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佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー2022/02/19

佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー

 都会の片隅にたたずむ和風喫茶「鹿楓堂」を舞台に、そこで働く青年4人が悩みを抱える客たちをおいしい料理と温かい接客でもてなしてくれる、心とおなかを満たすドラマ「鹿楓堂よついろ日和」(テレビ朝日系)。週末の疲れを癒やす温かなストーリーと各話に登場するおいしそうな料理はもちろんのこと、共同生活をおくる店主でお茶担当のスイ(東極京水=小瀧望)、料理担当のときたか(永江ときたか=葉山奨之)、スイーツ担当の椿(中尾椿=大西流星)、コーヒー担当のぐれ(グレゴーリオ・ヴァレンティノ=佐伯大地)の4人の掛け合いも見どころの“癒やし系飯テロドラマ”です。

 回を重ねるごとに家族のような絆を深めていく「鹿楓堂」のメンバーですが、今夜、2月19日放送の第6話では、いつも明るくムードメーカー的存在のぐれの知られざる過去が明かされます。そんな第6話放送を前に、“ぐれ”ことグレゴーリオ・ヴァレンティノを演じる佐伯大地さんにインタビュー! イタリア人と日本人のハーフの“ぐれ”という役柄からご自身の家族の話まで、さらに「鹿楓堂」メンバーへの思いも伺いました。

――まずは佐伯さんからご覧になって、ぐれをどのようなキャラクターだと感じていらっしゃいますか?

「ぐれはイタリア人と日本人のハーフなのですが、僕がこれまで演じた役の中でもかなり特殊で、最初はどうなるんだろうなと思っていました(笑)。でも、原作の漫画に出てくるぐれは、親切心や気遣いという面で日本人的な部分も結構たくさんあるんですよね。なおかつ、外国の方が持っているフランクさや、誰にでも分け隔てなく接することができるところが彼の一番良いところなのかなと感じています。そういうところは『鹿楓堂』の他のメンバーにはない彼の良さであって、そこが物語の中でいいアクセントになったらいいなと思っています」

――佐伯さんはぐれのような性格をどう思いますか?

「僕も自分のことをフランクな方だと思っているのですが、この年になると『それほどじゃなかったな』と思うことがあって…。新しい人と親しくなる時、特に相手が大人の方だと気を張ってしまうことってあるじゃないですか。仲良くなって打ち解けたら、実は相手の方も意外と自分と仲良くなりたいなと思ってくれていて、『そんな必要なかったね』っていうことがあるんですけど、初めはお互いに距離をとってしまう。でも、ぐれの場合はそれがないんです。そこが周りの人に愛される部分だと思いますし、ぐれを演じる上では絶対そういう部分を出していかなきゃいけないなって思いました」

――「自分もフランクだと思っている」とのことでしたが、他にもぐれとの共通点はありますか?

「何事もポジティブに捉えようと努力するという部分は僕も同じで、とても共通しているなと思いました。ただ、そうは言ってもやっぱり難しいですよね。人の目が気になったりとか、自分が前向きに捉えようと思っている時点で実は前向きじゃなかったり…。だけど、ぐれの場合はそういったところを達観している部分があるんです。それは海外での生活や、家族との問題だったりが根底にあるからだと思います」

佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー
佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー

――今夜放送の第6話では、翔さん演じる高校生の渡辺洋を通して、ぐれの過去と複雑な家族の事情が明らかになります。

「僕の家は幸せな家庭なんです。本当にいいお父さんといいお母さんで、何の問題もなく今も両親はすごく仲が良いし、『両親に不満ある?』と言われても全くないんですよ。でも、そういう人ばかりじゃないですよね。親も人間なのでやっぱり欠点があったりとか、嫌いな部分や尊敬できない部分があったりとか……そういうところを一度乗り越えると、人間は強くなるんだと思うんです。でも僕の場合は、いいことですが幸せに育ったので、セリフを読んでいる時にも、原作を読んでいる時にも『僕だったらこういう考え方にはならないな』って感じることがあって。そういうバックボーンを経た今のぐれは、人として格好いいですよね」

――佐伯さんは、反抗期はありましたか?

