監された。正樹は刑務所の中で、暴走族仲間が暴力団に買収され、妻子がゆすられていると知った。早く外に出るため、彼は模範囚になろうと努める。
監督/安藤光造 脚本/朝比奈徹 安祖兄小屋次
出演/奥野壮 紺野彩夏 金子昇 新羅慎二 吉村界人 後藤剛範 木田佳介 小嶌宣輝 濱正悟 高橋龍輝 玉城裕規 湊祥希 馬場海河 井倉光一 LUNA 桜井野の花 兒玉遥 杉江大志 陽向謙斗 澤井一希 ID SAM BIGZAM/陣内孝則
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【締切】2022年3月24日(木)正午
取材・文/M 撮影/蓮尾美智子
衣装協力/ジャケット¥51,700、パンツ¥31,900 クルニ(シアンPR:03-6662-5525)
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