「めちゃくちゃありました(笑)。僕は反抗期がなかったとか、いい子だったっていうわけではなくて、反抗期もあったし、親のことが嫌いだった時期もあるんですけど、両親が本当に仲良くて。2歳下の弟がいるんですが、子どもの頃はよくケンカしていたんですけど、今はすごく仲良いです。弟も頼ってくれていますし、僕も頼ることもあるし。そういうところも大人になってあらためて見ると、幸せな家族だなって感じますね」

――普段のぐれを見ているので、過去や家族の問題が衝撃的でした。

「ぐれは問題をクリアするまでに長い期間があったんだと思います。自分と他の家族と比べたり、『なんで自分ってこうなんだろう』『なんで一生懸命やったことが世間で評価されないんだろう』という苦しい境遇の中でも、ちょっと光が差す瞬間があって、その姿を見てくれている人は誰にでもいると思うんです。世の中が自分のことを認めてくれていなくても、誰かが自分のことを好きでいてくれて、愛してくれて、評価してくれて、助けてくれる。第6話で出てくるカフェのマスターは、まさにその象徴だと思います。そういう経験を経て、スイとときたかと椿に日本で出会った時に、ぐれは『この子たちのために自分も何か力になれたらうれしいな』『この子たちから僕もたくさん得るものがあるんだろうな』って思ったんでしょうね」

――「鹿楓堂」にいるぐれは本当に楽しそうですよね。

「彼にとって『鹿楓堂』はとても居心地がいいんだと思います。一日一日をかみしめて生きていて、『今日はこれもあって楽しかったな。明日はこうしようかな』とか、『このメニューをみんなで考えるから、俺はこれ買ってこよう』『じゃあ俺はこのためのラテ作ろう』とか、そういうことを毎日楽しく考えている。悩んでいる子がいた時に、そういった前向きな気持ちがきっと元気を与える結果になっているんだと思います。『どうしたの? 大丈夫?』って声を掛けるのではなくて、『あの人はああいうふうにポジティブにやっているし、俺もちょっと前向きになってみようかな』と思わせてくれる人っているじゃないですか。台本を読んだ時に、そういう人を目指していかなきゃいけないなって」

――「鹿楓堂」メンバーではぐれが最年長、佐伯さんご自身も4人の中では最年長かと思いますが、現場の雰囲気はいかがですか?

「スタッフさんも含めて、めちゃくちゃ仲がいいんですよ。3人とも若くて、大西くんは今年新成人ですよね。僕、大西くんと11歳も違うんですよ。だけど3人に共通して言えるのは、若いのにすごくしっかりされているなと。プロだなって感じる部分もありますし、人としても、周りをすごく見ていて、人のことを考えて生きているんだなというのを、現場に入って1週間くらいですごく感じて。その時から『この現場で楽しく、安心してできるな』『仲良くなれるんじゃないかな』って思いましたね。僕自身は31歳っていうこともあって、みんなが結構話し掛けてくれるんです。みんなが僕のことを聞いてくれるので、そこに答えているという感じなんですが、本当に居心地いいです。今まであまりこういうことがなかったので…」

――そうなんですか?

「今までは自分から結構話し掛けるタイプだったんですけど、ふと『名前が呼ばれないな、俺』って思ったんです。というのも、何でも自分から誘うから誘われることが少なくて、『あれ、本当は友達いないのかな』って思った時期が20代前半にあって…なので今は『大地くん! 大地くん!』ってみんなが話し掛けてくれることがとってもうれしいですね」

――「鹿楓堂」メンバーとご一緒されて、それぞれの印象はいかがですか?

「そうですね。大西くんは本当に末っ子というか、弟キャラみたいな役柄でもあるし、実際に年も結構離れているので、親戚の子みたいでとてもかわいいです(笑)。でも、彼はかわいいんだけど、ハイブリッドなんですよ。かわいい人ってちょっと口下手だったりとか、ツッコミができなかったりっていうイメージがあったんですけど、関西の子だからかツッコミがすごく上手ですよね。小瀧くんは『やっぱり座長だな』って思う振る舞いをしている時もあれば、ほわっとした雰囲気で甘えてくることもあって。彼はすごく甘え上手なんですよ。先輩とか年上の方と仲がいいって言っていたので、そういうことなのかな?と思いますね。葉山くんは年相応の若者っていう感じですね。自分の興味があることとか、話すことがたくさんあって、とてもエネルギッシュで好きです。三者三様で、とっても助かっています」

――その中でムードメーカーというと…?

「よく聞かれるんですけど、難しいですね。こういう現場って、おのおののコミュニティーのムードメーカーが集まっていると思うんですよね。僕も自分の仲がいいメンバーの中ではムードメーカーだと思うんですけど、こういう現場に入るとやっぱり上には上がいるなって…小瀧くんのムードの作り方はすてきだなと思います。なので、僕は小瀧望がムードメーカーだと思います!」

佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー

――ありがとうございます(笑)。では、少しお話が変わるんですが、SNSでお料理をされていたり、お弁当を現場に持って行っているのを拝見したのですが、お料理はお好きなんでしょうか?

「料理が好きっていうのもありますけど、今は自分で食事をいろいろ決めて食べていて。買って食べると分からなくなってしまうので、自分でなるべく調理したものを食べていますね。今は鶏肉と玄米しか食べない! 昔はカレーを作ったり、チャーハンや肉じゃがを作ったりとか、いわゆる“料理”をしていたんですけど、最近は一切してないですね(笑)」

――ドラマでもたくさんお料理が登場して、見ているこちらもおなかが空いてしまうんですけど、現場はおいしそうな匂いもしますよね。誘惑されませんか?

「いや、されますよ! しかも、目の前にすごい大量に食べ物があるんですよ。例えば、デザートでも何回も食べるシーンを撮るので、1個じゃなくて10個ぐらい用意されていたりすると『いいな~』ってのぞいてみたりしていますね」

――では最後に、ドラマの後半にかけての見どころをお願いいたします。

「第6話以降は4人それぞれのパーソナルな部分、人間性に迫った描かれ方をしていきます。第6話では、ぐれが自分の過去と自分のことを慕ってくれている若いヤンキーの子たちや、ちょっと内気で自分とは全く真逆な洋くんと心を重ねていきます。演じていて思ったのですが、やっぱり人って一人一人が違って、本当にいろんな人がいて…。だけどその中で、『生きる目的って何なんだろう』って思った時に、『楽しく生きたい』『幸せになりたい』ということは一致しているんだけど、考える方向一つで見えるものが全然変わるじゃないですか。同じ学校に通っている子でもポジティブな子もいれば、洋みたいに学校に行きたくないって思う子もいるし。だからこそ、そういうふうに洋くんと心を重ねることで、『何か励ましてやろう』『元気にしてやろう』って思っているんだけど、ぐれも彼に励ましてもらっているような感覚があって。見ていただいた方にも、『自分は1人じゃないんだ』って、悩みやつらいこともあるけど、みんな自分のそばにいる人間たちに助けられて一歩一歩進んでいくものなんだって感じていただけるように、あまり孤独にならずに温かい気持ちになっていただけたらうれしいです」

――ありがとうございました! 

佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー

【プロフィール】

佐伯大地「『自分は1人じゃないんだ』って温かい気持ちになってくれたら」――「鹿楓堂よついろ日和」インタビュー

佐伯大地(さえき だいち)
1990年7月19日生まれ。東京都出身。蟹座。主な出演作にミュージカル「刀剣乱舞」(2015年~)、舞台「グッバイ・チャーリー」(20年)、舞台「狂⾔男師」(20、21年)、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)、「着飾らない恋には理由があって」(Paravi)、「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)ほか。

【番組情報】

オシドラサタデー「鹿楓堂よついろ日和」
テレビ朝日系
土曜 午後11:30~深夜0:00
出演/小瀧望(ジャニーズWEST) 葉山奨之 大西流星(なにわ男子) 佐伯大地 ・ 白洲迅 ・ 藤井流星(ジャニーズWEST) ほか
※放送終了後にはTver、TELASAで見逃し配信あり

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【締切】2022年3月18日(金)正午

取材・文/富樫かほり(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子



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